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DARKNESS HUNTER  作者: ゼファー
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プロローグ

今から10年以上まえに書いていた小説のリメイクです。初めての投稿となりますがよろしくお願いいたします

プロローグ 


春だと言うのに冷たく、多くの人々が眠りにつく深夜、月が雲で隠れ暗い人通りが少なくなった道路を

一組の男女が走っていた。


男が女、いや少女の腕を引っ張りながらの走りであった。一見すると男が少女を強引に連れ回している

ように見えるが、その後ろから男女を追う漆黒の衣の集団が印象を一変させた。追われていた。

数は20近く。


 集団は足音も無く男女を追う。少女が振り返る、怯えた表情だった。その表情を見たのか、

衣の集団から笑い声がした。


その声が聞こえたのか再び少女が前を見る。差が詰まりつつあった。


 男は激しい息をしながら後ろにいる少女に気を使って走りのペースを合わせていたが、

そろそろ限界だった。


しかし諦めるわけには行かなかった。


男は知っていた。後ろの集団の目的が後ろにいる目的が後ろの少女であることを。

人通りが多い道を目指しているが、今いる場所は繁華街と離れているため距離がある。

タクシーなどの移動手段は突然の襲来の為取れなかった。


 

 男が不気味に思うのが、もう数キロは走っているのだが後ろの集団のペースが変わらないこと。

衣を被っているせいでわからないが疲れが見えない、それどころか先程笑い声がした。



------遊んでいる



いつでも男を殺して少女を攫うなりできる状態であるのだ。



男は考える。考えるが打開策が見出だせなかった。走り続けることしか無かった。



 その時だった。少女が何か声を上げたのが聞こえた。その瞬間、男に少女が倒れ込み二人共道路に

倒れる。突然の事であったが、男は少女を自分の上にして、怪我がないようにしていた。

どうやら少女の疲れが限界に達し、足がもつれて転んだようだ。



 少女に怪我がなかったことに男は安堵したが、すぐに絶望に追い込まれたことに気づく。

二人の周りを集団が囲んでいた。衣の中からなにか光るものが見えた、


ナイフなのかわからないが、殺傷力が高い獲物であろう。集団が数々の獲物を取り出し、二人に向ける。男は少女を抱きしめ自分を盾にしようとた時、



「はい、そこまでです」



異様な状況でカヴァリエ・バリトンが聞こえた。集団の視線がその声の主に向けられた。

街灯が無いせいではっきりとした姿は見えないが、細身の男だった。



細身の男はゆっくりとした歩調で集団に近づく。武器を持ってなさそうだが、集団は細身の男に

近づく事ができなかった、静かだが何かが細身の男にはあり、それが集団を近づけさせなかった。

自然と集団が割れ、細身の男は男女を確認できた。そこで男も細身の男を確認する。

男が何かを言おうとすると、細身の男は男に向かって左腕を伸ばす。手を開けると一瞬の光。

その光を受けた男はそのまま目を閉じ倒れた。男に抱きしめれた少女も一緒に目を閉じていた。


「さて、と」


細身の男が男女が倒れたのを確認すると、集団を見渡す。同時に雲に隠れていた月が現れ、

辺りが若干だが見やすくなり細身の男の姿が確認できた。年は20代前半の青年。

黒髪鳶色の瞳、堀が深く、顎は細すぎず、鼻筋が通っており、言うならば端正な顔つき。

黒色のスーツを着ており細身と見えたが、姿が確認できたことで


それがただ細いだけでは無かったことがわかる。


「たった一人の少女に20人以上使うとは、大人気ない」


青年は右手を掲げ、呟く。


「神威」


掲げた右手に黒い光が現れ棒状に伸び、掴み振るうと光が爆ぜる。黒い光から現れたのは

黒い日本刀だった。柄、鍔から刀身まで集団の衣より深い黒の大太刀。


月明かりさえ刀身が反射しないほど深く、金属らしさを感じさせなかった。


 

 集団はその光景に唖然としていたが、青年が神威と言った日本刀を構えると、

集団は意識を青年に戻し殺気を増して、襲いかかる。

 今まで狩る側だったのが急に狩る側になり集団は恐怖を抱えた攻めとなった。

一斉ではなく青年に一番近くにいた数人からの攻撃ではあったが、四方からの攻撃。

青年の後ろには倒れた男女がおり、場合によっては少女を狙える。それを狙っての四方攻撃だったが、

青年が大太刀にも関わらず片手で刀を振るうと、音もなく獲物が破壊され、と同時に全員が

斬り伏せられていた。位置によっては刀の範囲外にも関わらずだ。

斬られた者たちは血も流さずもがくと、体から黒い煙が出て、衣服を残して体が消えた。


  

 黒の衣の集団は混乱に陥った。半分は声もあげず怯え、半分は恐怖に耐えきれず逃走しようとした。


「虚無牙」


青年が刀を地面に刺すと、刺した場所から黒い影が生き物のように伸び、黒の衣たちに届くと黒い影が刃

となり全員の体を貫く。貫かれた者たちは


断末魔もなく黒い煙をあげ衣服を残して消えていった。それを見届けると青年は刀を地面から抜き、

一振りする、と同時に刀は黒い光となり霧散する。


「いつの時代になっても、血を求めたいのかな……?」


青年は明るく照らす月を見上げ、ため息をつき、スーツから携帯電話を取り出し、

どこかに電話をかける。


「処理は完了しました。衣服の処理と二人の保護と無事に送り届けてください。」


電話を切る。すぐさま、青年の前から青年と同じように黒いスーツを着た男たちが5人ほど走ってきて

青年に頭を下げた後、2人は集団の衣服の回収、3人は男女を抱えそのまま走り去っていった。


「さすが、お仕事が早い。お願いします。」


青年は軽く頭を下げ、現場から歩き去る。また月を見上げ


「お祖母様の言うとおりでしたね……。」


軽く笑いながら青年は、遠くにいる今回の依頼主である自分の祖母の顔を思い出した。





 「『聖血』ですか?」


今から数週間前、祖母である静江に呼ばれた青年「天海聖(あまみひじり)」は静江の和室の部屋に

行くと、桜色の着物を着て正座して待っていた静江に緊張し、同じように正座をして向かい合うと、

静江から聖血というのを知っているかという質問をされた。


「ええ、聖でしたらわかるでしょ?」


齢80近い静江であるが、若い頃はモデルが出来たほどの女性と聞いており、

年老いた今でもその美しさは変わらないでいた。無駄に髪も染めずそれが一層美しさを助長していた。

孫である聖も祖母の血を引いているのか、端正な顔つきである。


「存じております。奇跡の血とも聞いております、病気や怪我の治癒、長寿であったりの

恩恵を授ける血と……。そしてその血を授かるのが女性のみと言うのも。」


「その通りよ。そしてその聖血を持った女性は「聖女」と呼ばれ、神と崇められることもあったわ。

でもね……」


静江の顔が暗くなる。


「大半はその血を狙われ、殺されてその血を売られてしまったわ。聖血=呪われた血でもあるのよ」


奇跡を求めすぎて、聖女を殺す人々の姿を想像してしまった聖は顔をしかめる。行き過ぎた欲望が集団に

感染した時の愚かさ呪う。


「お祖母様、しかし今なんでまた聖血の話を私に……」


聖が疑問をぶつけると、静江は後ろから1枚の用紙を取り出し聖に渡す。

そこには美しい少女の写真とプロフィールが書かれあった。


黒髪長髪で藍色の瞳で、写真からでも少女が名のある家の子供だというのはわかった。

聖がプロフィールを読むと、某都市部の郊外にある女学校で聖でも知っているお嬢様学校の

新入生であった。名は「神埼沙織」。その名字を見て聖は思い出した。


最近、中央の政界に手を出そすとしている地方議員が神埼と言う名前だった。

全国のニュースでも活発的で正義感溢れる人物とも報じられていた。


そんな断片でも情報の一つとして聖は記憶していた。渡された資料の少女はたぶんその娘。聖血の話。


「この少女を守れば良いのですね?」


聖は資料を置くと、静江はにっこりと笑った後、頭を聖に下げた。聖は静江に行為に戸惑う。


「まさか、この時代にまた聖女が現れるとは……」


静江は聞こえるか聞こえないかの声量で言うと、そっと袖をまくり聖に自分の腕を見せる。

そこには無数の傷があった。


「お、お祖母様……それは……?」


「私も聖女なのですよ、聖」


静江は悲しそうな顔で言うと、過去を語る。それは聖の今まで知ることが無かった静江の過去であった。



 静江は貧しい家の生まれで、名字は覚えていない。ある日偶然にも静江の血が特別だというのが

分かると両親は静江を傷つけ血を売った。来る日も来る日も傷つけられ静江は失血死寸前の所で

とある名家の夫婦に拾われた。子供がいなかった夫婦は聖血など関係なく静江を正式な子供として

育てた。静江にとって幸せな時間であった。


成人を迎えた頃、とある集団に家に忍びこまれ静江は命を、いや血を狙われた。

その時、静江の前に一人の男性が窓を蹴破って現れ静江を救う。それが聖の祖父であった。



「それから私はこの家に嫁ぎ、立派な子どもたち、孫達に恵まれたわ。」


話の最後は笑顔で静江は話し終えた。静江は一息つき、改めて聖を見る。


「今は便利になったわね。血液検査でこっちに回されたおかげで事前に知ることができたわ。

今までは誰も知らずに突如わかるというのが多かったから。今は発見しやすくなった分、

また聖血を狙う者たちにも狙われやすくなるでしょう。

ですので聖、『天海』家当主継承者のあなたに依頼します。聖血を持つこの子を救ってください。

過去に存在した聖女たちのためにも、この子には普通の生活を……お願いします」


静江は再び聖に頭を下げた。聖もまた頭を下げ


「依頼承りました、お祖母様。天海家にかけて聖女を救い、聖血を狙う者たちを根絶やしに致します」


聖と静江は同時に頭をあげる。静江はまた笑顔になる。


「私の聖血を受け継ぐ孫である聖、いってらっしゃい」


「え……?」


「当然じゃない、聖血を持つ私の血を受け継いでいるのだから、それに天海家の血よ?」


静江の言葉に聖は驚いたが、今の家の状況を考えると納得した。聖血は女性に現れるが血の力の一部は孫

の聖に受け継がれているということであった。


「考えてみればそうでしたね。では行ってきます!」


聖は若干の足のしびれを感じたが、立ち上がる。


「必要な資料や、あっちでの行動の事はこの中にありますから確認お願いね」


すっと立ち上がる静江に聖は敵わないなと思いながら、祖母が立ち上がる前に後ろから取り出した分厚い

資料を受け取る。受け取ると一礼し祖母の部屋から出ていった。


聖の姿を見送りながら静江は微笑んでいた。



「聖、あなたはあの光水(こうすい)さんの孫、大丈夫だわ」


ふと、静江は聖の姿に亡くなった夫、光水、聖の祖父の姿を重ねた。




 この世の中には表と裏がある。表は日常、裏は非日常と呼ばれる。その非日常で蔓延る闇か

ら日常を守りし者たちがいる。その名は『天(あま)』家。


その中の一つ「天海」家の物語が始まる。

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