前世と生前の記憶
泣きながら走って行く悪役令嬢は転んで頭を打った。
「いったーい! ……あれ? なんか思い出した? え、どういうわけ?」悪役令嬢キャサリンは徐々に思い出していく。
それは、悪役令嬢キャサリンとしての生前の記憶。
もうひとつは、前世の記憶。
キャサリンは気が狂いそうになる。なぜなら、同時に二つの記憶が一気に呼び戻されたから。
前世の自分は日本人だった。乙女ゲームが好きな女学生だった。と、キャサリンはひとつずつ話を頭で整理していく。それから、なぜか意識が遠のいて……その乙女ゲームの世界にいた。それから? キャサリンは少しずつ思い出す。ああ! 私は乙女ゲームの悪役令嬢キャサリンになぜかなっていたのだと! そうキャサリン自身が気が狂いそうになるのを必死で止める。
あれ? それじゃあ女神アフロディーテことビーナスはどうして私の前に現れたの? そうキャサリンは考える。
「おーい! キャサリン?」冥界の王ハデスだ。
「私はここですわ!」悪役令嬢キャサリンはそう言った。
「大丈夫か?」ハデスが近付く。
「ええ」
二人は城に戻っていく。
しかし、前世と生前の記憶とは、どういうわけだろう? そうキャサリンは考える。
続く