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残酷な世界のいたずら。  作者: 紗厘
第五章~悲しみに溺れて~
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悲しさを乗り越えて

 今日は最悪の日だ。

 今までになく、俺の人生において最悪な日。

 イソティス城のホールは赤黒く染まっていた。

 床には死体が転がり、ホールには血が飛び散っている。

 そこに俺は立っていた。

 階段も壊れ、天井にあったはずのシャンデリアは床に落ちてばらばらに。

 机も椅子も折れて使い物にならないほどに。

 床も穴が開いて今にも崩れ落ちそうになっていた。

 独り薄暗いホールに、立っていた。

 俺の息しか聞こえないほど静かだ。

 ここも、元は白を基調とした綺麗な場所だった。

 そして、うるさいほど賑やかな場所だった。

 今は死んでしまって床に転がっている人たちとも楽しく暮らしていたはずだった。

 そんな日はもう来ない。


 イソティス城を俺は出ていく。

 そして、俺の傀儡子の元へ戻るんだ。


 すると、目の前に背の低い髪の長い女の子が立っていた。


「ご苦労じゃったな」


 その少女は湊の傀儡子だった。



 それから、その幼女に連れられてある屋敷についた。

 ここが、湊を操っている傀儡子、凛魄(リンハク)の屋敷だ。

 足枷を付けられ、凛にホールにつれられる。

 イソティス城とは真逆で、黒っぽい色をベースにしている。

 凛は大きな椅子に座り、湊はホール真ん中に正座で座る。


「うむ、十年渡していたが八年で終わらせるとは、流石は湊だ」


「いくら入る」


「そう焦る出ないぞ、少し前にイソティス城の可愛らしい小娘と年配の者と話したぞ」


 凛は笑っていた。

 ケインがかなり珍しかった。

 傀儡子と言うのは全てこんな物だ。


「そうだな、八百万出そう、目標まであと六百万だな、頑張るとよい」


 予想していたよりかは高かった。

 湊は一つ気になっていた事があった。


「凛、きき……凛魄様聞きたいことが――」


「湊、構わん、我は湊を気に入っておる。特別に凛と呼んでも良いぞ」


 凛はこう言いだすと、聞かなくなることが多々ある。


「凛、聞きたいことがあるのですが」


「何だ?」


「ヘンリー・エースと言い名を知りませんか」


 凛は、急に険しい顔をする。


「また、厄介な相手を……知ってはいる、ただ我の嫌いな奴だ」


「イソティス城に新入りとして入ってきた使用人に、ヘンリー・エースの人形(ドール)が居ました」


 凛は機嫌が悪くなった。

 すぐに表に出る。


「クソガキが、――いつも我の邪魔をしおって。……だが今は置いておこう」


 湊はもう、一人になりたいと思っていた。

 地下の静かな部屋に戻りたいと思っていた。


「そうだ、湊。お前はイソティス城の暮らしが好きだったようじゃな」


 湊は背中に冷たい風が吹いたように感じた。

 裏切りとして、罰が下ると思った。

 

 始めは否定しようと思った。

 だがあの暮らしに嘘を吐きたくなかった。

 嘘を吐く事と、罰を受ける事を天秤にかけると、罰を受ける方が軽かった。


「はい、とても大好きでした」


 凛は、予想外だったのか、きょとんとしていた。

 そして笑いだす。


「そうかそうか、湊。それはいくら仕事でもいささか悪い事をしたな」


 湊も予想外の反応にきょとんとしていた。


「うむ、良い。我は今機嫌が良いほうなのでな、イソティス城の墓場に好きな時に行くことを許す。だが我に行くときは声をかけよ」


 湊は、その言葉を聞いて今にも行きたくなった。

 凛も湊が行きたそうにしている事に気づいた。


「よいじゃろう。死体も埋めねばならんからな」


「凛、ありがとう」


 湊は泣いていた。

 もう、イソティス城のホールで涙を枯らしたと思っていたが、すぐに涙がこぼれた。


 時間をかけて、イソティス城に戻り墓場にミランやケインたちを埋めた。

 そして、皆の墓の前で一言言って帰って行った。


「――また、明日」



          ~完~

ストーリーはこれで最後です。

最後に作者である僕の感想とか書いて終わります!

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