全てを敵に回して (下)
階段の下では、ルークと湊が戦っていた。
アグナの時は完全に隙を突いていた。
だから簡単に殺せたが、ルークは隙を突けなかった。
いや、隙を突いたが失敗をした。
自称といえども、アグナから一本取ったんだ、舐めたら殺される。
「おい、湊どうしたんだ!」
「……」
相変わらず、ルークの質問に答えない。
投げナイフを二本ダガ―のように持つ。
そして斬りかかる。
首を狙いながら、しゃがんで足を引っかける。
ルークもまだ戸惑いながら戦っているせいか、こけてしまった。
その瞬間に上に乗っかる。
「湊!おい!」
ルークは叫んだ、湊が正気に戻ると信じて叫んだ。
「ごめん、これで正気なんだ」
と、ルークが言いたいことが分かっていたかのように謝る。
ルークの頬に二滴の水滴が垂れてきた。
湊の涙だった。
ルークが何故かと聞こうとした瞬間に、ルークの首をナイフで切り裂いた。
顔に、ルークの血がかかる。
そのまま、ルークの剣を奪う。
その間に、階段の火を消火をしていた。
消火が出来て、湊とルークを止めようとした時。
丁度、ルークが殺された。
その時、ヴァレリが帰ってきて、ケインに報告をする。
「ケイン様、クラパム様が……」
ヴァレリは怯えていた。
その姿ですべてを察した。
すると、突然階段が崩れ落ちた。
皆が叫ぶ。
叫びながら落下していく。
運も悪く、キャラハンとヴァレリが木の破片が首や心臓部分に刺さり死んでしまった。
セリアとエリーは足などに破片が刺さり、死にはしなかったが動ける状況ではなかった。
湊はその姿を見て、誰も追いつけないほどの速さで、セリアの元へ行った。
と、同時にルークから奪った剣で心臓を刺した。
「やっぱり、そうなるのよね」
と泣きながら、少し笑っているようにも見えた。
なぜ笑っているように見えたのか分からなかった。
聞きたくてももう殺してしまった。
そんなことを気にする事をやめて、セリアから剣を抜き、すぐにエリーの心臓部分も刺した。
エリーは、ただただ悲しそうに泣いていた。
エリーから剣を抜き、涙を堪えて、皆がいる方を向いた。
リアムは、落ちていた湊が投げたナイフを拾った。
小さなナイフで湊に刺し掛かった。
湊は、剣で対抗するが、以外にもリアムのナイフ使いがうまかった。
綺麗に剣が流される。
「こうなると思ってました。浩正さんを殺したのも湊さんですよね」
「あぁ、そうだ」
「やっぱり、治療してるとき思ったんです」
確かに、意味深な事を言っていたような気がする。
リアムにとっては予感的中だという事だ。
「僕だって、大人の人にナイフの特訓をされました。失敗したら実際に斬られた事もあります」
湊は話を聞くほど胸が苦しくなっていた。
もう耐えられない。
そう思い一気に決めに行った。
心臓部分を刃の部分で狙いながら柄を握っている手で頭を殴りにかかる。
急な変換にリアムも追いつけず、頭を思いっきり殴られる。
そのまま、吹っ飛んで意識がもうろうとしている時に心臓部分に剣を刺す。
悔しそうに、湊の事を見ていた。
時和は、弟のように接していたリアムを殺され、怒りだった。
勝ち目はない、それをわかって湊に殴りかかる。
「なんで、なんで!」
泣きながら、湊を殴っている。
湊も抵抗しなかった。
ただ、手に針を持っていた。
「なんで、こんな事をするんだよ」
だんだん力が無くなっていく。
時和が膝立ち状態になっても殴り続けた。
「……ごめん」
そう言って、時和の首に針を刺した。
すると、ケインが湊に話し掛ける。
「なぜこんなことをする」
「……」
ケインの言葉にも答えない。
「私は、由紀奈君が違う傀儡子の人形と知って、とても悲しんだ。信じて裏切られる時の気持ちはとても辛いものだった」
「……」
湊は棒立ちのままケインの話を聞いている。
「本当は殺し――」
ケインが何かを言おうとした瞬間湊は動いた。
いつの間にか、心臓に剣が刺さっている。
「湊、君は……」
最後まで言い切ることなく死んでいった。




