表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
甘やかされた妹に姉は限界だった。  作者: 鈴木べにこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/13

8−2.

 粗末な寝床に横たわりながら、ミレーは天井を見つめていた。


 体中が痛い。


 喉も渇いている。


 ――そして。


 胸の奥が、じくじくと痛んでいた。



「(・・・どうして。)」


 

 ぽつりと、心の中で呟く。



「(どうして、こんなことに・・・。)」



 答えは、地下牢の中で分かっているはずだった。


 けれど。


 認めたくなかった。


 

「お姉様・・・・・。」

 


 ふと、思い出す。


 ベスタの顔。


 

 怒り。


 悲しみ。


 そして――

 


「・・・誰からも愛されてないし。」



 自分が吐き捨てた何よりも酷い言葉。


 胸が、きゅっと締め付けられる。


 


「(・・・違う。)」



 誰からも愛されていなかったのは。



「私だったんだ・・・。」

 



 ベスタは、自分を何度も止めようとしていた。


 何度も。


 何度も。


 そして忠告を無視してたくさんの人達を傷つけてきた。


 思い出すほどに、胸が痛む。



「なんで私は・・・・。」



 姉を陥れようと笑っていた自分。


 姉を傷つけていることに、気づきもしなかった自分。

 


「・・・・・いや。」



 首を振る。


 否定したい。


 けれど。


 逃げられない。


 今、自分がいるこの場所。


 この痛み。


 この苦しさ。



 ――すべて。



「わたくしが。」


 

 声が震える。


 

「わたくしが、悪いの。」


 

 やっと自分の行いを認めた。


 ぽろり、と涙がこぼれた。


 初めてだった。


 自分の行いを、こんな風に振り返ったのは。



「お姉様・・・ベスタお姉様。」



 かすれた声で、名前を呼ぶ。


 返事はない。




「ごめんなさい。」




 その言葉は、誰にも届かない。


 ただ。


 静かな闇の中で、ミレーの小さな後悔だけが、ゆっくりと積み重なっていった。


 ミレーは嗚咽を漏らした。



 次の日からミレーは事あるごとに姉の名前を叫ぶ様になった。



「助けてお姉様助けて!」

「お姉様ごめんなさい!助けて!」

「お姉様!お姉様!」

「ベスタお姉様ァ!!」



 でも姉ベスタは助けてくれない。


 何度も助けようとしてくれたのに・・・。



「ミレーいい加減にしろ!ベスタは助けてくれないんだ!自分でどうにかしろ!また鞭で打たれたいのか!?」



 アレックスが座り込んで泣きながら姉の名を叫ぶミレーを無理矢理立たせる。



「いや、いや!お姉様!お姉様ァ!」



 その光景を遠くからカイザルが見ていた。



「ベスタからミレーへ手紙を頼まれたが・・・働かない者にはベスタからの手紙はおあずけだな。」



 その手紙にはベスタからの『いつまでも待っています。』という言葉が綴られていた。



「妹に甘い姉だ。」



 姉の愛は深かった。


 ただ、それを理解した時には全てが遅かった。


  


 遠く離れた空の下、姉ベスタはミレーを想っていた。



「貴女に嫌なことも酷いこともいっぱいされたのに、どうしても嫌いになれなかった・・・・・何故かしらね。」



 ベスタは小さく笑った。



「また再び会った時にわかるかしら?」



 ベスタは真っ青な空を見上げた。



「待ってるから。」



 この想いがいつかミレーにも届く様に。



「ずっと。」




end









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここまで閲覧ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ