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元老院法

元老院法


(パラニア王国憲法に基づく法令)



第章 総則


第1条(名称)

この法律は、元老院法(以下「本法」という。)と称する。


第2条(目的)

本法は、元老院の組織、構成、職務、議事手続、会派、倫理及び運用に関する基本的事項を定め、憲法に基づく元老院の安定的かつ正当な運営を図ることを目的とする。


第3条(根拠)

元老院は、パラニア王国憲法(以下「憲法」という。)の定めるところにより設置される立法機関の上院であり、本法は憲法の規定を具体化するものである。


第4条(用語の定義)

本法において「元老院」とは本院を、「世襲議席」とは上位貴族によって世襲される議席を、「非世襲議席」とは選挙又は任命により充てられる議席をいう。



第章 定数・構成


第5条(定数)

元老院の定数は百二十(120)議席とする。前項の定数は法律で変更することができるが、いかなる場合においてもその定数の百分の五十(50%)は上位貴族による世襲議席であることを常に保持しなければならない。


第6条(構成)

元老院は、世襲議席及び非世襲議席により構成する。世襲議席は定数の五十パーセントを占め、非世襲議席は残余を占める。


第7条(上位貴族の定義)

上位貴族とは、王室典範若しくは本法附則に掲げる名簿に列記された貴族爵位及び家系をいう。現行において上位貴族に該当する爵位は、公爵、侯爵、伯爵及び王室が特にこれに準じると定めるその他の爵位とする。上位貴族の範囲の具体化及び名簿の整備は王室典範及び別表により行う。



第章 世襲議席に関する規定


第8条(世襲議席の帰属)

各世襲議席は特定の貴族家系に帰属し、当該家系からの継承者(以下「世襲継承者」という。)がその議席を承継するものとする。世襲家系及び当該家系に帰属する議席の一覧は、元老院世襲名簿に登録される。


第9条(継承の発生)

世襲議席の継承は、当該現職議員の死亡、放棄、又は世襲権の消滅により発生する。継承の申請は、当該世襲継承者が元老院長に対し書面で行うものとし、申請には系譜その他継承を証する書類を添付しなければならない。


第10条(承認手続)

世襲継承者の申請を受理した元老院長は、当該申請を国王及び首相に送付する。国王及び首相は、それぞれ文書により承認又は不承認の意思表示を、申請受理の日から六十日以内に行わなければならない。両者の承認が行われたときは、元老院長は当該世襲継承者を元老院議員として登録し、就任を宣告する。


第11条(不承認の場合の取扱い)

国王又は首相のいずれかが当該世襲継承を不承認とした場合、当該議席は欠員とする。国王又は首相は、承認を拒否した理由を書面で付し、当該世襲継承者に送付しなければならない。承認拒否に対しては、当該世襲継承者は理由の通知を受けた日から三十日以内に行政裁判所に救済を請求することができる。行政裁判所の審査は速やかに行われるものとする。


第12条(世襲議員の資格)

世襲議員となるには、次の要件を満たさなければならない。

一 成年に達していること(満三十五歳以上)

二 パラニア国籍を有すること

三 憲法又は法律により被選挙権を有しない欠格事由に該当しないこと

四 重大な犯罪により有罪の確定判決を受けていないこと


第13条(任期)

世襲議員は、資格を有する限り在任する。世襲議員の地位は、死亡、辞職、刑事上の有罪確定、又は本法に定める除名の事由が生じたときに終する。


第14条(世襲家系の消滅)

世襲家系が絶家等により消滅した場合、当該議席は欠員となる。欠員の取扱いについては、元老院は議会と協議のうえ、国王の諮問を経て法律により定める。


第15条(代行者の禁止)

世襲議席は個人に帰属し、代理人、法定代理人又は代表者による議事参加を認めない。ただし、議員が一時的に職務を遂行できない場合の一時的な代理制度については、法律で特に定める場合を除き認めない。



第章 非世襲議席に関する規定


第16条(非世襲議席の配分)

元老院の非世襲議席は、前三十条に定める世襲議席を除く議席とし、その配分は次のとおりとする。

一 国王が首相の推薦により任命する議席 三十(30)議席

二 地方議会及び選挙資格のある選挙団体が選出する議席 三十(30)議席


第17条(非世襲議員の任期及び改選)

非世襲議員の任期は六年とする。ただし、任期は三分の一ずつ二年ごとに改選する方法により定める。任期の改選方法その他任期関係の具体的手続は法律で定める。


第18条(任命手続)

国王が任命する議席に係る任命は、首相の推薦に基づき文書で行われる。首相は推薦に当たり、資格審査及び職務適格性の調査を行わなければならない。


第19条(選出手続)

地方議会等による選出に関する選挙の方法、選挙資格、選挙区及び手続は法律で定める。選出は間接選挙又は直接選挙の方式により行うことができるが、当面は地方議会による間接選出の方式を採るものとする。


第20条(欠員の補充)

非世襲議員の欠員が生じた場合の補充方法は、その議席の来歴に応じ、任命による議席は首相の推薦により国王が任命し、選挙による議席は速やかに補欠選挙を行って充てるものとする。補欠選挙の時期及び手続は法律で定める。



第章 職務・権限


第21条(立法権限)

元老院は、法案の審議及び可決、条約の審査に関する権能を有する。成立した法案は憲法に定める手続に従い公布される。


第22条(条約及び重要人事の同意権)

元老院は、憲法及び法律で定める重要な条約並びに次に掲げる公職の任命に関して同意する権限を有する。

一 最高裁判所長官、憲法裁判所裁判官及び最高裁判所裁判官(所定の職)

二 中央銀行総裁及び同等の独立機関の長

三 軍の最上級指揮官(総司令官級)

四 国家安全機関の長及び主要な監査機関の長

五 その他法で定める重要職


第23条(同意の要件)

前条の同意は、出席した議員の過半数による。ただし、最高裁判所長官及び憲法裁判所裁判官の同意については、元老院全員の三分の二以上の票を要する。


第24条(予算に関する権能)

予算に関する起案又は修正の権限を有するが、憲法の定めに従い、予算の最終決定においては国民院の優越が認められる。元老院は国民院の提出した予算案について審査し、修正案を提出できる。国民院との意見不一致については、協議会又は合同会議により調整を図る。


第25条(調査権)

元老院及びその委員会は、政府行政機関、王室機関若しくは公的機関に関する調査を行い、必要な場合には関係者に出頭を命じ、証言を求め、資料の提出を要求することができる。これらの権限の行使は、法律で定める手続に従うものとする。


第26条(弾劾及び裁判権)

国民院が定める手続により弾劾を受けた官吏については、元老院は審理及び裁判を行う。弾劾の成立により公職を罷免し、必要に応じて公民権の停止その他の処分を決することができる。弾劾の可否及び処分内容は法律で定める。



第章 議事手続


第27条(会期)

元老院は、毎年一回の定期会を開催する。定期会の会期、召集時期及び臨時会の召集手続は憲法及び本法で定める。


第28条(議長)

元老院は議員の中から元老院長を選出し、元老院長は元老院を代表し議事を統括する。元老院長の選出、任期及び職務は本法及び元老院規則により定める。


第29条(議決の要件)

元老院の議決は、別段の定めがある場合を除き、出席議員の過半数による。ただし、憲法改正案又は憲法の根幹に関わる事項に関しては、元老院全員の三分の二以上の多数を要する。


第30条(定足数)

元老院の定足数は、総議員の過半数とする。定足数を満たさない場合、元老院はその会議を開くことができない。


第31条(秘密会議)

元老院は、国の安全、外交上の利益又は王室に関わる重大事については、非公開(秘密)会議を行うことができる。秘密会議の取扱い及び記録の保存に関する基準は法律で定める。


第32条(議事規則)

元老院は、自らの議事運営に関する規則(以下「元老院規則」という。)を制定することができる。元老院規則は、本法及び憲法に反してはならない。


第33条(議事録の保存)

元老院は議事録を作成し、原則として公表するものとする。ただし、秘密会議に関する議事録は限定的に保存し、公開の時期は法律で定める。



第章 常置委員会等


第34条(常置委員会の設置)

元老院には次の常置委員会を置く。委員会の組織及び権限は元老院規則で定める。

一 憲法及び法制委員会

二 財政及び会計委員会

三 外交及び国防委員会

四 王室及び伝統保護委員会

五 司法及び人事委員会

六 倫理委員会

七 その他元老院が必要と認める委員会


第35条(委員の任命)

常置委員会の委員は、元老院がその議員の中から選出する。委員の任期、選出方法及び権限は元老院規則により定める。


第36条(特別委員会の設置)

元老院は、必要があると認める場合には特別委員会を設け、特定の事項を調査・審議させることができる。



第章 会派・党派及び議員の地位


第37条(会派の届出)

元老院の議員は、元老院に対して会派を届出することができる。会派の結成、運営及び届出手続は元老院規則で定める。


第38条(議員の権利義務)

元老院議員は、職務上の義務を誠実に履行し、国王、王室及び国民に対して忠誠を尽くすとともに、元老院の規律を守らなければならない。



第章 免責・特権及び倫理


第39条(免責)

元老院議員は、議院内における討議及び表決に関して、院外においてその責任を問われない。但し、名誉毀損その他刑罰法上の責任を免れることを意味するものではない。


第40条(逮捕制限)

議員は、議会の会期中においては、議事に関する発言又は投票に起因する事由を除き、不逮捕特権を有する。なお、現行事件に係る逮捕又は勾留、又は有罪確定判決による拘禁を除く。


第41条(免責の解除手続)

議員の免責を解除し逮捕を許す必要があると認められる場合は、元老院において当該議員の免責を解除する旨の決議を行わなければならない。免責の解除には、出席議員の三分の二以上の賛成を要する。


第42条(倫理・利益申告)

元老院議員は、資産、収入及び利害関係を定期的に元老院に申告しなければならない。贈与、利得及び職務関連の利益の取扱いに関する基準は法律で定める。虚偽の申告又は利益相反の不申告に対しては、倫理委員会は懲戒を勧告することができる。


第43条(懲戒)

倫理委員会が議員に対する懲戒を勧告したときは、元老院は議論の上、必要な処分(訓戒、罰金、停職、除名等)を決することができる。除名及び停職の決定には、元老院全体の三分の二以上の多数を要する。



第章 財務及び事務


第44条(経費)

元老院の運営に要する経費は、国家予算に基づき支弁する。元老院の予算に関する詳細は法律で定める。


第45条(事務局)

元老院に事務局を置き、その事務の執行を行わせる。事務局長その他職員の任免及び職務は元老院規則で定める。


第46条(公文書の保存)

元老院はその公文書、議事録及び重要記録を適切に保存し、必要に応じて公開する。公開の範囲及び方法は法律で定める。



第章 国体の毀損に関する特則


第47条(国体の毀損に関する遵守)

元老院及びその議員は、憲法に定める「国体の毀損」禁止の規定を厳正に遵守し、国体の尊厳を毀損することを目的とするいかなる行為にも関与してはならない。


第48条(審査の役割)

国体の毀損に該当する疑義が生じた場合、元老院は自らの手続により当該疑義を審議し、必要に応じて憲法裁判所に付託することができる。憲法裁判所の判断は最終かつ拘束力を有する。



第章 移行措置及び附則


第49条(初期構成)

本法施行の際の元老院の初期構成については、次の措置を講ずる。

一 現行の上位貴族名簿に記載された家系は、附則の別表に基づき世襲議席として登録する。

二 非世襲議席の最初の任命及び選出は、公布の日から三か月以内に行う。任命議席については国王が首相の推薦により任命し、選出議席については暫定的に地方代表会合がこれを選出する。初期における任期の調整は、以後の改選が段階的に行われるように配慮する。


第50条(違反の罰則等)

本法の規定に違反して不正に議席を主張し、又は議事に関与した者は、法律の定めるところにより罰則を受ける。虚偽の系譜提出又は不正な身分表示に対する罰則は法律で規定する。


第51条(本法の改正)

本法の改正は、元老院及び国民院のそれぞれにおいて三分の二以上の多数で可決され、国王の承認を得なければならない。ただし、世襲割合に関する事項の変更は、憲法の定める改正手続に従うものとする。


第52条(施行期日)

本法は、公布の日から施行する。ただし、本法の施行に必要な附属法規その他の整備は、施行日までに所要の措置を講ずるものとする。



(別表)

元老院世襲名簿(初期登録家系)及び上位爵位の一覧は附則別表のとおりとする。別表の具体的内容は王室典範及び政令により補充する。


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