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社畜魂、舐めんな。簡単には死なねぇよ

 次のターゲットは、スライム4体であった。

 1体でも苦戦していたのに、4体へ1人で挑もうとするのは、中々にヤバい行動だが、青宮としては1体では物足りなさを感じていた。あれでは成長出来ない、と考えたのである。

 ブラック企業に所属していた時は、いつも朝礼にて社訓を大きな声で、社員一同読み上げたものだ。そこには「気合と根性」「会社に惚れろ」「限界を超えろ」などという精神論なキーワードばかりがあった。

 結果、青宮は「成長=己の限界を超えろ!!! 限界というのは甘え!!!」というブラックな考えが脳に焼きついた。限界の前に三途の川を超えそうな考え方だ。

 というわけで。


「よし。限界を超えるぞ」


 HP回復アイテム「ポーション」で回復した後、キマった目で斧を持ち、躊躇いなく4体のスライムの元へ突っ込んだ。全員赤い色をしていた。

 4体とも、青宮を迎え撃つように跳ね動く。

 もっとも近くにいたスライムを、一閃でダメージを与える。赤い液体が、血のように飛び散った。

 が、残りの3体が一斉に体当たりをする。

 胸とお腹に、凄まじい衝撃。

 1体の時とは比べ物にならない。まるで車にでも跳ねられたかのよう。青宮は強烈な圧迫感を感じながら、後方へ吹き飛ばされた。


「がはっ!!!」


 4体が一斉に飛び掛かる。

 動かないと、スライムにのしかられて終わる。4体によるのしかかりなんて絶望だ。

 転がり、すぐに起き上がって、横へ走り抜ける。

 スライムは出来るだけ固まりながら、怒ったかのように青宮へ追った。


(さすがに散らばるほどバカじゃないか)


 1体1体の距離が近ければ、攻撃が決まっても他の3体に襲われる。

 ならば、どうするか?

 答えは明確。


「気合で耐えればいい!!!」


 しんどい仕事。過剰な残業。追いつかぬ体力。

 諸々は大体、気合で超えてきた。200時間残業も気合。

 つまり、気合はあらゆる問題を解決するのだ。(※この社畜は特別な訓練を受けています)


「うらああああああっ!!!」


 上から右斜め下への大振り。

 青宮の気合に答えるかのように、斧がわずかに青く光る。

 先ほどダメージを与えたスライムが、斬撃と共に衝撃でべちゃ!!! と、地面へ叩きつけられた。

 スライムはぐて~~~、と地面に力なく広がる。


「っ!? 2発で倒した……!」


 が、喜んでいる暇などない。

 3体のスライムの体当たり。1体は器用に両手で持った斧の柄で受け止めたが、2体の体当たりで青宮は吹っ飛んだ。

 しかも今度は――バキバキ、と胸とお腹から嫌な音が鳴り響いた。


「ぐふっ、ごほぉ!?」


 口から血を吐き、血液をまき散らしながら地面を転がる。


「がふっ、げほぉぁっ!?」


 空気と共に絞りとるような、強烈な吐血。

 唇を赤く染めながら、HPを確認。


 HP 8/222


(最大HPが1だけ上がっている……? けど、そんなこと、今は気にしている場合じゃない!)


 死ぬ。

 このままだと、死ぬ。

 完全に、想定以上のダメージを負っていた。


(なんでだよ……! たしかに、攻撃は食らいすぎてた。でも、3体の体当たりを1回、その後は2体の体当たり1回だぞ!? さっきの戦闘で、1回30ダメージぐらいなのはわかっていた。それなのに、ダメージの上振れが激しすぎるだろ!)


 スライムが跳ねながら追いかけてくる。トドメをさしてやると言わんばかりに。

 逃げるべきか。だが、スライムは意外と早い。ダメージを負った状態の速度で、逃げきれるとは思えない。

 なによりも。


「この限界を超えたら、成長できそうだよなぁ……! もう無理ってとこからさらに追い込むのは、プロとして当たり前だ!」


 斧をぎゅっと強く、握りしめる。

 前へ駆け――鋭い横払いを放った。

 スライムの1体を、今度は1撃で撃破する。

 先ほどとは違う動きとパワーに、スライム2体が立ち止まった。

 青宮が血に染まった唇で、口角を上げる。

 スライムは心なしか、そんな彼を警戒するかのように、ずずず、と後ずさった。


「社畜魂、舐めんな。簡単には死なねぇよ」


 再び、斧がわずかに青く光る。

 そして勢いよく、前へと飛び出した。

 スライムが素早く二手に分かれ、挟み撃ちを狙う。

 だが、それは悪手となった。

 1体の方を、飛び出した青宮が強烈な振り上げによって撃破。

 もう1体の体当たりを、振り返って斧の柄でガードする。ギリギリのタイミング。あと少し遅かったら、当たって残ったギリギリのHPを0にしていただろう。激痛をこらえながら斧を縦に振り下ろす。


「これで、終わりだぁ!!!」


 ずどんっ!!! と、重い一撃がスライムを襲い、赤い液体を飛び散らす。

 べちゃ、と力なく地面にへたれ、動かなくなった。

 システム音が、青宮のレベルアップを告げた。


『――青宮 翼のLVが4へ上がりましたHP+60 MP+20 攻撃+16 防御+10 魔力+16 精神+10 俊敏+9』


「よし。相変わらず普通の上昇値だが、レベルアッ――おええええっ!?」


 血を吐く。ケガがひどすぎた。アイテムボックスからポーションを取り出し、体に浴びせる。魔力の水はすっと溶け、青宮の傷を癒した。

 1つでは足りない。2つ目を使用して、なんとか止血にまで至った。


「ふう……そういえば、∞ウェポン光っていたよな。強くなったのか?」


 気になり、メニューで∞ウェポンのステータスを確認する。


 ∞ウェポン

 HP+1 MP+1 攻撃+6 防御+1 魔力+1 精神力+1 俊敏+1

 ベルセルクLV?

 要求LV1

 冒険者「青宮 翼」以外装備不可である。

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