22 日向と小夜
「尻毛♪ 尻毛♪ 尻毛ぇ〜♪ 尻毛にもんまり〜♪ 腹毛♪ 腹毛♪ 腹毛ぇ~♪ 腹毛にぬんがり〜♪」
今日も今日とてワテクシは、誰もいない軍団板で使い魔はリヴァイアさん公式メインテーマ、【尻毛にもんまり】を書き込んでいた。
「あ、あのぅ〜、はじめましておやびんさん。私は日向って言います。宜しくお願いします」
「ああーどーもどーも。エーゲ海のラブリーエンジェルおやびんです」
日向と名乗るユーザーが話し掛けてきた。日焼けっ娘アバターの女性ユーザーのようだ。
「ワテクシに何か御用ですかな?」
「おやびんさんの軍団は、軍団員の募集はしてますか?」
ほむ、仲間入りを御所望かね? 我が【メデジン・カルテル】をチョイスするとはとんだイカレ野郎…… じゃないじゃない、お目が高いレディーのようだ。だがしかし、おやびんはボッチにもう馴れたのだ。尻毛にもんまりをヒトカラする程度にはな!
「いやぁ、特にはしてませんねぇ」
「そ、そうなんですか…… あの、それでも混ぜて貰いたいと言ったら混ぜて貰えませんか? 私ともう1人なんですけど」
「まぁ変に期待させても申し訳ないので、ハッキリ言いますと、ワテクシは1人で特には困って無いのですよ。ともすれば、日向さん等を加入させてしまうとむしろ軍団が弱体化すらしてしまうかなと。ワテクシにメリットが無いんですわ」
冷たいようだが事実だ。ここまでキッパリ言えば諦めて貰えるだろう。
「メリットですか…… 確かに私のデッキはそんなに強くは無いので戦力にはなりませんよね…… で、でも他に何か出来る事があれば何でもしますから、なんとか考えて貰えませんか!」
おおぅ…… 粘りますなぁ。そこまでして入りたいか? ワテクシのとこなんか? 和尚のせいでもはやぶっ込みのおやびんが定着しつつあるのに……
「あの、もしアレだったら知り合いの軍団でもご紹介しましょうか?」
藍華んとこ、和尚んとこ、イシターさんにぬんぺーたん。何やったら最強軍団レッドギルドも紹介出来るしな。
「あ、いや、あの、もう1人の連れが、どうしてもおやびんさんの軍団がいいってきかなくて」
「なんとまぁ、若いのにお連れさんは脳が湧いてしまっているご様子で……」
「そ、それです!」
「ふぁ!?」
「おやびんさんのそういう冗談みたいなワードセンスが大好きで!」
「それは光栄なのですが、先程も言ったように」
「何でもしますからぁ~」
何でもと言われてもなぁ、廃課金者たるワテクシ、自分の事は自分でやるからなぁ。うーん、ここは無茶振りで諦めて貰おう。
「何でもと言いましたね? ほしたらパンツ見せて下さい」
「え!? パンツですか!?」
「ええ。いやらしく言うとおぱんてー」
「ちょwww ……わっかりました、少々お待ち下さい」
「でそ? 無理でそ? だから諦めて……って! わかりましたてお嬢さん何を言って!」
するとピコーンとサイトメールが届いた。添付画像付きのだ。嫌な予感しかしない。
恐る恐る。
「あひぃ〜! ホンマに送ってきたぁ!」
その画像はこんがり健康的に日焼けした、ピンクのパンツはいた太もも画像だった。
いやいや待て、騙されるなおやびん。こんな画像ネットを漁ればアホ程出てくるわな。
「フフン。こんな画像程度でおやびんは騙されまてんよ? どうせ拾い画でそ?」
「疑り深いwww それなら、ちょっと待ってて下さい」
「ちょっとてあーた、いい加減諦めて……」
ピコーンとまたサイメが届いた。
恐る恐る。
「ガチや! リアルガチのパンツやんか!」
今度送られて来たのは2人だった。先程の日焼けっ子にもう1人、真っ白な肌の青いパンツの子。その2人の太ももには右ももには日向、小夜とマジックで書いてあり、左ももにはおやびん混ぜてと書いてあった。