21 予想通り
イベントが始まった。予想した通りの第2回イベントの使い回しだ。
「さて、イベントが始まりました。でもここで躍起になってお宝バトルはやめておきましょう」
「え? なんでですか? デッキも強化出来たし、回復酒もたくさん手に入ったのに?」
「確かに強くはなりましたけど、ワテクシから見たら皆さんは雑魚です。糞雑魚です。鴨がネギ背負って土鍋とコンロとぽん酢を持参してウロチョロしてるしてる様なもんです。ハッキリ言えば、上級者の養分となるだけです」
「つまりお宝のコンプリートは難しいと?」
「しゅうへーさん正解。お宝を任務で手に入れても秒で奪われてコンプリートどころの騒ぎではありません。バトルで勝ってもその隙に別のお宝をぶん獲られ、バトルで奪ったお宝もぶん獲られる。地獄です」
「ああ〜、おやびんさんの言う通りです〜、お宝は秒で奪われます〜」
「お、実体験しましたか? ま、そんな感じです。とは言っても、1日2日すれば強者はとっととフルコンプリートするので、かなり穏やかになりますよ。コンプリートを狙うのはそこからにして、今はドンドンイベント任務を進めましょう」
それでも同じ様なレベルの人達との奪い合いも、苛烈を極めるだろう。せいぜい頑張ってくれとしか言いようがない。
ただ、援護は出来る。ワテクシの手に入れたお宝をまだ手に入れて無い仲間にプレゼント出来るのだ。プレゼントされたお宝はプレゼント枠で一旦保留され、引き出さない限りは奪われる事がない。
ただし、引き出しだとコンプリート扱いにならず、その後に1つ任務かバトルで手に入れる必要がある。その間に奪われる確率もあるので、なるべく見付からないように祈りながらコンプリートを狙うのだ。
ワテクシくらい絶対強者は何であれ余裕なので関係ないけども。とりあえずゲットしたお宝は片っ端から配り捲くる。ワテクシの任務は全員フルコンプリートさせる事だ。
大方の予想通り、2日もすればフルコンプリート勢は多くなり、手に入れた尻からドンドン奪われる状況からは脱した様である。
ベッドルームからもポツポツとコンプリートして行くものも現れる。それでもやはりコンプリート狙いの勝負中に奪われるケースも多く、嘆きのコメントが軍団板に多く投げられてもいるが。
「ひぃ〜、また奪われたぁ」
「まだ日にち有りますから慌てないで。ドンドンプレゼントしていきますから」
「すんましぇーん、こっちもお願いしまーす」
「はいはい」
なるほど、以前藍華が言ってたっけな、凄い忙しいって。こういう事か。
そんなこんなでとりあえず全員が1つのワールドをコンプリートしたら、ワテクシも最後にコンプリートして進めてゆく。ペース的には全然余裕は有るだろうな。
「フルコンプリートしましたぁ! 有難うございます!」
「お! やはりしゅうへーさんが1番乗りですな? キラREXゲットおめでとう」
「さすがしゅうへーさん!」
「やるなぁ」
「俺も続くぜ!」
フルコンプリートしたメンバーが出れば、必然意気も上がる。自分達にも出来る事の証明だからな。ただの初心者仲良し軍団の卒業かもな。
そして。
「はい、ワテクシもフルコンプリートしましたよと。これで全員フルコンプリートですね。お疲れ様でした」
「お疲れ様でーす!」
「やったぜぇ!!」
「キラREXウププ」
「はいはい皆さん、きちんとおやびんさんにお礼を言いましょうね、この度は本当に有難う御座いました」
イシターさんが喜びも程々にお礼を促す。さすがは軍団長、いや、お頭w
「いえいえ、ワテクシも楽しめましたよ。初心者時の、純粋にゲームと向き合って楽しむって気持ちを思い出しました」
こうして皆のお礼に包まれながら、イシターのベッドルームでの居候生活に終わりを告げた。




