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魔法少女の方程式  作者: テイる
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第21話 裏切りと決意

 

ハルジリンで約束をした日から、ちょうど一ヶ月の朝…スノウ・リングとの対決の日が訪れた。

朝日が、窓を通して部屋を照らす中、それぞれが対決へ向けての準備をしていた。

ミアは、普段着とは違い全身を洗礼された淡い水色のローブであるM'sKの制服を着た。

それは決意の表れであったのであろう。

 ミアの家族も、不安そうに声を掛けたが笑顔で家を出ていった。

そして、駅で待っていたリオとルナと合流した。その際、三人は笑いながら頷き列車へと乗り込んだ。


「それにしても、ミアはなんで制服を着たの?私やリオも結構驚いたんだけど…」

「あ~、ごめんね♪ほら、この制服ってブレスのローブアップしてもローブの見た目は変わらないじゃん…今回は魔法少女方程式のミアとしてだけじゃなくて、M'sKのミアとしてユキワを助けたいんだ…」

「ミア…頑張ろう」


 列車は、甲高い車輪とレールの擦れる音を出しながら、約束の村に向かっていった。

数時間の時が経ち、三人は懐かしの地であるサイメロ村へと訪れた。村は日光と月光がオルハリアンと戦った後があり、建物が崩れていたり、外壁に大きな穴があったりした。

 そして、三人がキメラゴブリンと戦った場所に向かうと、そこには彼女がいた。


「待っていたよ…リオお姉ちゃん、ルナお姉ちゃん。そして…ミアお姉ちゃん♪」


 スノウ・リングの言葉に三人は、唾を飲み込みながら少しずつ彼女に近づいた。

彼女は、不敵に笑いながら三人が来るの待った。そしてわずか数メートルほどの距離なった時、ミアから話を始めた。


「ユキワ…今日、私は貴方を助ける為に来た。だから、武装を解除して降伏してください。」


 そう言うと、スノウ・リングは唖然とした顔になり、その後に笑いだした。

それを見ながら、リオとルナは身構えた。ミアは無言で微動だにしなかった。

静寂のなか、その笑い声はしばらく続いていた。


「ハハハハハっ!!ミアお姉ちゃん…私…言ったよね…もう遅い…って」

「違う!!遅いなんて事はない!貴方の優しさがあれば、何度だってやり直せる!!」

「…ミアお姉ちゃん、どんな事があっても私はM'sKは許さないってのも知ってるよね…?なんでそんな事言って私を騙そうとしているの?」

「…っ…ユキワ…」

「もう、話すことはないわ…お姉ちゃん達、バイバイ…」


 そう言うとスノウ・リングは持っていた鍵を3つ全部を取り出した。

そしてそれを使用し、詠唱を始めた。


「鍵よ、鍵よ、3つの鍵よ…今扉を開き、破壊と創造を…開き出でよ!」

「キメラモンスターが来る!ルナ、ミア気を付けて」

「でも…依代になる人間がいないわ、それでキメラモンスターを召喚するなんて…まさか!?」


 ミアがそう言うと、詠唱していたスノウ・リングはニヤリと笑みを浮かべ、再び詠唱を続けた。


「我、プリンセス・スノウ・リングを依代にて強大なる力を召喚する…いでよ!!キメラタイタン!」


 そう詠唱すると、スノウ・リングがゲートに吸い込まれていく。ミアは走り出し、スノウ・リングの手を掴もうとしたが、それをすり抜けてゲートにへと入って行き、そこから人の大きさの7倍はありそうな巨人型モンスターが現れた。


「ユキワ…あなた…そこまでしてM'sKを…リオ!ルナ!」

「うん!」

「わかった!」

『チェンジ!マジシャンズ ローブ アップ!』


「結ぶ思いは心の強さ つながりの魔法使い リオ・ミレーヌス!」

「四つの元素 今、我とともに 叡智の魔法使い ルナ・アンバーレイン」

「優しき力 今生命の息吹となりて全てを包む 癒しの魔法使い ミアーシャ・コーリアス♪」


『三つの力 いま 一つと成りて魔導を制す! 我ら魔法少女の方程式!』


 三人はローブを着装した。

そして、武器を手に持ち戦闘体制を取った。


「ユキワ…そのキメラモンスターの中にいるんだよね…?今、助けてあげるから…」


 キメラタイタンは無言のまま大きく振りかざした腕を下ろし、地面に向かって殴ってきた。

三人はすかさず、それを三方向に避けた。キメラタイタンもその動きに合わせて下ろした腕を横に移動しながら攻撃を行った。

 その攻撃はリオに当たり、勢いよく建物の壁面まで飛ばされていき、壁面が破壊された。


「リオ!!」

「っつ、大丈夫、とっさに防御魔法使っておいたから、でも結構強いよ。あの攻撃は…」

「サンダーチェイン!!これで、少しでも拘束できれば良いんだけど…」


 ルナの魔法が、雷の鎖を呼びキメラタイタンの身体に巻き付いた。

動きを塞がれつつも、動こうとするその力は少しずつ鎖を引きちぎろうとしていた。

 

「ルナ…その魔法…」

「へへっ、ミアがいない間に私達は無詠唱魔法を取得したんだよ♪」

「もちろん、私の付与魔法もほぼ無詠唱エンチャントできるようになったよ~、って言ってる場合じゃないね。エンチャントファイヤーウェポン!」


 リオも自身の武器に、炎の力を付与し斬りかかる。その切り裂きは一瞬で複数箇所にダメージを与え、キメラタイタンはその攻撃に悲鳴を上げていた。

 拘束魔法も、強い力で引き継ぎられそうになるタイミングで、新たな拘束魔法を上書きし更に拘束をした。


「引き続き私が攻撃をするから!ルナとミアは拘束魔法を!」

「わかった!ミアもお願い!!」

「うん!…」

(リオもルナも、大分強くなってる。もうマスタークラスと変わらない…これなら倒すことはできる…けど…よし!!)


 魔法を使っているルナと、攻撃を行っているリオを見ながら歩き出し、二人とキメラタイタンの前に立ちはだかった。


『ミア!?』

「二人共、少しだけ話をさせて………ユキワ!!聞こえてるんでしょ!?」


 ミアがユキワに語りかけた。それに合わせて、リオは攻撃を止めルナは拘束魔法はかけつつも、ミアに全てを任せた。

 キメラタイタンは、拘束されている状態でも今にも暴れそうな状態で、ミアを見つめていた。


「私は、貴方に伝えないといけないことがあるの…貴方が教えてくれたタイタン族の村への襲撃事件…それは…それは、M'sKの人間が関わってないわ!!何者かがM'sKの名前を使って貴方を騙したの!!」


 ミアの言葉にキメラタイタンの動きが止まった。そしてその言葉に驚いたのはユキワだけでなくリオやルナも驚いていた。

 そして二人が、ミアに言葉をかけようとした瞬間。キメラタイタンの方から声が聞こえてきた。


「…そ………嘘をつくな…私は見た…M'sKが村を焼き払っているのを………」

「ユキワ!!やっぱりそこにいるの…」

「ミアお姉ちゃん…その嘘はないよ…絶対許さないよ…」

「聞いて!!ユキワ!私は、貴方の話を聞いて、その事件を調べたの!」

「………」

「確かに、M'sKがタイタン族の村に行ったのは確認したわ…でも行ったのはタイタン族の村で事件が起きたと言う通報があったから…だから、M'sKのスタッフが行った時には既に村は焼き払われてたの…」

「…知らない…私は、見たの…M'sKのマーク…それが、家族を…だから…だから…ミアお姉ちゃんがなんと言おうと…」


 そう言いながら、身体を動かしているキメラタイタンをルナがなんとか拘束しているが、大分強力な魔力制御をしているようで呼吸が荒くなっていた。

 ミアとスノウ・リングとの会話を聞きつつも、意識は少し、また少しと遠のいていった。


「なら、私が…私がそれを証明してみせるから!!だから、私の事を信じて…私も元へ着いてきて…お願い…」


 そう言うとミアは涙を流しながら、キメラタイタンの足を抱きしめた。

キメラタイタンは動きを完全に止めて、無言になった。

 そして数分が経ったであろう時、スノウ・リングが口を開いて言葉を伝えようとした瞬間であった。


「ミアお姉ちゃん…」

「おっと、その先は言わせないぜ…」


 言葉を遮り、キメラタイタンの後ろ側から誰かの声が聞こえた。

荒々しく声を上げながら現れたのは、全身が真っ赤に彩られ、片目を前髪で隠し足元まで伸びた漆黒の髪をなびかせながら、一人の女性が現れた。


「なんか、楽しいことやってると思ってたのに…お涙ちょうだいの感動劇で話をしてるのは虫唾が走るわ!」

「なぜ、ここにいるのですか…ジュナ姉さま!!」


 ジュナと言われる女性に、スノウ・リングが声を掛けた。ジュナはニヤリと笑顔を魔法少女の方程式に向けた。


「お前達が、魔法少女の方程式か…俺はキングダム5兄弟の次女…ジュナだ…覚えて…おかなくていいわ♪とりあえず、今日はお前達に用はない!」

「ジュナ…かなり強い魔力…」


 リオが臨戦態勢を取ろうとしたが、急に身体が動かなくなった。それに気づいたルナも、いつの間にか身体が動かなくなっているのを気づいた。


「なっ!?身体が…」

「これは…拘束魔法!?いつの間に…」

「リオ!!ルナ!!」

「二人の事を気にしてて良いのか?俺はもうお前の側にいるぞ…」

「!?…身体が…」


 一瞬でミアの側に移動していたジュナは、ミアにも拘束魔法をかけ動きを封じた。

そして、キメラタイタンと同化しているスノウ・リングの側に歩いてきた。


「よう、スノウ・リング…テメェ、父様を裏切ってんじゃねぇよ…」

「…なんのこと…?私はお父様の名で全力で…」

「全力???テメェ、魔導の鍵が3本あるくせに2本しか使ってねぇのに本気か?意識を保つために1本を残してるんじゃねぇよ」

「っ!?」

「父様もたいそうお怒りでな…俺がここに出てきたわけだ…わかるか?」

「三人を倒せば、問題ないでしょ…」

「オオアリだんだよ!!テメェはもう用無しって父様は言ってたんだよ!!ったく…こんなのを妹にするためにあんなゴミ共の集まってる村を襲ったかと思うと、イライラが止まらねぇ」

「えっ…ちょっとまって!!ジュナ姉さま…今なんて…」

「ん?あぁ、もういいか…テメェの憎しみの力をでっかくするために、テメェが住んでたタイタン族?だったか、あの村を襲ったんだよ!!へんてこな服を着させられてな…」

「………それは、本当なの…じゃあ私は…」

「そうだよ~~~♪テメェは自分の家族を殺した奴らに助かれたと思って、今まで一緒にいたんだよ!!楽しかったぜ…テメェの村の奴らが、生きたまま炎に焼かれて苦しんでいる姿が…ヒャハハ」

「っ!!」


 ジュナのその言葉に、スノウ・リングは怒り、拘束魔法を破りジュナに攻撃をした。

その攻撃を、するりとかわしながらジュナは笑い続けていた。


「その笑いをやめろーーー!!」


 怒りに溺れたスノウ・リングは、考えなしに攻撃を続けていた。

その動きはただ荒々しさだけの攻撃のため、避けること自体容易かった。

 ジュナは、その中の巨大なパンチを片手で受け止めキメラタイタンを睨んだ。

すると、キメラタイタンの動きが止まった。ジュナの最大の武器は、目が会うとその生物を拘束が出来るという魔法を持っていた。

 その魔法に、魔法少女の方程式の三人も、スノウ・リングもかかり、動けなくなっていた。


「ここでスノウ・リングも含め、全員倒すのも楽しいんだがな…俺は、父様から言われた命令は一つだからな…」


 そう言うと、彼女はキメラタイタン見ながら口元で不敵な笑みを浮かべながら動き出した。


「鍵の魔法はこう使うんだぜ。魔法の鍵よ!今、残された力を解き放ち…全てを闇へと…包み込め………!スノウ・リング…バイバイ♪」

「や、うそ!!最後の鍵が…いや、意識が…私…なくなって…」


 ジュナの詠唱に、スノウ・リングの持っていた最後の鍵が反応すると、鍵が消えスノウ・リングの意識がキメラタイタンに溶け込んでいった。

 そして、そこには完全な制御不能な巨大なモンスターが残った。


「ふふふ…ふははは…スノウ・リング!テメェは本当に役立たずだよ!だから最後くらい役にたてよ!!…魔法少女の方程式よ~…テメェらの相手は、あのデカブツだ…もう完全に制御できねぇ、怪物だから、煮るなり焼くなり好きにしな!!」


 そう言うと、ジュナは消えていった。

ジュナが消えると同時に、身体の拘束が溶けたが、その場には完全にスノウ・リングの意識の無くなった巨大なキメラタイタンが、今にも襲いかかってきそうな状態であった。


「これは、ちょっとヤバイかも…」

「どうする…私の魔力も正直、結構ヤバイけど…」

「…助けるよ………」

『へっ!?』

「リオ、ルナ、ごめん…私は、どうしてもユキワを助けたいの!!」

「でも、意識が完全にない暴走状態の奴をどうやって止めるよ」

「だね…だから…ここからは私がやる…結界魔法スターライトサークル…」


 ミアの詠唱により、ルナとリオのの下に魔法陣が発生し、二人はその魔法陣の外に出れなくなった。

それに気づいた、二人は必死でミアに叫ぶ。ミアはそれを聞きながら、二人にお辞儀をしキメラタイタンの方へ振り向き、小声で呟いた。


「みんなゴメンね…そして見ててね。これが、私ができる最後の戦いだから!!」




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