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魔法少女の方程式  作者: テイる
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第14話 それぞれが掴んだ未来



 アルストフィア中央魔導病院M'sKスタッフ管理病棟…その一部屋で今、一つの命が消えようとしていた。



「ハァ…ハァ…終わった。これで私は休める…な…」



 心の開放の試練の審判を終えたオオカは、そのまま崩れ落ちるように倒れそうになった。

それを防ごうと、日光と月光が素早く背中を支えた。すでにオオカの身体は消耗していて、身体は男一人が片手でも持ち上げられるほど軽くなっていた。



「師匠…しっかりしてください!!」


「まったく…うるさいよ。日光…」


「師匠…身体…少し休んでください…」


「フフッ…相変わらず優しいわね、月光は…でもどうやら…今休んだら…その先…ないみたいだから…」


「師匠…そんな…俺達はまだ、師匠から教わりたいことが山程あるんですよ!!」


「そうです。僕達はまだ、師匠が必要なんです。」


「ハハハ…私って愛されているな…でもね…甘えるな…!お前達は…既にマスタークラス…勇者の名を持つ魔法使いなんだ…勇者の名を持った以上…お前達が…この先…新しい魔法使い達を導いていかないといけないんだ…ぞ…」



 そう言いながら、オオカの顔色はどんどん青白く悪くなっていく。

そんな状態でも、話を続けていく。今、そこに自分がいるを確かめながらオオカは辛そうな状態でありながら一言、また一言と言葉を発していく。



「私はね…この世界に来た時から…なんで私に魔法が使えたのか…その力が…こ…こんなに大きかったのか…凄い考えたの…その答えは…あなたたち…に……出会ってからわかった………私は…この世界を…守るため…笑顔を守るため…新しい世代に…伝えるのが…役目だって…」


「師匠…もういいですか…お身体休めて…休めてください…」



 会話をするたびに、弱まっていくオオカを見て、月光は涙を隠せず泣き出してしまう。

日光も、我慢をしてはいるが…瞼にはうっすらと涙が溜まっていた。



「ハハハ…泣くやつがあるか…バカ弟子が…それに私は満足なんだ…弟子にも…その弟子にも伝えられると思うから…強さの意味…魔法の意味…生きる意味…この先、キングダムは…封印されていた分…大きく行動すると思う…だから…泣くな…そして強くな…れ…」



 意識が遠くなっていく。目を開けてはいるが、正直もう誰が誰かわからない程度には目も見えずオオカは声を頼りに、語りかけていた。



「オオカ先生!!」


「まだ、ダメですよ…私達、まだ…」


「私も、先生がいなくなるなんて…許しません」



 ギリギリのタイミングで、部屋の中で声が聞こえてきた。

そこには、眠っていたリオ、ルナ、ミアの三人が朦朧としながら、オオカに向かって声をかけていた。



「あなた達…どうして…」


「夢の中で…試練の中でTと言う魔法使いから…先生の事を聞いて…」


「先生が…先生が起きたらいなくなってるなんて…絶対イヤ…そう、そう思ってたら…」


「私達は、早く目覚めることが出来たんです!」


「そう…テル…Tの奴…やってくれたな…こんな姿、生徒には見せたくなかったんだけどな…」


「先生!!私達…もっと強くなります。心の開放…その意味を知りました。」


「正直、私達はもっともーーーーっと先生から教えてもらいたい事があります。でも…そのさきに…先生が探した未来があるなら…今は泣きません。先生が笑顔でいられるように…今は、リオとミアと私の三人はもっと強くなります。」


「オオカ先生…初めてお会いした時、私はもっと大きくなるって言ってくれましたよね…私はその言葉を信じて今、ここにいます。そしてこの先もその言葉を信じて…成長していきます。」


「ま…まったく…みんな…揃いも揃ってバカばっかりだな…こんな…ことされたら…消える覚悟が…揺らいじゃうじゃない…」



 そう言いながら、既に生気のなくなったオオカの瞳に涙が溢れだした。

それを見て、全員が泣かないように涙を我慢しながら笑顔を作った。



「リオ…」


「はい…」


「実は…貴方のお母さんにはとてもお世話になったの…似てるわ…あの頃の貴方のお母さんと貴方は…お祖母様に…私が…ありがとうございました…と伝えておいて…」


「お母さんと先生が…はい…必ず…」


「ルナ…」


「はい……」


「貴方のこと、ずっと前から知っていたわ…マジメで率先して…進む強い心…憧れたわ…お兄さんには…ごめんなさいと伝えておいて…」


「先生…お兄様のことを知って…わかりました。」


「ミア…」


「はい!」


「貴方の才能は…正直…三人の中で一番実力があるわ…だけど…それゆえに…この先に…いくつもの…試練が…待ち構えている…でも…自分の信じた道を…しっかり進みなさい…その先に…貴方の選んだ…最高の未来があるから…」


「わかりました!その言葉…じぇったい…わ…わしゅれませいぇ…ん…」


「バカ弟子たち!」


『はい!!』


「こんな私に…ついてきてくれてありがとう…それと…それと…お前達…最高の弟子だったぞ…」



 オオカが、そう言いながら精一杯の笑顔をみせると、残りの体力を使い、窓際に向かっていった。

そして、オオカ自身の身体から光が溢れ出し、透けるように薄くなっていった。

それを見て、その場の全員が、再びオオカに近付こうとした。



「来ちゃダメだ…ここから先は、お前達は…まだ早い…」


「師匠!!」


「先生!!」


「…みんな、一つだけお願い…いつか…あなた達が…アースに行くことがあったら…その時は…サクヤって人に伝えて…まだ来るなって………みんな………ありがとう…ふふっ」



 オオカはそう言うと、体中の包まれが光が弾け、そこからいなくなった。

今、この時…一人の魔道の勇者が生涯を終えた。

その名は 「閃光の勇者 ユイナ・オオカ」 


















…半年後…





「ヒャハハ!!この村の人間全部焼き払え!!そしてここに俺様の城を建てるんだハハハ」


 一人の男が、モンスターの群れと共にとある村を襲っていた。

その男はモンスター達に松明を持たせ、村を焼いていた。

村の住人達は逃げ回り、そこをモンスターに襲われていた。



「きゃあぁぁぁ」



 一人の女性が倒れ、そばにいたオークに襲われそうになった。



「こ…子供だけは…お願い…」



 言葉の通じる相手ではなかった。オークは子供ごと女性を持っていた棍棒で叩こうとした。



「んっ…!!」



 振り上げられた棍棒を持ったままオークが動こうとしない。

それどころか、オークは苦しんでいる様子であった。



「いったい…何が…?」


「お姉さん!早くお子さんと逃げてください。私達はM'sKの人間です。」


「たっ、助かったの?」


「さぁ!早く!」


「は、はい!」



 親子は足早にその場を去っていく。その際に数メートル先にいた白い服の女性とすれ違った。

女性は、そのまま先に進む。そして後ろから更に、二人の女性が歩いてきた。

それに気づいた男が、動けなくなったオークの前まで来ると、三人をジロジロと見回した。



「なんだてめぇら?俺様の邪魔をしようってか?この俺様を誰だと思っているんだ!!」


「キングダム!王家の次男 炎美のプリンス・エンライド…炎を使用した魔法犯罪、それによる大量殺人の罪は重い!私達は貴方を倒しにここにきた!」


「てめぇらまさか…!?」


「そのまさかよ!!」


「結ぶ思いは心の強さ つながりの魔法使い リオ・ミレーヌス!」




「四つの元素 今、我とともに 叡智の魔法使い ルナ・アンバーレイン」




「優しき力 生命の息吹となりて全てを包む 癒しの魔法使い ミアーシャ・コーリアス♪」




『三つの力 いま 一つと成りて魔導を制す! 我ら魔法少女の方程式!』



「さぁ…ルナ!ミア!行くよ…」


「うん」


「ええ♪」


『私達が…奇跡を起こす!!』



 三人は武器を手に持つと臨戦態勢を取る。



「クッ、テメェらがスノウ・リングが言ってた魔法少女の方程式か…そうかそうか…なら殺していいよな…やっちまえ!!」



 その言葉を皮切りに、モンスターの大群が三人に襲いかかってきた。

三人はお互いの背中を守るように体制を整えたが、その間にモンスターたちに囲まれてしまった。



「リオ、何体くらいいると思う?」


「70体くらいかな?ミアは分かる?」


「残念、正解は130体です♪まぁ、一人で43体前後倒せば大丈夫♪」


「そうか…じゃあ、行くよルナ、ミア!」



 そう言ったリオは、速攻で目の前の大群に向かった行き、一気に剣を抜き地面に突き刺した。その衝撃で、近くにいたモンスター達は激しく宙に浮いた。



「今まで、苦しんできた人たちの痛みを知れ!ファイアサンクチュアリ!!」



 ルナの魔法で、宙に浮いたモンスターの周りにドームが出来、その中を炎が包んでいく。

そしてドームが消える頃には、その場には灰すら残らなかった。



「やっぱりリオとルナのコンビネーションは凄いね♪私も負けてられない!光よ!全ての悪しき物へ断罪のメスを…ニードルシャワー!」



 ミアが詠唱をすると空から光の針がモンスターに向かい突き刺さる。

その一撃でモンスターが30体ほど消えていった。



「付与魔法ウェポンエンチャント…ライトニングブレード!私だけでも…ルナほどじゃないけど付与用の魔法は使えるんだからね…」



 自ら剣に、雷の力を付与したリオはそのままモンスターの囚人で一気に斬りかかる。

その一振りは、10体ものモンスターが倒された。

 そして、瞬間的に次のモンスターの周りに移動したリオは再びモンスターに斬りかかる。

瞬く間だった。そこにいた130ものモンスターは三人の攻撃であと僅かになってしまった。



「エンランド!もう諦めろ!おとなしく連行されれば命の保証は約束する!」


「ふ…ふざけるなぁぁぁぁ!!俺様はエンランド様だぞ!!貴様らのいいなりになるか!!テメェら俺様をコケにしてくれた分…タダじゃ済まさねぇ!!」


「そうか…ならば広域魔導犯罪対策組織M'sKの権限において我ら、魔法少女の方程式が…職務を執行する!付与魔法ウェポンエンチャント!!」


「ほいさ♪光魔法ブーストパンプアップforウェポン!」


「師匠…先生…力を借ります…光魔法スターライトエナジーforウェポン!リオ受け取って!」



 二人の力が、リオの身体全体を包む。

そして、その包まれた力がリオの剣に集まり剣がまばゆく光る。




「行くぞ…エンランド!魔法聖剣シャイニングカリバーーーーーー!!!」




「そんなもの!!!!!!!!!ぐっ………グハァ………があぁぁぁ!!!」




 リオの放った光の一撃は、エンランドを包見切り裂く。

そして付近にいた残りのモンスターも、その衝撃で消えていく。

 そして砂埃が舞っていたその場が落ち着きを取り戻し、砂埃が落ち着き視界が見える頃、ボロボロになっているエンランドがそこに立っていた。



「エンランド!?まだ生きていたの…」


「はぁ…はぁ…はぁ…ハハハ…ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!俺は生きてるぞ!!!残念だったな…今度は俺が…」


「もうやめろ、エンランド!今の貴方にはもう勝ち目はないぞ!!」



 そう言われながらも、エンランドは一歩、また一歩と三人に近づいてきた。



「そうだ…もうやめろ…エンランド!」



 三人とエンランドの間に入って、もう一人の男の声が聞こえた。

そこには、オルハリアンが立っていた。



「兄貴…」


「貴方は…オルハさん…」


「…以前はどうも、妹のスノウ・リングが世話になった。私は、キングダムが長の長兄オルハリアンだ…今日は君たちと争う気はない。弟を回収しにきた。」


「オルハリアン…貴方も、執行対象です。今からでも私達は貴方を倒します。」


「今の君たちなら、私と対等に戦えると思うか…ハハハ…だがな、今の私はまだその気がない…申し訳ないが失礼させてもらう」


「あ…兄貴、何を言ってるんだ。まだ俺は…」



 会話の途中に、オルハリアンはエンランドに魔法を掛け意識を飛ばした。

そして肩で持ち上げると、そのまま三人に背中を向け歩き出した。

しかし、リオは剣を持ちながらオルハリアンに向かっていった。



「まて!!オルハリアン!エンランド!!」



 必死で切りかかったリオだったが、そのまま二人は残像と共に消えていった。

三人は、それを確かめると武器を収め、ローブ状態を解除した。



「逃げられちゃった…ごめん、ルナ、ミア」


「しょうがないよ…オルハリアンはキングダムの中でも2番めの強者だもん。」


「そうだよ♪それに私達でもキングダムの幹部と戦えるって分かっただけでも成長したと思うよ♪」



 そう言いながら、ルナはメモリーブレスを使い連絡をした。



「こちら魔法少女の方程式です。モンスターの討伐完了です。ただ、エンランドはオルハリアンの助力により逃げられました。」


「こちらドールテン。了解、お疲れ様です。幹部クラスが二人、しかもオルハリアンが来たならしょうがないです。怪我もそんなにしていないみたいなので良かった。そのまま本部に帰還次第、詳細報告をお願いします。」


「了解です。直ちに帰還します。それでは…。ふうぅ…帰ろっか」


「そうだね♪」


「疲れた~、私電車で寝るね~」



 三人は笑顔で帰路についた。

その先にまた新しい試練が待ち受けていること…

新たな出会いと別れがあり…新たな奇跡の軌跡があること…




今、新しい戦いが始まるのであった…







魔法少女の方程式 第一章 がここで終了


次回から第二章が始まります。


第二章はもっと戦いが多くなると思います。

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