#19
家に着き、俺はパソコンの電源を付けた。
調べるのは“大国銀行”について。
だが、どんなに調べても大国銀行に関する記事、サイトは出てこなかった。
というより、閲覧制限というのが掛けられている。
まるで何かを隠すかのように……。
これは……、潜入調査をするしかないのか?
そうするしかない……。
でも、執事の言葉が気になる。
“無駄な好奇心は時として不幸を招きます。時に真実を知らないほうが幸せなのですよ”
数日後の朝。
執事が朝食を用意してくれた。白米、味噌汁、味付け海苔、焼き魚、沢庵 といった和食づくしだ。
1時間かけてゆっくり食べていると不思議とどこか懐かしい味わいがした。
食べ終わると、執事が
「今日は何をしてお過ごし予定ですか?」
と訊いてきた。
「今日は……、もう一度沖縄に行きます」
「そうですか……では、ヘリコプターの準備してまいります」
「ありがとうございます」
すこしずつではあるが、この生活に慣れてきた。
6分後、ヘリコプターの準備ができたそうだ。
ヘリコプターに乗ると執事が
「今日は……沖縄だけですか?」
と訊いてきた。内心ドキッとした。
「……と言いますと?」
「いや……なんとなく訊いてみたかっただけです。もし北海道に行くなら私を家に帰してから行ってくださいね」
「わ、わかりました」
なぜ沖縄に行ったあと北海道に行く予定だというのがバレたのだ?
パソコンで大国銀行のことを調べていたからか?
そうこうしているうちに沖縄に着いた。
「では今回も5時間以内にお戻りくださいませ」
「はい、わかりました」
俺は再びバイクに乗ってテントに向かった。




