スタートライン
-スタートライン-
気になる女の子に対してどれだけ努力できるかって言うのも一つの才能かもしれない。
たとえば、体を鍛えてみるとか。
たとえば、勉強をして成績を良くするとか。
たとえば、オシャレに気を使うとか。
方法は色々とあるかもしれないなぁ。
その中には女の子を諦める選択肢も考えられるわけだ。
右羽津学園から左羽津学園に転校してきて一週間が経った。
俺は努力して振り向かせたい相手に出会ったのだ。
そして、ついでに言うならば努力が全く必要ないであろう魔法のアイテムを手に入れた。
「人はそれを惚れ薬という」
親戚の黒葛原家の女の子から手に入れた惚れ薬。
「……効果絶大。使えば一発で大人のデートも可能」
「おおっ、みやっちゃんすげぇ」
気まぐれな子から渡されたものの、彼女は元から不思議なところがあった為、怪しいアイテムに信頼が置ける。
「……材料はキカナイデほしい」
きっと想像を絶するようなものが使われた事間違いなし。副作用なんかは気にするほどのものではないそうで、それまで好きだった人を嫌いになってしまうとのことである。
こうして俺、四ヵ所冬治の絶対にあっさり終わってしまうであろう恋の道は始まりを告げたのだ。
何せ、あの子に惚れ薬を飲ませるだけでいいんだからなちょろいちょろい。