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その5 『彼女がヒロインと気付いた日』中

上と続けて読んでもらうとわかりやすいかも。

一応中だけでもわかるようにしているつもりですが…。

「小鳥ー!!!」


がばぁと抱きついてきた有希ちゃんを受け止め、というか抱きしめられている私。

昨日のように逃げようとするのはせず、今回は大人しくされるがままにされていた。

…だって全面的に悪いの私だし。

謝っても謝っても許されてもそうじゃなくても反省はしています。

けれど心の中でもう一度謝らせてもらえないだろうか…。


ゴメンなさい、有希ちゃん。


「急に引っ張られて何かと思ったけど、僕の有希が困っていたなら大事だからねぇ」


私に抱きついて視界から外しているようだけど、忘れちゃダメだから。

君島トオルを。



こうなるまでを説明すると。

有希ちゃんを助けるべく知り合いの男性に助けを求めようと駅中にある公衆電話を目指していた私。

そんな中乗り換えの途中なのかこの街に買い物に来ていたのかなんてどうでもいい、そこにいた「君島トオル」を使える!と判断した私は名指しで指名、腕を引っ張って噴水へと向かった。 

お互い自己紹介なんかしたこともないけど昨日顔見知りにはなっていたし、私が有希ちゃんの友人であることや尋常では無い様子、女性には優しいまではわからないけど引っ張られるままに付いて来てくれ、噴水を囲むリングの核があろう場所を指差し、「有希ちゃん、あそこ!」と簡潔(すぎる)な説明。  

あとは颯爽と入って颯爽と有希ちゃんの手を引っ張って来ましたとさ、というわけです。




で。

「こんなところ(歩道)にいるのもなんだし、近くのカフェにでも入ろうか」

私と有希ちゃんに君島トオルが加わるのはさも当然というかのように、そして彼は私たちを近くの店に連れ、私にカフェラテを有希ちゃんにハーブティー、自分にダージリンを用意する(奢りだった)と店奥のテーブルを確保した。


…いや、もう流れについては突っ込まないよ。



私と有希ちゃんが並んで座り、有希ちゃんの向かいには君島トオルが。

それぞれがちゃんと席に着いたところで、私から切り出した。

「有希ちゃん、ごめんなさい」

ぺこり。と頭を下げる。


いやもぅ何がごめんなさいってさっきからそうだけどもぅ色々と。

遅れたのもそうだしそれのせいでいっぱい絡まれて困らせてしまったし、助けるためとはいえ元凶を避けるための協力をしている人物が何故元凶を連れ込むのかと。 

そしてそれと共に行動し、真正面を陣取られてしまうのも含めて全て。


全て最初の「私」が「遅れた」ことからのドミノ倒しな展開である。


「…もぅ、気にしだしたらそうよね、小鳥ってば譲らないんだもの。 

今回だって私が言い出したんだから私にもそれなりに責任はあるのよ。 

まぁ一番は待ち合わせに盛大に遅れた小鳥だろうけど」

「う、う~~~っ」

反論も何も出来ず、私の心に有希ちゃんの言葉が鋭角にヒットする。


ぽんぽん。

「充分反省しているのはわかったから。 これ以上謝ったら怒るからね?」

私の頭で子供あやす様な動作をしているのは有希ちゃんの手の平で。

その彼女の優しい雰囲気の中に言葉通りの「嚇し」がひしひしとまた感じられて…。

「うぅ…わかった」

素直に頷くしか私には許されなかったのである。

「それで良し」



一件落着といった空気をほのぼのと醸し出していたのに、遠慮なく言葉が切り出される。

「さてと。」

その瞬間有希ちゃんの目は鋭くなり、私はその鋭さにビクッと身を引く。

元凶・君島トオルのターン。

「僕にも説明してもらえる権利、あるよね?」



……今日は買い物ドコロじゃあないようです、キツネさん。

 

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