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異世界編 その14 『旅の再出発』

*3つの時間をそれぞれ分解して時間列的順番になってません。

*上から読めば流れは読める、そんな感じ。




…相変わらずのごちゃごちゃぶりですみません。

現実世界ではお目にかかれない『炎』の宝珠の入ったランプの明かりの下に時間が

過ぎるのを待つ。

霧の出ていないこの時間を朝というのには早くて、当てはめるのなら「夜明け前」だろうか。


明かりに照らされたリストバンド型魔術道具マジックアイテムは特殊な繊維を使っているの

だろうか時折チラチラと視界の端で細かに光る。

けれどそれに一々注目するわけにもいかないんで無視。

注目しているのは手元にある2冊の本だった。




『ねぇ出発の前にあの場所に立ち寄って? お願いよ』


夕食の誘いを断りキツネさんと共に立ち去ろうとした時、背を向けたまんまでお願いされた。

その「お願い」は明らかに私に言っていた。

だってその場で理解できたのは私だけだったから。




1つは「赤い本」。

現実世界での事々や異世界については丸ごとの元凶と言うべきモノ。

個人的に更にいえば「魔力拒絶症」なんていう体質まで付け加えてくれたのでホント大した

元凶である。

けれどその元凶を身に付け失くさないようにするばかりか今では日記的なことを綴る「習慣」まで。

生憎昨日今日と移動ばかりなのでエルフの里を出発する前日にまとめて書いておいた。

何でまとめて書くのかといえば異世界での自分の体質の所為。

私はこの「赤い本」に触れると受給魔力量が一気に上がる、らしい(自己判断)。

そうなると気持ち悪くなるわ身体が痺れたりするわで誠に良くない。

別に耐えられないほどではないけどそれによって他の人やキツネさんに迷惑をかけると

考えると無闇に触れない方がいいだろう。

考え無しに行動してしまうことが多々ある私でもそれくらいは自重できる。

と、まぁこの「赤い本」は初めて手にしたその時から嫌々しながら持ち歩いている…日記帳的な

モノかな。

布製のカバーでものっそ分厚いけど。




勇者アイザワ一行の旅路をエルフの巫女さんへの「取材」によって次の目的地が判明した。

聞きたい事は聞けたし、どうも一行の帰路はまたこの里に寄っているのでなぞる様に進めば

おそらくまたここを通るんだろう。

なら私たちも旅の帰路で改めて聞きたいことがあったらそのとき聞けばいいじゃない。

そうキツネさんに言った。

だってそもそも勇者が現実世界に帰還するまでがタイムリミット。

いくら脚の速いっていうか移動が速い飛行獣ラバルを使っての旅とはいえのんびりしてたら

あっという間だ。

次の目的地はオルブライト王国首都アズライト。

ついこないだ出発したばかりのトコロ。

でもって出発は明日。




長針は『2』を過ぎた。

キツネさんも宿全体も、里全体も寝静まった雰囲気、さらに空気もお休みタイムのようで動いて

いる私が異質に感じてしまうそんな中。

んーでも異質コレは嫌いじゃないな。

夜更かしで無駄に冴えてしまっている頭でそう感想を述べながら身体は動く。

宿を出たときから『起動アクセル』して身体能力が上がった私はそれを効率よく活用する

ように地面を足で蹴って跳ねるように前へ前へ。

身体全体を無理なく使えば体力に自信が無い私でも息切れすることなく脇腹を痛めることなく

目的地に到着した。


「2度待たせちゃいましたか」

「ふふふ。 待ちくたびれていないから大丈夫よ」

「そうですか」


場所だけを指定した待ち合わせ。

だから待たせた待ったの会話もおかしい気がするけど、まぁいっか。


「夜明けまで待たされるかと思ったわ」

「…何か心残りでもありましたか」

「『私』はね」

「そうですか」


どことなく違和感を感じたけれど、頷いておいた。

特に返しがこないことからそれで良かったんだろうと内心また頷く。


「実はお話しじゃなくてこれを渡そうかって思いついてね」

「これは…?」


招かれた手に従って待たせてしまった巫女さんの隣に座る。


「『収集の本コレクターズブック』って私は呼んでいるわ。 

 いつ誰が何のために作ったのかその一切がわからない、気が付いたらソコにあった…そんな本」


…何か曰くがあり過ぎる…嫌っぽい予感が脳裏に。




日の出と日の入り時に絶対に出てくる霧はそれほど長居はしない。

気が対いたらささーとやってきて名残惜しむことなくささーと消えていく。

けれど霧はまだ出てこない。


2つ目は『収集の本コレクターズブック』というこれまた怪しい本。

くすんだこげ茶色の見るからに古めかしいその本は「赤い本」のように触れたら体に異変が

起きることはなかった。 

ただザラリとした感触が指に送られ、ずっしりとした重しが不安だった。

昨日からベルトにぶら下がることになった2つの本。

身体の左右にあるそれらは片方であるよりバランスが取れていて、重さに疲れて悲鳴を

上げることはあっても一箇所に集中した痛みがなくなってそれほどそのもの自体には

不満は感じられなかった。


けどなぁ…。


どちらも怪しいに変わりはないのだから巫女さんの思いつきに素直に喜べない。

例え喜んだとしても一体どの辺を喜んでいるのだろうか。

…。

まぁ巫女さんの言っていた本の機能ぐらいしか思いつかない。

確かその機能っていうのは…




「まずこの『収集の本コレクターズブック』には表紙・裏表紙・中表紙・本紙それぞれ全てに

 回路ラインが刻まれている、というより最初からそのようであったかのように1つの存在で

 1つのモノが成存しているの。 だから装飾師である専門家の私でもこの本には手を付けられ

 なかった。 とはいえこの本が何なのか、それくらいは回路を読むことで解読しているし何人

 かが実際にこの本を使ったことがあるから成り立ちに問題があろうとも私たちが使えない

 ことはないの」

「ふぅん…」

巫女さんから渡された問題の本。

差し出されたから受け取ってしまったが…どうやら『赤い本』のように異変は起きないらしい。

良かった。

こげ茶色で皮製の表紙を捲る。

「表紙と裏表紙は同じ回路で、中表紙はちょっと複雑な回路、本紙はの空洞の回路だけ。

 タイトルとかないしただ回路がそれぞれあるだけだから何て呼べばいいか困ったんだから」

パラパラ紙を流していたのを巫女さんの言葉を聞いて表紙を見る。

回路は素人目にはわからないらしいので特にこれといって…って確かに普通はある『タイトル』

がない。

あの『赤い本』でさえ読めないけどタイトル(らしきもの)があったのに。

括弧をつけたのは気分。えぇそれだけですよ(脳内)キツネさん。


「じゃあこの本で何が出来るのか…ふふふ、説明しましょう」

「お願いします」

怪しい笑みとか妙にキラキラした瞳とかは無視の方向で。

「回路があるモノというのは基本的に『始源起動言語アクション・キーワード』のような

 世界基盤への言霊によって刻まれた魔術が発動する、っていうのはわかるわね?

 ただ特定の魔術を指定した回路はその魔術しか発動できない…その『収集の本コレクターズブック』 もヒトの手によって刻まれてはいないけど回路は回路。 例外では無いわ」

やっと真剣な眼差しをし始めた巫女さん。

いや、遅くね? 始めからそれでいようよ。

という台詞はその辺の空想の川に流しちゃって。

「管理司書長さんの持っている魔術道具マジックアイテムは今日私が改良したでしょ?

 その『装填リライト』と『噴出バースト』と同じような機能、とでも言っておきましょう。

 ただ違うのは『注がれた・・・・魔術』を扱うだけのこと」




ふと窓の外を見てみると…霧が出てきたようだ。

どうやらそれなりに時間がたって「日の出」になったらしい。

うっすらと赤を広げる青空は大地との間に霧という白を挟んでいる。


首都アズライトという湖上の島の外、まぁ都という島へ入る為の橋がかかる地点には

入国審査ならぬ入都審査が待ち構えている。

日が沈んだ夜はどの門も閉じてしまうので伝令の兵士とか「国家商人」の証を持った人間

以外は通せんぼされてしまう。

なのでそういった人たちや首都アズライトに入れない個人所有の飛行獣や走行獣は日の出

まで、もしくは用が済むまで入都審査門がある門前街の宿家で過ごすことになる。


なんでこんな説明を入れたのかというと簡単。

私たちもそこにある一軒の宿屋に泊まっているからだ。




巫女さんからの贈り物で左右のバランスが整った私はリストバンドを起動させたまま宿へ。

雨に打たれても多少平気なように撥水加工がある皮でポケットはカバーされている。

なのでそこをよーく見ない限り紙の束なのか本なのかは解らないようになっている。

…まぁ人をよくみるキツネさんはすぐに気付いちゃうんだろうけど。

宿の女将さんや従業員たちはまだ就寝時間のようで寝ずの番をしているエルフの人が

ウトウトしている。

あと1時間もしたら彼もぐっすり眠れるんだろう。

宿を出た際も同じ状態だったので部屋の鍵は持ったまま。

私は静かに部屋へ。


バタン。


細心の注意を払ったドアの閉める音は小さいけれどキチンと出てしまった。

今日中に首都アズライトに到着するためには早朝ここを出発しないといけない。

そのため早起きをするといっていたキツネさんだから小さな音にでも反応して起きて

しまうだろう。

…起きていませんように。


そう心の中で祈りながらトイレやシャワーのある部屋を通り過ぎ、私の寝床であるソファーが

ある部屋へ。

宿代も食事代も自分の財布ではなく経費だ。

なのでそれなりのところに泊まっている。

スウィートルームといった最上級でないのは私とキツネさんが庶民だからだ。

あ、宿の女将さん情報だけど勇者アイザワ一行は上層地にあるログハウスを丸々借りて

いたらしい。

宿に泊まっていたら訪問客が絶えなくて面倒だから、とかいう理由らしいけど…

うん、これは要らない情報だったね。

知ることが出来る人だけが知っていればいいと思う。

私が書くことになっているのには書かなくていい情報だよね、そうだよね?


「そうそう、そうなんだよ…って」


慌てて口を閉じて動きを止める。

せっかく起こさ(抜け出したのをバレ)ないようにしていたのに何言っちゃっているんだ自分!


そのままの体勢でキツネさんがいるはずの寝室の気配を窺う。よし、大丈夫。

「……(ふぅっ、てアレ?)」

数秒間止めていた息を吐き出して気が付いたのは部屋に漂う「イイ」匂い。

っていうかこれは「紅茶」の匂いじゃないか。


何故、と思うより部屋を見渡して確認する。

現実世界でもそうだけど寝る時は真っ暗にするがその寸前までは小さい明かりを付けっ放しな私。

部屋に入ってきたときもソファーのサイドにある小さい机の上にある淡いランプのオカゲで問題

なく進むことが出来た。

なので見渡して確認することも出来た。


あぁ、それか。そういうことか。


なのでちゃーんと全てわかったつもり、だ。




色々思い返していたのを止めて、テーブルに置いている2冊の本をベルトに繋げる。

しっかりと止めてあるかチェックしてから防寒具を被り、手袋とゴーグル、小さいリュックを

抱えてドアの前で振り返る。


門が閉まるギリギリで首都アズライトを出た私とキツネさん、そしてラバルは急遽泊まる宿を

探さないといけなくなった。

飛行獣が入れる獣舎がある宿屋。 料金は特に気にしません。

その条件で探すと結構あっさり空きが見つかった。

色々愚痴を零すおっちゃんは無視してしっかり者の娘さんに部屋に案内してもらった。

…まぁ勇者帰還で盛り上がっているから部屋が満室になるのはそうだろうしだからどんな部屋

でも良いとは言ったけどシングルか。ベット1つか。また私ソファーか。

キツネさんは私にベットどうぞって言ってくれたけど飛行獣を操っているのはキツネさんなのだ。

充分な睡眠と快適な睡眠をとる権利はキツネさんにある筈。

だからベットをキツネさんに譲って私はソファーにぐてーと慣れたように横になったのだ。


そんなベットを占領していたキツネさんは「夜明け前」に飛行獣ラバルの準備と言って

重い荷物とともに先に宿を出た。 きっと獣舎か宿裏にある広場にいるだろう。


「……」


忘れ物が無いか視線で確認。

元々一泊で少々時間に厳しい旅と設定付けているため持っている荷物をそうそう広げることはしない。

広げても手が届く範囲だけでその場を離れるなら回収した。

なので入ったときとほぼ同じ部屋の様子。 ちょっと違うとしたら人の出入りがあった雰囲気ぐらい?

まぁそんなのはいいか、忘れ物なければいいんだし。


時間的には「日の出」のこの時間はすでにお仕事の時間らしく、食堂フロアに行くとしっかり者

の娘さんに会えたため簡単なお願いとその我侭なお願いにそれ同等のチップを握らせる。

「はいはい毎度! またのご利用をお待ちしています」


すでに霧は去って角度の低い朝日は実に眩しい。

私は荷物に小さい包みを二つ追加してその宿屋を出た。

うん、本日も晴天。



「確かにリストバンド型魔術道具マジックアイテムと同じような機能ならいらないと思うけど、

 この『収集の本コレクターズブック』は言わばあなたの防御。

 『噴出バースト』は攻撃のようだけど本当は「逃げる」ための機能。

 だって管理司書長さん、「闘え」ないでしょ?」

「まぁね」

現実世界というのは闘う機会もないですし。この異世界でもそれとは無縁だったようですし。

「補佐さんはどうやら軍人出身らしいから、「闘えない」人はその人の邪魔にならないように

 努力するしかないでしょう?」

…巫女さんの言いたいこと、だいたいわかってきた。

「私は巫女さんじゃないよ? コトリだよ」

「ふふふ…嘘つき」




朝早くから申し訳ないけど、一応長老さんに出発する旨を伝えておいた。

私とキツネさんは勇者でもないし目立ちたくないから見送りとかは一切なし。

ひっそりと静かにエルフの里、ヴィフィールの里を出発した。




宿裏にある空き地という広場。

獣舎を覗く前にそっちに足を向けると一発で当たり。 まぁ2択だったんだけどね。

「キツネさん」

声をかけると一旦作業を止めて、振り向いた。

「おはようございます、小鳥さん」

「おはようございます。 ラバルもおはようさん」

「クァーッ」

拘束具をつけたままなので視線と鳴き声で挨拶を返してくるラバル。

荷物もすでにセットしてあるから準備を終えて点検でもしていたんだろう。

「じゃああとはコレですね」

手にしてた小さい包みを1つキツネさんに。

「従業員用の朝ごはんを2つほど貰いました。 サンドウィッチだからココで食べちゃいましょう」

「なるほどコレは…おいしいですね」

旅の再出発までもうすぐ。




その情報をゲットした時、動き回っていたからあまり自覚はなかったけれど日が

沈みかけていた。

『国家図書庫管理司書長』っていう身分証明書的なモノもあるし入都審査のパスは簡単だとは

思うけど次の目的地はわかったのだから首都入りせずにこのまま門前街で一晩休んで明日早朝出発しよう。

そう決まった。


「じゃあさっさと裏付け取りに行きましょうかキツネさん」

「途中ラバルが預けられる宿屋もチェックしておきましょう。 荷物を持っているラバルを無理に

 連れまわすことはないですからね。 明日出発なら尚更です」

「だね。 明日からも随分な移動になりそうだしね」

「そうですよ、小鳥さん」


私たちがゲットした情報はこうだ。

『勇者一行が使った馬がオルブライト王国とアジュラ連合国の国境にあるザンヴィレラ町から

アジュラ商人連の者によって門前街ここに返還された』

情報源は何やら怪しい壺を抱えた胡散臭い男が関わっているし色々あったんだけどココは省略。

取り合えず次の目的地は国境にあるザンヴィレラ町。

急がないと霧が始まってしまう。




「嘘つきねぇ…お互い様だと思う」

「そうねお互い様ね」

ふふふという笑いからはぁ、とため息を1つ。

「でもそうしないと、私は壊れてしまうわ」

「まぁ、そんなもんでしょう」




本日も晴天、って2度目か。

けれど2度目の旅立ち、再出発にはやはりこの青空は欠かせないと思う。

次の目的地「ザンヴィレラ街」は地図で見る限りエルフの里よりもはるかに遠い。

途中どこかで一泊しての移動になるかもしれません、と言われた。

まぁ旅であるわけだしそれはしょうがないでしょう。


鋭い鋭角に位置する太陽はそれほど温かくはないけれど、眩しい。

地を離れたためその眩しさを遮るものがほとんどなくなり、ゴーグルをしていても目が痛い。

俯き気味の体勢になり影を作る。

「ねぇキツネさん」

きっと手綱を握るキツネさんだからまっすぐ進行方向を見ているのだろう。

もしかしたらサングラスみたいにそういった加工がされているゴーグルなのかもしれない。

「何ですか? 小鳥さん」

ラバルが風に乗ってスピードを上げ、前方からの風が強くなる。

そんな状態で身体を動かせば危ない。

けれど言葉は聞こえ合っている。


「あの『紅茶』、美味しかったですよ」

「…ありがとうございます」

 

ほら、ちゃんと聞こえ合っている。






↓おまけ ~ミレシアン様と国王陛下とカトリーヌとか~


奥中庭の庭園にてティーブレイク中の国王陛下夫妻と護衛のカトリーヌ。

「カトリーヌ」

「はい、何でしょうかミレシアン国妃様」

「勇者アイザワは確か14歳でしたね」

「本人はそう言っています」

ミレシアン、国王陛下のほうを向く。

「ねぇ陛下。 結婚に年の差なんて関係ないですよね?」

恋愛じゃなくていきなり結婚ですか、そんなツッコミはできないカトリーヌ。

「うむ。」


「あの申し訳ありませんが何のお話でしょうか」

恐る恐る訊ねるカトリーヌ。

「何って決まっているじゃないですか。 孫の婚約者ですよ」

「うむ。」

「えっ」

固まる。えぇそりゃあ固まりますよね。だって、

「まだフランフォルグ様とマリフェリア様は婚約中で結婚式はまだですし俗に言う

 『出来ちゃった婚』でもないじゃないですか!」

「あらあら俗に言うなんて」

「え、流されちゃいました今の!?」

パニくるカトリーヌ。


「まぁあなたの言うことも理解わかってますのよ? まだカタチもない孫の結婚相手を

 決めているなんて」

「それもそうですがアイザワは元の世界に帰ってしまうのですよ?」

「簡単なことです。 返還召換の儀を止めればいいですし、執り行うのは私なのです。

失敗したフリをしたら済む話です」

「なっ!?」

しれっというか何当たり前のこと言わせんの、な態度で言われると何だか自分の方が悪いじゃないか。

残り少ない冷静なカトリーヌが心の中だけで呟く。


「カトリーヌ」

「…はい」

「そんなにアイザワに帰ってほしいのですか」

「え、いや私はそれが当然だと…」

「ではこうしましょう。 カトリーヌとアイザワが結婚し、その子供とフランフォルグの子供が

 結婚するのは。順々にいけば年も差ほど離れていませんし」キラーン。

「は、はぁあ!?」

「うむ。」


その後何とかカトリーヌは己とアイザワとの結婚とかnot帰還を思い止まらせることに成功。

そんなタイミングで運良く(?)同僚の騎士から呼び出しされていると伝えられたため護衛を

代わってもらい、その場を去る。


「しかし流石は我が賢妻よ」

「あら陛下、何のことです?」

「男か女かわからぬ孫の婚約や勇者帰還の取り消し、さらにヴィストリアの娘との婚約なんぞ

 全て嘘であって使い捨ての材料だな」

「おほほほ。 当たり前です」

「…にしても本命はその娘に前夜祭でドレスを着させることとはな」

「本夜祭では勇者一行の一人として騎士の正装で参加するとか言うのですもの。

 こういう時でないと着飾れませんし身内のみ出席の前夜祭とはいえ他国の方々もいらっしゃいます。

 結婚相手を見繕うチャンスではありませんか」

「うむ。ヴィストリアの娘もそろそろ決めておかないとな、親がアレだから期待できんし」

「えぇ。ですから油断は禁物ですよ」


「…何でそう僕に試練を与えまくるんですか、貴方たちは」


「「面白いからに決まっているだろう(でしょう)」」


はぁ…とカトリーヌの同僚で幼馴染な感じで異性としては一番親しいと自覚はあるがそれまででちなみに昔から現在まで想いを寄せているのは周囲に知られているのに本人は気付かなくてけれど目の前の人達みたいに全く応援されないむしろ嫌がらせかと思う試練とかを与えられるこの現状を打破するべくこの前占いが得意な旅の仲間に未来を占ってもらったらその年下のはずの彼に肩を叩かれて頑張ってくださいとか言われて占いの結果ではなくおすすめの胃薬とか教えられてしまい愕然としたけどポジティブに考えればまだドチラも可能性はあるということでただドチラにしてもこの人達とかは変わらないって言うだけのことで結局は教えられた胃薬は常備しておいた方がいいだろうという結論に至りあぁウッド性に戻りたいと泣きそうになるが同僚として信頼されている自分を捨てることも出来ないベイトソン性の自分に吐き気がするがそんなこんなで昔から耐えることに慣れているため結局は面白いからなんていう理由で与えられた試練をご要望どおり楽しませながら合格していくんだろう、とケルヴィン・J・ベイトソンはため息をついた。



いつもより2倍の文量です。

分けて投稿しようかとも思いましたがサブタイ固定で書いているんで

一気に投稿することにしました。


おまけは…おまけなんでノリで書くことが多いです。最後の一文はお暇

でしたら読んでみてください。

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