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その2 『少年を見送った日』下

上下セットで一つの話なので、「その2」です。





小鳥遊たかなし 小鳥ことりです。


昨日は主人公フラグ、そして本日は巻き込まれフラグですか。


いやーこれはこれは派手に立ち上げますね……。




はい、現実逃避を止めます。




状況は簡単に言えば予想通りという感じ。


えぇ、見つかりました。


昨日思わず「ツッコミを口に出してしまった」から主人公フラグを手に入れてしまったのに先程も「んなもんいるか!」と「ツッコミを口に出してしまった」んですよ。


そんなことをすれば当然の事ながら異世界の魔女(脳内確定)美少女が真っ先に私を見つけ、学生の少年も同じく。





「へぇ、アルファベットを崩したような字なんだねー」


「だよな、全く読めない」


「当然でしょ。 私の使っている文字なんだから」


「ここに書かれている世界に行けるって事でしょ?」


「っそ。 ほとんど魔法がある世界だけど、ドレがいい?」


「どれって言われてもなぁー」




そして現在その異界光景に参加してます。


上から私、少年、美少女、私、美少女、少年。


少年…名前を聞きそびれているのでわからないけれど、近くによって顔を見てみればそれなりに整っている顔立ちだった。


「異世界に行きたい」などとほざいているので中身が幼いだろうが「異世界冒険」とかすれば立派な青年になるでしょう、マル。


…主人公ってこんな感じだよな、って後々言われるようなタイプ。




つまり。


こんなヤツに任せていたらトンデもな世界に飛ばされかねないってことだ。




「決定権がキミにあるようだから聞くけどさ、どんな異世界がいいの?」


「どんなって・・・魔法があって人間以外の種族があったり…」


ダメだ、これは。


「あのね、異世界そのものにそんな要求するんじゃなくて、もうちょっと自分に欲張ってみようってコト」


「自分に欲張る?」


「そーね。 その方が世界も絞れるし、あたしは賛成よ」


美少女(魔女)からのお許しも出たので、早速少年と会議することに。


…あ。 これって私も一緒に飛ばされる前提だったりする?


ヤバくね?





「魔法は使いたい?」


「もちろん!」


「じゃあ「魔法剣士」と「魔法使い」、どっちになりたいの?」


「んーやっぱ剣道してるし、けど魔法も使いたいから「魔法剣士」だなっ」


「決まった」





なにが?と、とぼ(フザ)けた少年は無視し、美少女(魔女。何度も言ってやる)の方に向く。


「どんなトコロがいい?」


「一言で言えば‘彼を勇者として歓迎する’世界、だね」


「そ。」


我ながら良い条件を付けた、と満足しながら美少女(魔女)が紙束をパラパラと捲る様を見る。


どのページも蛇みたいに崩れたアルファベットがズラズラ。 目に入る単語が全く読めないしわからないので文字通り見るだけだが、果たして本当にそんな異世界が見つかるのやら。





「…ゆ…勇者…募集中は…魔法行使可は…」





その紙束は求人募集誌ですか。


色々とツッコミ過ぎると巻き込まれてしまう確率が上がると危惧し、ノドまで来ていた言葉を飲み込む。


ふー危ない危ない。





「あったわ。」





例え少年と一緒に飛ばされる前提で決まったとしても…ってあれ?

 

一緒に飛ばされるなんてヒロイン…?ってダメじゃん!

 

私はそーゆーコトっていうかそもそも自分の日常以外に関わらない方針の元、生きていくとしてたのに!




「じゃ、早速キミをご希望の「ふぁんたじー」な世界に送るね」


「え、今すぐ?」


「っそ。 思い立ったら吉日って言うんだっけ? まぁこの世界のモノはホトンド使えないから色々準備してっても無駄だし。なら別に今でも問題はないでしょ」


「あーまぁーそうなるのか?」


「そうなるの。」





美少女(魔女)と少年が話しているのを横目に見ながら私はどうするのかを考えた。





このままだと私は少年と飛ばされてしまうのか?いや、美少女(魔女)の言葉だと少年のみっぽいし何やら二人の世界に突入しかけているから私は無関係な人間としてこのままフェードアウトか?

なら一歩後退して異界光景から脱することが一番最適だと思うし、すぐにそれを実行することが大事だ。

けれどまたそれによって二人…っていうか美少女(魔女)に目を付けられたらもお仕舞いだ。

穏便にこの場面をやり過ごせばいいのか…何かしらを捨てなければ逃げられないのはわかるがそれによって日常を失うのはやってはならないことである。


だからといって……。




「ねぇねぇ」




あ。


「…何でしょう?」


考えることに嵌まり込んでいた私は美少女(魔女)に否定したい現実に戻された。


「カレの見送りはしないの?」


「へ?」


美少女(魔女)の指差す方を見てみれば何やら幾何学模様や出身不明の文字によって複雑に描かれた「魔方陣」。


その上には興奮やら不安で表情をカッチカチにした少年の姿が。


あれ…? どうやら私は「異世界に勇者として召喚される少年を見送る」というイベント中らしい。


え、もしかして悩んだのは無駄ってことですか。


まぁ私が巻き込まれないのはわかったのでここは「見送る」しかないだろう。


と、いうことで。





「少年」


「少年? あ、はい」


「主人公だからって油断しないように頑張って。

 私はココにずっといるからさ、また会えたらどんな世界だったかその時は教えてよ」


「うん、わかった!」




やや強張っていたけれど笑顔が見れたので隣にいる美少女(魔女)に視線を送る。


名前をも知らない少年ってか、初めましてなのもスっ飛ばした状況ではあるけれど「日常」から「非日常」へと自ら進んだのに敬意を称して「頑張れ」とエールを。




視線を受けた美少女(魔女)はちゃんと分かってくれたようで、魔方陣に向かって何かしらの言葉を呟くとソレは発光を強くし、眩しいくらいになった。




「……   !!」




眩しさを腕をかざすことでなんとか堪えていたけれど、光が少年を塗りつぶすようにその姿が消されていく。


何やら少年がコッチに向かって声を上げていたがそれも光が消してしまって何の音も聞こえなかった。


目を細めて少年の口の動きで読み取ろうかとしたところで光と共にこの世界から消えてしまった。



こうして、私の目の前で「異世界召喚」イベントは終了した。



こんな感じで脇役みたいな?ポジションでこの物語の主人公は色々関わっていきます。もちろん、キツネさんも一緒に。

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