表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/42

異世界編 その1『現状把握』

今回から異世界編に入ります。

その64まである予定です。

「いてっ!」



「…小鳥さん?」

何だか額がすごく痛い。

急にうつ伏せになった身体を動かし、のそのそと顔を上げる。

ずっと座りっぱなしだったようでお尻の感覚がない。

って。そんなことより。


「キツネさん…」

「何ですか?」

「説明お願いします」


私は小鳥遊たかなし 小鳥ことり、公立高校に通う高校一年生。

最近『赤い布製カバーの名前のない本』をゲットしてしまい、そこから学び舎がラブコメとなり、

それに色々と関わってしまったので何とか逃れようと必死だったのが昨日まで。

本日からは一旦ラブコメが落ち着いたので「あぁ明日から『平穏』…!」と舞い踊っていたのが

つい最近始めたバイト中のこと。


そんなことらをつらつらと地味に『わたしとキツネさんと赤い本』なんていうまんまなタイトルがついた例の本に日記のように綴った。

そして寝る前にもこれで落ち着くよなーなんて思いながら書いた。

えぇ、書きましたとも。

そして寝たんですとも。

ですから、説明お願いします。


「何故私は無駄に大きい木製の机にうつ伏せで寝てたのか。

 何故私は図書館みたいな部屋にいるのか。

 何故、ですかキツネさん…」


「異世界だからですよ」


な、なんですと…!!




「ふぅ」

キツネさんに淹れて貰ったお茶は異世界のモノみたいだけど、味としては紅茶そっくり。

見た目はやや濃いけれど・・・。

取り合えず、私が気が付いた時というのがキツネさんがお茶を淹れた時だったので、

説明を聞きながら紅茶らしいお茶を・・・

「あぁ、『紅茶』ですよ、名称。 一般的なお茶の一つです」

…『紅茶』を飲みながら一旦整理しよう。 しょうがないから。


ちくしょー、おいしいじゃんかこの紅茶。


…私がいるココは『国家図書庫』、まぁ国内で発行された書物を収集、所蔵しているトコロ。

でもって国っていうのは『オルブライト王国』で、『首都アズライト』にある王城の一角に

この部屋は存在している。 

ちなみに所蔵数がそれなりなものなんで部屋、というよりは図書館。

でもって私は『図書庫管理司書長』でキツネさんは『司書長補佐』…この辺の設定は

「そーゆーもんです」な感じで流すのが一番らしいです、キツネさん曰く。

私だっていつそんな役職に就いたのか記憶ないし。

私が気がついたのはついさっきで、キツネさんはこの世界の一週間前に来ちゃったらしい。

ご愁傷様。

まぁそのオカゲで落ち着いて説明が聞けるんだけど。

納得するっていうよりは「そーゆーもん」って頭にぶち込むしかない。

だって、すぐ隣にあの『赤い本』が普通にあるし。お気に入りのボールペンと共に。


…あぁ説明のまとめだった、話がずれた。


とはいうものの…紅茶の入ったティーカップが空になっておかわりでも頂戴したいなとか

思ってたら軽装備の兵士がノックの後に入ってきて。


「司書長殿、ミレシアン国妃様がお呼びです」


え、何この展開。

そー思ったが呼び出し相手はとてつもなく上の人。だって『国妃』だぜ?

素直についていく他無かった。

あ、でもキツネさんも一緒にね。


水晶の間。

そこにいるらしいミレシアン様…うー生まれて初めて人に様とかつけたし。

タヌキ様とはいうのは愛称だから別カウントなんです。

話がズレやすいな…だって異世界だもんな。

水晶の間というのは勇者が召喚された場所であり、一般の兵士は入れなくて神聖な場所。

何故そこにいるのかは案内役の兵士に聞くことでもないと思って聞かなかった。

だって軽装備だしねぇ。明らか下っ端っぽい。


案内の兵士、私、キツネさん…縦に並んで歩いてます。

歩きながら周囲を見る。

石レンガの壁。 フカフカな絨毯が敷かれた通路。 電気何ソレ?な感じの照明。火っぽい?

途中掛け声が聞こえたので見てみると窓の向こうの敷地で兵士が訓練中のようで。

格好が明らか案内の兵士より凝っていて派手。 中装備くらい、かな。

そして呪文っぽいのを唱えて手に持っていた長槍に火が纏わりついた。


ふぁ、ファンタジーな異世界!!!


声に出さなかったが思わず足を止めてしまった私に案内の兵士が「どうかされましたか?」と声をかけ、キツネさんが後ろから肩をポンっと叩いた。

「諦めなさい、小鳥さん」

一週間前からいるキツネさんは知ってたであろう、『魔法』という存在。

私は…そうだ、あれ(赤い本)をうらんでやろう。漢字が違う?

そこんところは私の心情を読み取ってくれ。



そして到着しました、水晶の間の前。

ちょっと前に「ここからは自分は立ち入れないので」と案内の兵士と別れた。

どうやら水晶の間に繋がる通路にも兵士が立っていて、そこから先はある一定以上の役職の者しか入れないようです。 

「いらない情報くれましたね、キツネさん」

「知ってました? 司書長って実は独立した王族直属の一部門の長なんですよ」

「知っているわけないじゃん、です」

更に余計な知識をもらいつつ深呼吸をして水晶の間の前に立つ。


「国庫管理司書長、その補佐計2名、ミレシアン様の命により参上しました」


「入りなさい」

小さいがよく通る綺麗な声が聞こえた。

観音開きな扉の前には警備の兵士がいない。

…どうやらキツネさんのある一定って実は途轍もなく高いんじゃ?

考えたくも無いことだったので流す。


キツネさんに扉を開けてもらい、中に踏み出す。

その途端。


空気が体に纏わり付いて気分が直角に下向。

気持ち悪い。すんごく。 そして何か吐き気もする。すんごく。


流石に女王様の前でそんな様子を出したりするのは駄目と思うので

必死に堪えて無表情に。

「・・・あまり時間がないので手短に言いましょう」

水晶の間、という割には水晶というのが見受けられない。

あるのは水が湧き続けているのに溢れない、という石で囲まれた人工的な池。

その池の水が発光しているのが池の底…人工建物内だからそんなに深くないハズ…が

発光しているかはわからないけれど、空間内の三分の一を占める大きさなので明るさは

周囲を把握できるくらい。っていうか気持ち悪い。

中にはミレシアン様一人のようで、西洋人みたいな顔つきに金髪と藍色の瞳。

30~40代のようで何というか威厳のあるお方。当然、綺麗な方です。

「勇者の軌跡を我が国家図書庫に所蔵すること」

「…勇者、というと」

「えぇ、つい先程『報せ』によりわかったことなのですが…

 勇者・アイザワが近日帰還します」

ですから。とミレシアン様は続けた。

「国家図書管理司書長コトリに命じます。 

 このアイザワの旅路を本に纏め、『我ら』の所蔵の一つとしなさい」

マジで気持ち悪いんですが。



水晶の間を出る。

ミレシアン様の命令はそもそも断ることなんて出来ないし、わかんないことだらけだけど

気持ち悪いし、あとでキツネさんに聞けば良いやなんて思ったし、吐き気がするし、

了解しましたと返事をして「ではお願いしますね」と言われたし。


「キツネさん」

「どうかしましたか?」


来たばっかりの私じゃあ元の部屋、国家図書庫の場所がわからないので

キツネさんのあとについて歩いている中。


「キモ、ヂ悪い…もぅムリ…ポ」


体が重いし眩暈が酷くて視界に色素がないし何かを吐き出したいけどねっとりとしていてムリだし。

あれはいつだっけ…約一時間前に異世界にやってきた私は原因不明の気持ち悪さと吐き気に

意識がブラックアウトした。




小鳥が倒れたのを地面にぶつかる前に慌ててキャッチしたキツネさん。

「…無理っぽくないじゃないですか」

そして抱かえたまま仕事場でなく初めて行くことになる医務室へと向かう。



…異世界に来ちゃった割にはあまりパニックもないし説明不足ですがちょろちょろ

としていく予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ