だから?
「姫…。フレーダ荘園の背後には、不味い連中がいるみたいですぜ」
盗賊団『荒野の墓』の連中は、いつの間にか、私のことを姫と呼ぶ。
「だれでしゅか?」[誰ですか?]
「はい…。死の標的や探求結社です」
何度も言うが、暗殺者や秘密結社などの夢物語みたいな職も組織も、5度この世界を体験してきて、見たことも聞いたこともなど無かった。それは都市伝説としては有名だったが。しかし、操り人形と遭遇した今、信じるに値する情報だった。
「だからなんでしゅか?」[だから何ですか?]
「あ…いえ、一歩間違えば、こちらが皆殺しに…」
「あなたたちがごうもんしゃれても、わたちのことはいえましゃん」[貴方達が拷問されても、私の事は言えません]
盗賊団が、捕まろうが、殺されようが、私には何の関係もない。人外がフレーダ荘園を襲い、私を監視する何者かが死んで、ついでに資金が手に入れば良いだけなのだ。
「つ、つまり…。捕まっても、殺されても、襲撃は…計画通りと?」
「しょのとおりでしゅ」[その通りです]
貧民街のアジトに集まったエルゼを含む56名の構成員は、この瞬間に死刑宣告されたも同然であった。 操り人形に所属している謎の少女から、神具により、悪魔の子セーラに服従させられているため、逆らうことも逃げることも出来ず、ただ…命令に従うしか無い。
「またちゅかまえてくだしゃいね」[また捕まえてくださいね]
エルゼは、危機感の無いセーラに憤りを感じた。どうにかして、中止を説得しなければ…。
「操り人形の少女を捕まえたのは、本当に奇跡だった。たまたま街に来ていた少女と口論となり、少女が神具を使い、仲間同士で殺し合いをさせられていた最中に、貧民街のガキが…偶然に人形を盗み…俺達は、そのガキが盗んだ人形を、素早く盗んだだけだ…。
それに、探求結社は、よくわからねぇが…死の標的は、ヤバい。本気でヤバいんだよ…。殺すことに何の躊躇もない。持っている神具も、操り人形の用に遊び道具じゃない…殺すための道具なんだよ!!」
しばらくセーラは、感情が死滅した瞳でエルゼをジッと見つめたいた。
「とてもたのしみでしゅ」[とても楽しみです]
何も変わらないどころか、余計に興味を持たれてしまった。
「わたしはいしょがしいのでしゅ」[私は忙しいのです]
レイナの自宅に行こうとしていたら、盗賊団員に呼び止められたのだ。自分たちの命のために、私の計画を中止させようとするなどありえない。
今は、お兄ぃに、レイナという彼女をあてがてて作って、女を勉強させなければならないのだ!!これ以上、くだらない戯言に付き合う時間など無いのだ。
盗賊団員の一人に、貧民街を出るまで護衛させる。しかし、体が大きいだけで、まったく盗賊としての警戒心もなければ、足運びでもない。見ているだけでイライラしてくる。
もしも、襲撃で生き残り、五芒星からの制裁を受けないのであれば、こいつらを鍛え直すのも良い暇つぶしになりそうだな。




