出任せ
「かぁーっ。本当に、可愛げのねぇガキだな」
「ほっとけ。相手にするな」
「酒だ、酒。今日はボスが、いねぇ日なんだ。飲もうぜ!」
(ボス? こいつらだけじゃないのか。人数が増える前に、どうにか脱出しないと…)
しかし、盗賊たちの情報網は、中々、役に立った。王族のこと。荘園の主のこと。この街の裏事情など…。しかし、操り人形という組織のことは聞いたことが無かった。
「あっ!?」
「どうした?」
「って、言うか…このガキ連れてきたら、不味くね?」
「何でだよ?」
「ボスに…この宝物殿の監視サボってたことバレるだろ?」
(宝物殿!? ここが? おいおい、笑わせるなよ…。ちょっとした骨董品店以下の品揃えじゃないかよ…)
「確かに…。不味いな…」
「どうする? 殺すか?」
「馬鹿、殺すことはねぇーだろ」
「かってにはいってきたことにしゅれば?」[勝手に入って来た事にすれば?]
「あっ? ガキは黙ってろ!!」
「待て待て…確かに、勝手に入って来て、中を見られたから、拘束したことにする…か?」
「馬鹿野郎! そしたら戸締まりを怠ったことに…」
「おい、ここ錠前なんて、元からねーよ」
「そうか、なら…ガキの言う通り…」
「しかし、お前…本当に、ガキなのか? 俺達が怖くねぇのか?」
「いえにいても、ころされましゅ。こっちのほうがあんぜんでしゅ」[家にいても、殺されます。こっちの方が安全です]
「どういうことだ? あぁ…あの噂はマジってことか?」
「ライズが、悪魔のガキを殺すってやつか?」
「マジかよ…。こんな小さなガキが…腹くくって…殺されるのを待ってるのかよ」
「ゆうかいされて、たすかってでしゅ」[誘拐されて、助かったです]
「おいおい。ガキ。俺達は、お前を…売り飛ばそうとしているんだぞ?」
「それこそ、ガキに理解るわけがねぇ」
「しってましゅ。どれいでごうもん、されてしにましゅ」[知ってます。奴隷で拷問、されて死にます]
「ガキ、お前のおやじに言われたのか?」
「そうでしゅ」[そうです]
私は、壁に掛けられたリュートを指差す。
「さいごにえんしょうしたいでしゅ。ママにおそわったでしゅ」[最後に演奏したいです。ママに教わったです]
「おい、このガキ、やっぱり、自分がどうなるか、わかってんじゃねーのか?」
「最後って…」
「ママか…一番幸せだったのかな?」
「おいおい、待て待て、こいつが来た翌日に、母親は死んだんだ。教われるわけねーだろ」
(ほう…よく調べているな…)




