表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

エピローグ

書きたくなったんで

 初夏の空は青く、薄い雲がゆっくりと流れていく。やわらかな陽光の差し込む窓辺のサイドテーブルに、その雲のようなベールがその上にそっとのせられている。アンジェは花嫁衣装に身を包み、窓の外を見つめていた。そこにノックの音が響く。


「どうぞ」

「アンジェ……あらまあ、そんな顔をして」


 顔を出したのはグレンダだった。喪の明けた彼女は薄い紫のドレスに身を包んでいる。


「あなたは花嫁なのよ?」

「……今になって怖くなってしまって。グレンダ未亡人」

「何が?」

「幸せで……」


 アンジェがそう答えると、グレンダは一瞬きょとんとした顔をしてその後笑い出した。


「何を考えているのかと思ったら……。でもまあ分かるわ。あなたはこの幸せがいつまで続くかこわいのね?」

「ええ……夢だったらどうしようって」

「私もそうだったわ」


 苦笑しながらそう言うグレンダに、アンジェは思わず聞き返した。


「あなたもですか?」

「ええ。遠いへーリアから愛する人だけを頼りにこの国に来たわ。思ったよりも短い時間だったけれど……」

「グレンダ……」

「アンジェ。でも私は幸せだったわ。なにも後悔はないの。それだけ彼を愛したから」


 グレンダはそう言うと、サイドテーブルの上のベールを手に取った。


「さあ、あなたは今日、この国一番の幸せな花嫁よ」

「はい……」


 母親を亡くしたアンジェにとって、今日はグレンダが母親代わり。彼女にベールを着けてもらい、その手を引かれて部屋の外に出た。



***


「よろしく、アンジェ」

「こちらこそ」


 ブラッドリーがあんな事になったので、バージンロードを一緒に歩くのは母方の伯父のスモールウッド子爵だ。エインズワース領の美しい白い教会はもう目の前。


「お姉様、綺麗……」

「ルシアもかわいいわ。天使みたい」

「うふふふ」


 厳かに教会の扉が開く。ルシアがバスケットいっぱいの花びらをまいて進む。招待客たちは、愛で結ばれた二人の婚姻を見届けようと待っている。その中には王太子殿下の姿もあった。しかし、この中の誰も……二人の婚約が偽りのものであったことを知らない。


 だが……祭壇の前には礼服を着たルーカスが立っている。その目はこの上もなく愛おしいものを見つけた、というように細められた。


「アンジェを頼みます」

「はい……必ず幸せにします」


 スモールウッド子爵からアンジェを引き渡されたルーカスはそう言って微笑む。祭壇の上の司祭は厳かに式を続けた。


「今日この日、二人が夫婦となることを認める」

「はい」

「それでは、署名を。そして指輪の交換を」


 アンジェは結婚証明書に『アンジェ・エインズワース』と書いた。するとライナスがリングピローに指輪を載せてやってきた。


「ルーカスさん、姉様をよろしくね」

「ああ、ナイトの役割は今日で交代だ」


 そしてアンジェの指に指輪がはまる。そしてアンジェは震えながらルーカスの指に指輪をはめた。


「では誓いのキスを……」


 ふわり、とアンジェのベールが引き上げられる。


「アンジェ」

「ルーカス……」


 少し切れ長の、優しいすみれ色の瞳がアンジェの目の前にある。アンジェはそっと目を閉じた。ルーカスはアンジェの手を握りしめたまま、その唇にキスを落とす。


「エインズワース伯爵夫妻、二人の婚姻は成されました」


 その途端に拍手が起こった。グレンダは涙ぐんでハンカチを握りしめている。


「幸せだわ……」


 アンジェがそう呟くと、ルーカスはその顔を覗きこんでくすりと笑った。


「これで終わりだと思ってる……?」

「えっ?」

「……俺達はもっと幸せになるんだよ。覚悟しておいてくれ」


ご要望もありましたので、連載版投稿しました。

こちらでは省いた人物の掘り下げや新たなキャラクターや、ストーリーの深掘りをして

じれじれどきどきマシマシでお送りしております。

良ければこちらの連載版もご覧ください。下のリンクから飛べます。



※連載版こちらの内容に追いつきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連載版はじめました。
色々マシマシでお送りいたします。

没落令嬢は鉄の伯爵の愛し方がわかりません【連載版】

❁❁❁よろしくお願いいたします❁❁❁
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ