最初の設定はシンプルに
小説を書き始めると、いろいろと設定を凝ってみたり、登場人物を増やしてみたりと、あれこれやりたくなるものです。
しかし、実際やってみるとわかるのですが、最初からあれこれと凝りすぎると、「管理が大変」になってきます。
特にやってしまいがちなのが、最初にあれやこれや設定に凝りすぎた結果、すべての設定を生かすことができないばかりか、話の中で設定と矛盾したことが起こる、ということです。
ありがちな話としては、プロローグと称して延々と物語の設定や背景を語り続けるもの。
RPGの冒頭で使われてたり、商業紙でも見かけることはあるのですが、しっかり読んで頭の中に入ってる人はどのくらいいるのでしょうか。
前にもちょっと書きましたが、設定というものは、読者の頭の中に入って、それを出来事に関与させて「こういう設定だからこうなんだ」と理解できて初めて意味があるものとなります。
理解させるためには、出てきた設定をできるだけ早く使った出来事を書くのがよいのですが、最初から設定ばかりバンバン並べられても、うまく消化できないと思います。
設定を複雑にしても、その設定をうまく利用できる筆者はたくさんいますし、そういう人はうまく理解させる方法を知っていると思います。
しかし、そういう方法を知らずに設定をばらまいても、読者は理解できないでしょう。
どんな文章でも、読者が理解してくれなければ面白味もわかりませんし、読んでいて楽しくないでしょう。
しかし、書くのならいろいろと設定したいことは出てくる。ではどうするか。
ひとまず、「これだけは理解してもらいたい」という設定を一つ作っておくことです。
どういう出来事を軸にして話を進めていくのか、どういう登場人物を軸にして話を進めていくのか。それを一つ決め、そこから話を進めるにつれて、徐々に設定を明らかにしていくとよいでしょう。
複雑な話も、シンプルな設定があって、そこから広げて複雑にしているのです。
複雑な話にしがちなものに、VRMMORPGや異世界物があげられます。
VRMMORPGなんかは、ゲームシステムはおろか、そのゲームが存在する時代背景やら登場人物やら、とにかく設定しなければいけないものが多すぎるんです。私はよくこんなの平気で書けるなと思います。
もっとも、VRMMORPGは、いろいろ氾濫すぎているせいで、設定や説明を端折ったり、どこかで見たような文章で賄ったりしているのではないかと思います。読んだことがないので、何とも言えませんが。
異世界物も、異世界の風土やその世界での人々の暮らし、出来事と設定することはたくさんあります。VRMMORPGよりは、ゲームシステムがない分、ある程度は楽かもしれませんし、ご都合主義にしやすい(現実ではあり得なくても、こっちではこういう設定だからできる、みたいな)ので、複雑化させても多少は扱いやすいのかもしれません。
よく、「あなたの小説を一言で説明できますか?」ということを聞きます。
誰でも知っているような名作と言われるものは、その説明を聞いただけで、「ああ、あの作品か」と理解されます。
逆に「これはこういう話だ」と一言でまとめることができる作品ができたら、そしてそれを聞いて読みたいと思える作品であれば、きっと名作に近づけるでしょう。
よく、あらすじが長い小説が出回ってますが、個人的にはあんまり読もうと思わないです。なんか、あらすじ読むだけで疲れそうなので。
ちょっと好き嫌いがあったり偏見があったりするかもしれませんが、やっぱり複雑すぎる設定というのは、読者を疲れさせるのではないかと思います。
まずは設定はシンプルに。そこから、設定を広げる、といったやり方をした方が、筆者にとっても負担は少ないでしょう。




