登場人物の動機づけ
人間に限らず、すべての生き物が行動するのは、何らかの目的があるからです。
ご飯を食べるのはおなかが空いたから(栄養を取るため)。
寝るのは疲労を回復させるため。
何らかの動機がなければ、行動を起こすことはないでしょう。
中学の頃に同級生にちょっかいを出したときの話です。
その現場を先生に見られ、「何でそんなことをしたのか?」と聞かれました。
その時私は、「理由はない」と答えたのですが、「じゃあ、何も理由がなくて殺されてもいいのか?」と言われました。
文章作りでよく言われる「5W1H」というわけではないですが、どんな物語であろうとも、イベントや登場人物の行動には常に「なぜ?」という言葉が付きまといます。
それらを明確にすることで、読者を共感させたり、納得させたり、あるいはそれらを明確にするためのストーリーを作るということも可能になります。
プロットを立ててから書いていく人にとっては、そういうことをよくやっているとは思います。しかし、思いついたままに書く人は、登場人物の動機づけがうまくいってないことがよくあるのではないかと思います。
ただ、行動に動機をつける必要はありますが、それは「行動した後」でも「行動する前」でも「行動する直前」でも「行動した直後」でも構いません。
行動する前であれば、その動機自体を物語の核として使用することができます。つまり、「これは◯◯が××するまでの物語」といった感じですね。あるいは、動機自体を物語の伏線とすることもできます。
また、行動する直前であれば、その行動を説明するためのパートが作れます。例えばバトル物であれば、メンバーとの作戦会議を行うシーンが作れるでしょう。
逆に行動した直後では、イベント中に取った不可解な登場人物の行動を説明するパターンが多くなるでしょう。「お前、何とかなったからよかったものの、何故あんなことをしたんだ!」みたいに、ほかのメンバーが問い詰めることで、説明するきっかけを作るとよいでしょう。
最後に、「行動した後」。行動からかなり間を空けて説明するのですが、これは行動自体を伏線にしたり、その行動の動機だけで物語を一つ作るのに便利です。要するに、行動自体を伏線としてしまうのです。
話を作っていて書くことに困ったら、一度自分の作品を読み返し、「そういえば何でこいつはこの時にこんなことをしたのだろう?」という疑問を持ってみてください。それが、次の話を作るきっかけになるかもしれません。
あるいは、動機を先に設定することで、それを目標とした物語を作ることもできます。
そのために必要な行動は何か。どういうイベントがあれば良いか。そういうことを考えてみましょう。
物語を円滑に進めるため、読者に共感を持たせるためにも、登場人物の行動の動機には気を配っておきましょう。




