童話の世界
「小説家になろう」では毎年「冬の童話祭」が行われており、童話をびしびし考えて創作している作家さんもたくさんいると思います。
さてさて、「童話」とは一体なんなのか。どういう話なら「童話」になるのか。いざ書こうとすると、その定義に頭を悩ませる人もいるかもしれません。
とりあえず、適当にサイトを漁って調べてみました。
童話:主に子供を読者対象、あるいは大人が子供に読み聞かせるための民話や寓話、創作された物語のことである。
「童話」という言葉にもある通り、「児童のための話」ということになりそうです。
もちろん、広義の童話には子供向けのものでなくとも、大人向けの童話というものもあるそうですが、一般的に認識されているのは子供向けの話でしょう。
子供向けの話とは、一体どんな話なのか。
今でこそマンガやアニメと言った、子供向けの本、テレビ番組がたくさんありますし、絵や動画があれば子供でも理解しやすいでしょう。
しかし、文字だけの世界となると、うまく子供に想像させる工夫が必要となります。
では、どうすれば「子供向けの文字だけの世界」を作ることができるでしょうか。
箇条書きに、まとめてみました。
・難しい言葉や難しい漢字をできるだけ使わないこと
・登場人物、舞台は子供が想像しやすいものであること
・子供が読んで興味がある話にすること
・子供目線を意識すること
・読者へのメッセージが、何らかの教訓として残ること
・難しい言葉を使わないこと
読者は子供ですから、大人が使うような難しい単語を連発すると、話がまったく分からなくなります。
例えば、公園で遊んでいる少女が空を眺めているシーンで、「少女はゆらゆら揺れる遊具に着座し、曇天の空を憂鬱な気分で凝視していた」などの言われても子供にはさっぱりわからないでしょう。
これを、「ちいさな女の子が、ブランコにのって、くもった空をお母さんにおこられたあとのようなかおで、じっとみていました」とすれば、容易にその時の様子が頭に思い浮かぶのではないかと思います。
・登場人物、舞台は子供が想像しやすいものであること
登場人物についても、子供たちが共感しやすいものでないと、登場人物の視線に立つことができなくなります。高校生や大人の目線になろうとしても、なかなか子供には難しいものです。
よく使われるのが、同年代の小さな子供や動物、擬人化された物を主人公にする話です。これなら、子供たちも主人公目線に立って話を楽しむことができます。
また、物語の舞台も、子供たちが想像しやすいものであったほうがいいでしょう。ただ、あんまり詳細に書いても、うまく想像できないでしょうから、できるだけ自由に想像できるように、描写は少なめにしたほうがいいかもしれません。
例えば、「アフリカにある、うっそうとした昼間でも暗い密林。昼は腹を空かせた獣たちがうごめき、夜は誰のものとも分からぬ視線が襲う、ジャングルの中」みたいな具体的な描写をするよりも、「深い深い森の中」だとか、「家の近くの公園」とか、「ここからずっと遠くに離れたある国」とか、ある程度抽象的なほうが、想像力を掻き立てるのではないかと思います。
・子供が読んで興味がある話にすること
「人に興味を持たせる話」を作ることは、通常の小説を書く上でも難しいことなのですが、ことさら子供に興味を持たせようとすると、それなりのリサーチが必要となるでしょう。
子供がどんな話なら興味を持ってくれるか。過去の名作と言われた童話は、どんな話の進め方で、どんな登場人物の動き方をするのか。
そういったことも、調べる必要があるかもしれません。
・子供目線を意識すること
通常、大人が疑問に思わないようなことでも、子供たちは疑問を抱くものです。
ということは、子供目線に立たせるために作った登場人物も、子供たちと同じくらいの知識で、同じくらいな好奇心を持っていた方が、子供たちが共感できるのではないかと思います。
普段から子供がどんなことに疑問を持っているのかを考える。あるいは、普段は当たり前だと思っていることでも疑問に思ってみる。
そういった視点に立つと、おもしろい話ができるかもしれません。
・読者へのメッセージが、何らかの教訓として残ること
童話の多くは、最終的に「何かの教訓」を含んでいることが多いです。
例えば「喧嘩はダメだよ」とか、「わがままを言っているとこうなるよ」とか、そういうものですね。
そういった例を取り入れることで、子供たちに読み聞かせる価値のあるものができますし、物語としても作りやすいのではないかと思います。
なかなか子供目線に立つというのは、年齢を重ねると難しくなるのではないかと思います。
しかし、大人には大人にしか経験したことがないことがたくさんありますし、子供たちに伝えたいこともたくさんあります。自分がやって失敗したことを、子供たちにさせないようにすることもできます。
童話を通して、読者に何を伝えたいのか。他の小説を書く上でも、童話作成の考え方というのは役に立つのではないでしょうか。




