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登場人物の知識と語彙力、情報量

 エッセイや実話、ノンフィクションなど、実際の経験を元に書かれる小説では当てはまりませんが、多くの物語では、登場人物は「作られた人物」です。

 物語は登場人物が行動することで話が進みますから、その設定というのは、物語の最初からある程度イメージを固めておかなければいけません。

 その登場人物は女性なのか男性なのか、年齢はいくつなのか、身長、体重、顔立ち、髪型などの身体的特徴は何なのか、服装はどうなのか……。それらの設定というものは、ある程度作者がイメージしたものを、文章内に取り入れていけばよいでしょう。

 ただ、登場人物の設定を考えるに当たって、一つ忘れてはならないことがあります。

 その登場人物はどの程度のことを知っているのか、ということです。意外と気にしていない人が多いのではないでしょうか。

 例えば、普通の小学生がやたらめったら大人でも知らないような四字熟語を並べまくったり、習っても無いはずの化学反応を知ってたりしたら違和感を覚えますよね。もちろんそういう知識に長けている、という設定ならありえますが、あくまでも「普通の小学生」は「普通の小学生」が持っている知識しか口にできませんし考えることができません。

 小説の書き方について書かれた本にも、「子供らしく見せるためには、難しい単語を使わずに簡単な単語を使う」というようなことが書かれていると思います。これらは「登場人物の知識」に基づいています。登場人物の年齢設定は、ここらへんの知識量を調節することで設定する必要があります。


 登場人物の語彙ごい力というものは、注意しないと他の登場人物と変わらなくなってしまいます。何故なら、登場人物は作者が作るものであるため、「作者の語彙力」がそのまま「登場人物の語彙力」に反映されてしまうからです。

 自分と同じくらいの年齢、頭脳の持ち主なら、そのまま自分の語彙にそって台詞を作ればよいでしょう。しかし、自分より知識が乏しいと思われる登場人物にはそれなりの語彙力での台詞を作らなければいけませんし、逆に自分より知識がある登場人物には、より高度な言葉をしゃべらせなければなりません。

 逆に言えば、そういった語彙力の変化をつけることによって、登場人物の特徴をつけることが可能になるわけです。作者の持つ台詞のセンスの指標にもなるでしょう。


 頭のよしあし以外にも気をつけないといけないのが、登場人物の「情報量」です。

 簡単な例を挙げてみます。


・主人公AはBの幼馴染で、AとBはお互いを良く知っている

・途中、AはCという人物に会い、いろいろな出来事を通じてCのことを知る。


 ここまでの話ではAはBとCのことを知っていますが、BとCはここまでの情報だけではお互い知っているかどうか分かりません。にもかかわらず、何も情報無しにBとCがお互いのことを知っていては違和感を覚えるでしょう。

 他にも、AとBはDという事件のことを知っているが、Cが何の脈絡もなしにDの事件のことをしゃべりだす、というのも違和感を覚えると思います。「お前そのことしらねーだろ」と。

 もちろん、Cが実はDの事件の関係者だった、という話の作り方は出来ますが、それには前か後にフォローを入れるか、伏線として利用する必要があります。


 プロット立てをせずに文章を作っていると、こういうところに矛盾を生じたりします。かなり長く書いて、後から読み返すと「何でこいつはこれのことを知っているんだ?」と気が付き、物語を大半書き直さなければならなくなる……ということもありえるかもしれません。

 そうなってしまうのも、やはり「作者の知識」を「登場人物の知識」に反映させてしまうからです。作者はすべての出来事、登場人物のことを知っていて当然ですから、登場人物に与える知識や情報量を、意識しながらうまく取捨選択しなければなりません。


 登場人物は何を知っていて、何を知らないのか。違和感や矛盾が生じない話を作るためにも、登場人物の知識については常に気を配るようにしましょう。

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