世界観作りのヒント――自分の生活を追ってみる
小説を書く上で重要なことの一つといえば、「世界観」です。
短編だとあんまり詳しく描写しないこともありますが、長編ともなると、この世界観が最後の最後まで付きまといますから、しっかりと描写したいものです。
しかし、うまい具合に世界観を作ったつもりでも、案外矛盾点がぽちぽちでてくるものです(とりあえず「世界観相違」と呼んでおきます)。
例えば、今住んでいる世界では電気が当たり前のように使えますが、そういう世界でないところで家電製品が出てくると、「何で電気が使えないのに動いてるの?」ってことになります。
あるいは、魔法やスキルでいろんなことができるのに、わざわざ歩いて移動してたら、「さっき使ったスキル使えばいいじゃん」などと読者に突っ込まれてしまいます。
世界観相違を避けてうまく世界観を作る方法。どんな方法があるでしょうか。
簡単に作る方法としては、「自分の生活を追ってみる」ことです。
自分が普段の生活でやっていることを、自分が作る世界観に置き換えてみると、世界観を作るに当たってどのような設定が必要かが見えてきます。
例えば……
・朝、自室のベッドの上で起きた
→自分の部屋はどんな部屋か?
→ベッドはどんなベッドか?
→自分の部屋においてあるものは?
→窓から見える景色は?
→そのときの服装は?
・ダイニングで朝食を取った
→朝食のメニューは?
→食事前の挨拶は?
→ダイニングの様子は?
→誰が作った料理?
→ダイニングにはテレビ、ラジオ等はある? あるとしたらその番組は?
・玄関から出て、職場や学校に向かう
→移動手段は?
→どんな職場? 何をやっている?
→学校ではどんなことを学ぶ?
→移動するときの服装は?
→制服、作業着はどんなもの?
→持ち物は?
・移動中の道
→季節はある? あるとすればどんな季節?
→山、川、海、森などの自然はどのようになっている?
→どんな建物がある? どんな形? どんな施設?
→通行人はどんな人がいる?
→移動しているのはどんな道? 整備されている? されてない?
→街並みは大都会? 田舎? 城下町? ヨーロッパ風の街並み?
→どんなお店がある?
といった感じです。連想ゲームに近いですね。
こういったことを、とりあえず自分に関してメモしていって見ましょう。
そのメモから、自分が作ろうとしている世界観ではどうなっているか、というのを変換していきます。
例えば、今日の朝食はトーストとコーヒーだった(自分の世界)→朝から干し肉とぶどう酒だった(小説の世界観)という感じです。
何か足りない……と思ったら、もう一度自分の生活を振り返ってみましょう。普段の生活の中に、世界観を作るヒントがたくさんあるのです。




