ゲームから学ぶ世界観への入らせ方
最近、ニュースで「勉強を覚えるためにはゲームのやり方をまねしたらいい」というような記事を読みました。
勉強の暗記物はなかなか覚えられないのに、ゲームの呪文やスキル、弱点の属性なんかはよく覚えているものです。
同じ暗記量でも、勉強とゲームは違ってくる。何故、こういう違いが出てくるのか。
携帯アプリのゲームでは、大抵始めるとすぐにチュートリアルというものがあります。つまり、ゲームのやり方を説明し、実際に操作してみてゲームに慣れさせる、というものです。
チュートリアルが終わると、簡単なミッションがあり、クリアするとアイテムがもらえる、というのもよくあるのではないかと思います。
実際、そうやってチュートリアルをやった後にそのままミッションのようなものに移行していくと、次第にそのゲームの操作に慣れ、どんどん先に進みたくなるものです。
昔のゲームには「チュートリアル」というものが無くても、実はゲーム序盤からチュートリアルのように、「そのステージをクリアすれば操作を覚える」というようなステージがいくつか設けられています。
それらのステージをクリアすることにより、説明書を詳しく読まずとも、操作に慣れていくのです。
では、ゲームの中のチュートリアルというのは、実際にはどういうことをしているのでしょうか。
大まかに分けると、
1.操作の説明をする
2.実際に操作をさせてみる
3.操作ができた報酬を与える
となっています。
まず、操作方法を説明する。これは、勉強でも仕事でも、最初にやることでしょう。
次に、実際に操作をさせる。勉強でも仕事でも、聞いただけでは実感が沸きませんので、覚えたことはすぐにそれを使ったことをする、ということが重要となります。
そして、その操作ができたら報酬を与える。実は、ゲームと勉強や仕事とではここが違うのではないかと思います。
勉強や仕事が覚えられないのは、ただ教えるだけですぐさま使ったり、それによって報酬を得たりすることができないから、ということが言われていました。
反復学習、という言葉がありますが、教わったことがすぐ使える場面が無いとすぐに忘れるし、何も報酬が無いと達成感が無いのです。
小説でも、同様のことが当てはまるのではないかと思います。
物語の序盤というのは、登場人物の人物像だったり、舞台となる場所の説明だったりと、説明に大忙しになることが多いです。
しかしながら、こういった説明というのは、物語が進むにつれ、忘れてしまうことが多いのです。
そこで、その説明を行った後に、それらが活かせる事件やイベントを取り入れると、読者により強い印象を与えることができるのではないかと思います。
例えば、「足が速い主人公」がいたとして、ただ単に「足が速い」という情報だけでは、読者はしばらくすると忘れてしまうでしょう。
そこで、ある程度その脚力を活かしたイベント、例えば大会の短距離で一位を取るとか、その脚力を活かして泥棒を捕まえるとか、そういうものを取り入れてみると良いのではないかと思います。
こうして読者の知識量を増やし、それを活かしたイベントを時々取り入れることで、大きなイベントが起こったときに読者に「ああ、だからこうなのか」という、読者の知識によってきちんと言いたいことを理解してもらうことができるのではないかと思います。
ただ説明するよりも、その説明が役に立つ場面をすぐに作ること。こうして読者の知識を増やすことにより、読者の物語に対する理解力が上がるのではないかと思います。




