ストーリー考察:異世界主人公の利点
小説を書いて公開する、というのは、つまりは自分の書いた文章で他の人にも楽しんでもらう、あるいは共感してもらう、というのが一つの目的となります。
サイトで公開している分はそう言うことはあまり深くは考えないかもしれませんが、商業用の書籍はお金を払って読むものですから、読者がお金を払うだけの価値がある文章というものが求められます。
もちろん、無料で書いている以上はひどく高いクオリティを求められることはありませんが、せっかく読んで貰うのですから、自分の書いていることに共感してもらえるような文章にしたいものです。
共感してもらえる、感動してもらえる、あるいは楽しんでもらえるようにするためには、まず自分の書いた文章を、読者に理解してもらわなければなりません。
特に自分が書いた世界観や設定については、理解してもらわないとその先の話を理解してもらえなくなります。
物語の序盤というものは、とにかく世界観や設定の説明に費やしやすいのではないかと思います。
そういったときに使われる手法としては、「その設定や世界観について詳しくない登場人物を出す」ことです。つまり、読者と同じ知識の登場人物を出し、その人物に説明を行うことで、同時に読者にも説明を行うことができるのです。
そういう設定にしやすいのが、所以「異世界転生物」でしょう。
主人公がふとしたきっかけで、自分の住む世界とは違う世界に移動してしまい、そこでさまざまな事件を解決したり、そこの住人との物語が進んだりする、というものです。
小説を読む読者は、さながら小説という名の異世界に飛び込んだ主人公のような存在であり、二次創作でない限りはその小説の世界観や設定は全く知らないでしょう。
そこで同じ境遇の主人公を登場させ、異世界の登場人物と交流を深めていくことで、読者にも世界観を分からせることができます。
また、最初はなじめなかった主人公も、徐々にその世界に慣れていくことで成長していく、という物語も書くことができます。
せっかく設定した世界観は、その設定をうまく活かした物語にしなければ、その設定自体が意味がなくなってしまいます。
せっかく異世界物を書くのに、主人公が他の登場人物の説明無しにあっという間になじんでしまい、謎のチート性能を発揮して勝手に事件を解決していく、というものでは、異世界という世界観をあまり活かしきれていません。主人公の世界で異変が起きたほうが、よほど世界観を描けるのではないかと思います。
他の人に読んでもらうためには、やはり最初が肝心でしょう。
小説はエンターテイメント。読者のことを考えなければ、ただの自己満足な文章になってしまいます。




