作者視点と読者視点
どこかに投稿しようとする勝負作品であれば、自分自身で何度も何度も見直し、推敲する作業を行うと思います。そうやって誤字脱字、物語の矛盾、話し方の統一性などを修正していくことで、より完成度の高い話にしていきます。
しかしながら、自分が自信を持って書いた作品であっても、他の人が読むとあまり評価が高くないということもあります。逆に、あんまり自信がない作品でも評価が高かくなることもあります。
何故、こういうことが起こるのでしょう。
好き嫌いというのもあるのですが、好きなジャンルや作品系統であっても、読みづらいとか、分かりにくいとかいう感想が返ってくることがあります。
作者としては物語の設定、世界観、キャラ設定を十分行ったつもりでも、読者側からすると不足していたり、説明が多すぎて読むのに疲れたりします。
その要因というのが、「作者の知識と読者の知識の差」です。極端に言ってしまえば、作者はその話の内容を十分理解していますが、読者はその作品に対して全く知識を持っていません。
二次創作なら、多少の説明不足も、ある程度読者の知識で補うことができますが、一次創作だとそうは行きません。十分な説明がなされていなければ、読者はその世界に入っていくことができないのです。
逆に、説明が多すぎたり、世界観が複雑すぎると、読者は疲れてしまいます。過不足無い設定というのが、なかなかさじ加減が難しいものです。
説明を十分行うためにはどうすればよいか。まずは、自分が考えている設定を、順次ノートなどに書いてみると良いと思います。その上で、適切なところでその設定の説明を加えていくと良いでしょう。
また、一気に説明すると読者も疲れてしまいますので、必要なところで説明を入れていく、というやり方にすると良いと思います。
仕事をしている方は、会議などの議事録を書く機会があるかもしれません。私の会社で議事録を書いていた先輩が言われたことは、「会議に出席していない人が読んで、『これどういうこと?』ということが無いようにすること」です。
いうなれば議事録というのは、会議という世界観を知らない読者に、その会議の内容という世界観を伝える小説のようなものです。会議に出席していなくても、出席したときの同様の知識を得られることが重要となってきます。
同じように、小説では「自分の思い描いている世界」を読者に伝えるものですから、狙っていない限りは「これってどういうこと?」と思われないように説明を行う必要があります。
ただ、読者としてはこれだけ工夫して過不足無く情報を与えたつもりでも、まだまだ読者にとっては物足りない場合もあります。なので、まずは誰かに読んでもらい、きちんと話が理解してもらえたか、足りない情報はないか、というのを聞いてみると良いでしょう。足りない情報があれば、後で追加していけばよいのです。「小説家になろう」では、感想文などが参考になりますね。
人に自分の考えを伝えるということは、実生活でも重要なことです。こういった経験も実生活に役立ちますので、是非とも意識して書いてみてください。




