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発想力と想像力―料理と小説

 まず、冷蔵庫の中を見てください。あと、食料があるところを見てください。そして、それらの食材を使って、料理を作ってください。

 ……と言われたら、どんな料理ができるでしょうか。


 料理を作らない人はピンと来ないかもしれないですが、いざ料理を作ろうとしたときに材料がないと面倒なのです。

 知っていて簡単に出来る料理の材料があり、作り方がわかっている上で、「その料理を作れ」といわれたたら、簡単な料理ができる人ならすぐに作れるでしょう。

 しかし、冷蔵庫の中に関連性が薄いバラバラな素材があり、それを使って料理を作れとなると、なかなか難しいものです。


 例えば、豆腐にたまねぎにレタスにマグロの刺身、あとはシソの葉があります。この状態からすき焼きを作るとしたら、まず何をするでしょうか。

 ……というとなんだか難しいことを考える人が出てきそうですね。すき焼きを作ろうと思って上記の材料くらいしかなかったら、大抵スーパーかどこかに買い物に出かけると思います。

 小説も同じようなものです。例えば「推理小説を書こう」と思ったときに、トリックと主人公は決まっているけど、警察の知識とか、道具の知識が足りない場合、辞書を引いたり取材に行ったりすると思います。


 料理にとっての食材は、小説にとっての知識や経験といえます。小説を書く際は、自分の持っている知識を駆使して、伝えたいことを文章にしていくものです。知識や経験が増えれば増えるほど、使えるアイデアが増えていくのです。


 さて、では限られた知識で小説を書くにはどうすればよいか。先ほどの料理の例でいうと、与えられた材料内でいかに料理を作るか。それには「想像力」や「発想力」が必要となります。

 例えば、与えられた材料がにんじん、じゃがいも、たまねぎ、牛肉だった場合を考えてみます。ここからカレーや肉じゃがを作る、というのは普通の発想です。

 しかし、ここからグラタンを作ったり、フランス料理フルコースを作ったり出来れば、かなり変わった発想の持ち主であるといえないでしょうか。

 では、上記の材料からにんじんと牛肉が消え、バナナとしらたきが追加された場合はどうでしょう。あなたはうまく料理できますか?

「んなもん料理になるか!」と思って止まった人はそこまでの発想力や想像力しかない、ということになります。何とか頑張って「バナナをどうにかソースにして、たまねぎとジャガイモを千切りにして白滝で縛って揚げた物にかければ……」みたいな発想が生まれれば、何かおもしろい料理が生まれるかもしれません(※この例でおいしい料理ができるかどうかは不明です)。


 与えられた題材で小説を書く手法の一つに、「三題噺」というものがあります。もともとは、与えられた三つのキーワードを使って落語を作るというもので、現在は小説やイラストにも使われています。

 きっちりとした三題噺は他にもいろいろ制約がありますが、そういった、何かお題を作って小説に盛り込む、というのは想像力を鍛える一つの方法ではないかと思います。

 誰かにお題を出してもらう代わりに、例えば名詞を書いたカードをたくさん作って箱にいれ、そこから三つ引いてそれを盛り込んだ小説を作るという方法もあります。お題を出してくれるサイトや診断メーカーもあります。案外、変な組み合わせでおもしろい小説が出来るかも知れません。


 今ある冷蔵庫のありあわせのものでおいしい料理ができる人なら、もしかしたら変わった言葉の組み合わせから、おもしろいストーリーが出来るかもしれません。

 数あるお題を、決まった使い方を無視していろんな使い方をすることで、新しい発見があるかもしれません。

 そのものの特性から可能性を見出す発想力と、それらの思いがけない組み合わせを描く想像力。小説を書くにあたっては、必要不可欠なものだと思います。

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