78 法王様に会ってみた
「大丈夫ですか!」
男の声が聞こえて俺は目を開けた。
目の前には先ほど聖なる泉に案内してくれた男がいる。
あれ?この人誰?セラは?
そして俺は自分がベッドに寝かされているのに気付いた。
「ああ、気が付いたようですね」
「え?え~と…ここは?」
「ここはセラフ大教会の中にある部屋です。鐘を鳴らしてもお兄さんが聖なる泉から出て来ないので様子を見に行ったら泉の縁で倒れていたんです」
「え?そうなんですか?え~と、俺の側に女神様はいませんでしたか?」
俺はセラを抱いていた時にすごい快感に襲われたところまでの記憶があったので男に尋ねる。
「女神様?お兄さん、夢でも見たのですか?」
「夢?」
あんなに気持ちいい夢ってあるのかなあ。
でも確かに女神のセラに会ってヤルってことはないか。
なんとなくまだ身体に快感の余韻が残っている気もするがあれが「夢だ」と言われるとそんな気もしてくる。
「泉の縁で頭を打ったかもしれないので法王様が直々にお兄さんの身体を診てくれるそうですのでここで休んでいてください」
「法王様が俺の身体を診るんですか?」
「法王様はセラフ神の加護があるから病やケガを治せるんですよ」
へえ、そうなんだ。
セラって「癒しの神様」だったのかな。
あれが全部夢だったなんて信じられないけど俺が倒れていたのは事実のようだし。
そこで俺は一緒に大教会に来たメラニーのことを思い出した。
「あの、すみません。俺と一緒に来たメラニーって女の子がいるんですけど心配してると思うので俺がここにいるって伝えてくれませんか?」
「メラニーさんですね。それならメラニーさんを呼んで来てあげましょう」
「ありがとうございます」
男はそう言って部屋を出て行った。
どのくらい寝ていたかは分からないけど、きっとメラニーは心配してるもんね。
俺はベッドから上半身を起こしてみる。
自分の感覚では特にケガはしてないようだ。
すると扉がノックされる。
「どうぞ」
俺が声をかけると扉が開いて男の人が入ってきた。
その人を見て俺は驚く。
髪は銀髪で長く瞳は青銀色だった。
わあ!綺麗な男の人だな。
この人が法王様なのかな?
そういえば夢の中だけど女神様って「自分は面食いなの」って言ってたような。
その銀髪の男性は俺のベッドの横にある椅子に座った。
「ご気分はいかがですか?聖なる泉で倒れたと聞きましたが」
「あ、はい。特にケガとかはしてないです。自分でもなぜ倒れたか分からなくて…」
セラとヤッたのが夢かどうか分からないけど秘密にしておいた方がいいよね。
「そうですか」
「あの、もしかして法王様ですか?」
「ああ、失礼しました。旅の御方は私のことは知らないですよね。私はエリク4世法王です」
やっぱり、法王様か。
あれ?でも法王様の瞳ってメラニーと同じ青銀色だけど、まさか法王様がメラニーの父親ってことはないよね?
「法王様。法王様にはメラニーっていう娘はいないですよね?」
「え?なぜそれを!?」
法王は驚きの声を上げた。
送便屋でラッセンド宰相宛に手紙を出したローゼン将軍はセラフ大教会の前にいた。
「ふむ。この大教会には人が多く集まる。陛下もこの大教会にいないか見てみるか」
ローゼン将軍が大教会の中に入ろうとすると男に声をかけられる。
「そこの旅人の御方。良かったら大教会でお祈りをしてお守りを買いませんか?」
「お守り?」
「ええ。セラフ神のお守りです。いろんな効力があって旅の安全や探し物が見つかるお守りもありますよ」
「ふむ。探し物が見つかるお守りか。それをあれば陛下が見つかるだろうか…。私はジルヴァニカ帝国の者だがそれでもそのお守りは効くのか?」
「もちろんです。ただお守りを買うには聖なる泉で身を清めてお祈りする必要がありますのであちらの受付で番号札をもらってください」
「分かった。今は神の力を使っても陛下を見つけなければならないからな」
ローゼン将軍は控室に入り順番を待っていた。
すると大教会の信教師の男がやって来て控室の人々に告げる。
「申し訳ありませんが聖なる泉で事故があり本日の聖なる泉での身のお清めは中止します。今日はお帰りくださいませ。あとメラニーさんという方はお話があるのでこちらに来てください」
「あ、はい!私がメラニーです」
茶髪の女がその信教師に告げると信教師はその女を奥へと連れて行ってしまった。
残された人々は残念そうに控室から出て行く。
ローゼン将軍も仕方なく大教会を出た。
「事故があったなら仕方ないな。それにお守りを頼ろうとした私が悪かったのかもしれない。きっと神は実力で陛下を探せと言われているのだろう。よし!他の場所も探してみるか」
そう言ってローゼン将軍は大教会を後にしてハリードルフを探し始めた。




