143 ビビと話してみた
「あの二人にだいぶ搾り取られたようだけど大丈夫? ハリー」
「うん。少し休めば平気だよ」
双子に子種を搾り取られた俺はラティファのテントで休んでいた。
「じゃあ、私は出発の準備するからハリーは寝てていいわよ」
「ありがとう。ラティファ」
ラティファがテントを出て行って俺は一息つく。
う~ん、双子とヤルのは楽しかったけど同時に二人の相手は疲れたな。
『お主。エシアの民を三人も相手にするなどさすが帝の星を持つ子種持ちじゃな』
「え?」
見知らぬ声が聞こえて俺はテントの中を見渡す。
だが、テントの中にはフクロウのビビがいるぐらいで人はいない。
「気のせいかな?」
俺が首を傾げていると再び謎の声が聞こえる。
『どこを見ておる。ここじゃ』
「え?」
声のする方を見るとそこにはフクロウのビビがいた。
ビビと俺の視線が交わる。
「今の声ってビビの声? そんな訳ないか」
するとビビのクチバシが動く。
『普通の人間ならわしの声は聞こえぬだろうがお主はエシアの民と三人も交わったからわしの声が聞こえるじゃろう』
「わああ! ビビがしゃべった!!」
俺は鳥が言葉を話したことに驚いて大きな声を上げた。
「どうしたの!?」
ラティファがテントに飛び込んでくる。
「ビビが言葉をしゃべったんだ!」
俺が説明するとラティファは俺とビビを交互に見て笑った。
「あら、ハリーにはエシアの神の加護が付いたのね」
「エシアの神の加護?」
「エシアの民は特別な力があるって言ったでしょ? それが動物と言葉を交わせることよ」
「動物と話せるの?」
俺はもう一度ビビを見る。
『そうじゃ。だが、動物と言っても虫や魚などは無理じゃな』
「ビビがしゃべってる…」
「フフ、私たちエシアの民は一人で生活するから動物を飼うことが多いの。そうやって孤独を癒す私たちにエシアの神が動物と話せる能力を与えてくれたのよ」
う~ん、確かに孤独な生活は寂しいもんね。
動物と話せたら寂しくないってことか。
「でも俺はエシアの民と性交したけど性交するだけでその能力は俺にも使えるようになるの?」
「普通はエシアの民と交わっただけでは能力が使える訳じゃないけど…」
『お主は帝の星を持ち、セラフ神の加護を受け、さらにエシアの民と交わることを許される子種持ちじゃ。そんな男じゃからエシアの神も加護を与えたんじゃろ』
ビビが俺の疑問に答えてくれる。
「まあ、ハリーは帝の星を持ちセラフ神の加護もあるのね。ビビが言った通りかもしれないわ。帝の星を持つ者は神々に愛される人間だって聞いたし」
へえ、そうなのか。帝の星を持つってそれだけで特別なんだね。自覚はないけど。
セラフ神の加護って言ってたけどセラとの性交も影響したのか。
「じゃあ、ビビ以外の動物とも俺は話せるってこと?」
「そうなるわ。でもこの能力は他の人には黙っていた方がいいわよ」
「どうして?」
「だって普通の人間は動物の言葉は分からないし人間は自分と異質なモノを嫌うからよ。ハリーが動物と話せるって分かったら国によっては魔物扱いされるわ」
そうだね。確かに人間は自分と異質のモノを排除したがるよね。
ラティファの言う通りこの能力が身に付いたことは内緒にしよう。
「分かったよ、ラティファ。この能力が使えることは秘密にするね」
「そうした方がいいわ。それじゃヘルドラドに出発するわよ」
「うん」
再びラティファはテントを出て行く。
俺はビビに話しかけた。
「ラティファが寂しくないようにビビが傍にいてあげてね」
『お主に頼まれなくてもわしに任せておけ。しかしお主は帝の星を持つということはどこぞの皇帝なんじゃろ?』
「皇帝だったけどもう俺は皇帝を辞めたからラティファたちには黙っててくれないかな?」
『皇帝だったのに皇帝を辞めたのか。酔狂な男もいたもんじゃ。よかろう、ラティファたちには内緒にしとく』
「ありがとう。ビビ。それとこの能力って虫や魚には使えないんだよね?」
『そうじゃ。鳥や四つ足の獣じゃないとな。ただ稀に魔物や精霊の類とも話せる奴もおる。お主の能力がどれほどかは自分で試すしかないの』
「そうなんだ。教えてくれてありがとう」
俺とラティファは双子に別れの挨拶をしてヘルドラドに向かって出発した。




