9話
Eの自宅
B「あぁ。やっぱり、この家は年中快適空間だね。」
E「でしょ。じゃなくて、Bは私の家に慣れ浸りすぎよ。」
D「夏休みに入ってからAと2人で頻繁に遊びにきてるみたいだね。」
A「衣装デザインとかの話をしてたら色々と話すことになって来る機会が多くなっちゃった。」
C「⋯。」
CがボーッとしていることにDが気付く
D「さっきからボーッとしてるけど、なにかあった?」
C「(⋯はっ!)い、いえ。もうすぐテーマが発表されるのかと考えてたらボーッとなっていて。」
BがDとCの会話を聞きつつCの様子を見る
E「始まった!」
E宅にある大きいモニターで2次予選のテーマを発表される瞬間を待つ
二次予選テーマ
【月見月】
D「どうやら、今度は月を連想させるテーマみたいだね。」
C「月といえば、やはりお月見ですかね。お月見というものは、収穫の感謝や豊作を願ってお供えするという文化(風習)が昔から語り継がれています。」
A「うさぎが月で餅つきをしているのは知っていたけど、そういう意味があったんだ。」
E「次のテーマはお餅ね!それじゃ、さっそくお餅を1から作って──」
B「そこまでしなくても餅なら買ってきて食べたらいいだけじゃない?⋯あっ、そうだ!」
Bはなにかを閃く
A「なにか思い付いたの?」
B「もしかしたら、曲やデザインを作るヒントが得られるかもしれない。」
5人はEの自宅から外出して、ある場所へと向かう
-老舗旅館-
A「あれ?ここってたしか──」
C「私の両親が営んでる旅館です。Bさん、宿泊するのであれば事前に私に申していただけたらもてなしていましたのに。」
B「大丈夫、大丈夫。テーマが決まったあとに私が直接、連絡したから。」
A・C・D・E「直接⋯?」
旅館側から着物を着た女将さんが出てくる
女将(Cの母親)「ようこそお越し下さいました。」
B「突然連絡をしてお手数をおかけしましたが、よろしくお願いします。」
女将「お気にならずに。それでは、こちらへどうぞ。」
女将に案内された部屋へと着く
-広縁付きの和室-
女将「どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。」
女将さんが部屋を退出する
C「このお部屋は私の⋯。」
B「Cのお母さんから聞いたよ。小さい頃からCがこの部屋から見る景色が気に入ってるってこと。」
D「それでこの部屋と2次予選のテーマとの関連性はなにかあるの?」
B「それは夜になればわかるよ。」
A・C・E「夜?」
-前半部分終了-
旅館近くの繁華街(夜)
E「うーん、(衣装)デザインのイメージがまったく浮かんでこない。」
C「私もです。Bさんは曲作りの作業に取り掛かってから部屋にこもってからペンを止めない勢いで書いていますけれど。」
Aは近くの川を眺めて“ある変化”に気付く
A「私たちもBちゃんに負けていられないね。あれ?川の水面に映る景色が夕方前にみたときと違う雰囲気になってる。」
C「(天候が)移り変わりやすい秋といえば紅葉、行楽⋯テーマに合いそうなデザインが思い浮かびました!」
川の眺めながらA・C・Eが会話するシーンを流す
そして旅館にいるB・D視点に切り替わる
D「B、少し休憩しない?」
B「そうだね。あー、疲れた。」←両手を上げながら背筋を伸ばす
D「そういえば、テーマが決まってすぐここにくること決めたの?」
B「それはね。Cがメンバーのなかでいちばん、季節の移り変わりをみていると思ったからCに馴染みのあるところで考えることにしたんだ。」
Bから理由を聞いてDは納得する
D「そうだったんだ。やっぱり、Bは機転が効くね。」
B「そうかな?まあ、みんなでお餅食べに行くのも悪くなかったけどね。」
D「いまはまだ夏だし、冷たいものが食べたいよ。あっ、そうだ。旅館内にある自販機で飲み物でも買ってこようか?」
B「じゃあ、私はミルキーサワーで。」
D「わかった。」
Dが部屋を出てから自販機前に場面切り替え
そして帰ってきたA・C・Eと合流する
-旅館内(通路)-
D「3人とも帰ってきたんだ。歓楽街を散策して、衣装デザインのアイデアは思い浮かんだ?」
E「もちろんよ。だから帰ってきたの。」
C「Dさん。Bさんはあれからずっと部屋にいらっしゃるのですか?」
D「最初は順調に曲作りしてたけど、いまは少し手間取っているみたいだね。それで私が休憩も兼ねてBに頼まれた飲み物を買いにきたの。」
C「あの、私がBさんに飲み物を届けてもよろしいでしょうか?お代は払います。」
D「お代はいいよ。なにか伝えたいことがあるんでしょ?」
DはCに飲み物を渡す
C「ありがとうございます!」
Cは先にBがいる部屋へと向かう
E「なんか、いまいち状況がわからないんだけど⋯?」
D「私たちも頃合いをみて(部屋に)戻ろうか。」
B視点に切り替わる(部屋)
B「んー、あともうちょっとなのに。」
失礼いたします←部屋の襖を開ける
C「飲み物をお持ちいたしました。」
B「あれ?Dに頼んだはずの物をCが持ってきてる。」
C「それは後ほどご説明いたします。少しお話がしたいのですが、よろしいですか?」
B「大丈夫だよ。」
Bは机にペンを置く
C「(アイドルの)オーディションに落ちた日、ここ(広縁)で月を眺めながら悩んでいました。」(理由を説明1)
B「そうだったんだ。」
Cは静かに頷く
ゆっくり部屋を歩きながら手に持った飲み物をBの座っている広縁側の机に置く
C「そして出した答えはアイドルを目指すのを諦めよう、と。そう心の中の自分を納得させて過ごしてきましたがやはり、まだ諦めていなかったことに気が付けました。」(説明1の続き)
C「なので、こうしてみなさんと同じ(アイドル全国大会優勝)目標に向かって進めることがとても嬉しく思います。」
B「それは私も同じだよ。だから、2次予選も頑張っていこうね!みんなと一緒に!」
Bは立ち上がって襖を開ける
カタンッ
A「えへへ⋯。やっぱり、バレちゃってたんだ。」
B「そりゃ、そうだよ。だって、Cがちゃんと閉めてた襖が開くことなんてないし!」
E「ビング。抜かりのない視野角ね。」
D「そういえば、さっきCに話し忘れていたけど実はBがここに決めた理由があってね──」
B「あ、それは言っちゃ駄目!」
C「そこまで聞くと気になるので教えてください!」
5人ではしゃぎながら終わる