怒りの一矢
遅くなりました!申し訳ないです。
「まいお姉ちゃん!」
誰かが必死にわたしを呼んでいる。
どこか聞いた事のある優しい声。
「ねぇ!まいお姉ちゃん!しっかりして!」
その声を聞くと冷たくなった胸の奥が暖かくなっていく。
固くなっていた目蓋が少しづつ開いていった。
「まいお姉ちゃん!意識が戻ったんだね。良かった!」
目を開くとミミが抱きついてきた。
人を心配する余裕もないはずなのにね。
わたしはミミの頭を優しく撫でてあげる。
「お嬢さん目が覚めて良かったの。わしも驚いて心臓が止まるかと思ったわい」
村長さんが顔を覗き込み心配してくれる。
「まい!急に倒れるから驚いたぜ。お陰で住人達も驚いたみたいで、大人しくなったみてぇだぜ」
ダリルの言う通り村人達は、なにか言いたそうにしてるが、大人しくしている
「天使様!天界に戻られてしまうかと思い心配致しました!戻る際は是非わたくしめも一緒に!」
パリッシュさんは、平常運転だね。
「まいさん無事で本当に良かった。まいさんが倒れてからミミが大騒ぎして大変だったのですよ。ふふふっ」
院長先生は顔がどことなく疲れてるね。
「まいさんには朝から驚かされてばっかりで心臓に悪いです!」
またネアさんに怒られた。今日はネアさんに怒られてばっかりだね。
「みんな……ありがとう。そして心配かけてごめんなさい。もう何ともないから心配しないで」
目から涙が零れ落ちた。
夢の様な世界で冷たくなった心が少しづつ暖かくなっていく。
「まいお姉ちゃん!やっぱりまだどこか痛いの?」
「んーん。もう平気だから心配しないで大丈夫だよ。この世界で最初にミミに会えて良かった。ミミありがとうね」
わたしはミミにそう言って立ち上がり、村人達の様子を見る。
今はこちらの状況を見て大人しくしているが、時間が経つと先程の様にミミを攻撃してくるだろう。
わたしがミミを守らないと。
「リリーストクソウエポンフェニックス」
わたしは、腰に着いてる小さな弓を手に取ると静かに呟いた。
急に現れたら弓にミミ以外の人々が驚き、ざわめいている。
わたしは、それを無視して矢を生成し、詠唱を呟く。
「地下深くに眠りし地獄の炎よ、我は神々に逆らう者を駆逐するものなり、神々の怒りは我のものなり、バメフロガ」
詠唱が終わると矢が炎に包まれた。
「ま……まい……いったいなにを」
ダルガの言葉を無視して、今回は牽制の為に5秒間の魔力チャージをし、わたしは森の方角に弓を構えると天空に向けて矢を放った。
シュッバ
炎が纏った矢は、空中に炎の道を作りながら一直線に空に向かっていく。
「爆ぜよ!エクリクシス」
ドガーンッ!
空が白く光った瞬間、一瞬に空間の静寂を切り裂き獣の咆哮にも似た爆発音が大気に響き渡った。
「この子に対してあなた達の言動は聞くに絶えない。二度とその汚い口を開かないで!今後この子や孤児院の子供達に酷い事を言うのなら、今度はあなた達に向けてこの矢を撃ちますから、覚悟しなさい」
ミミを抱き寄せ住人達に弓を向けて言い放った。
「嬢ちゃん……やり過ぎだ」
ダリルがなぜ前の呼び方に戻っているのか気にはなるが、身体が勝手に行動をしていたのだから仕方ない。
だが、後悔もしていない。
「わたしの力は今見せた通りです。あなた達は、子供を犠牲にして心の底から笑って生きているんですか?胸を張って生きているんですか?それが正しいと本当に思っているんですか!村に襲ってくる魔物は、わたしが討伐して、村のみんなを全力で守るから!だから、もう昔からの風習に囚われないで!子供を生け贄にするような悪習にもう二度と従わないでください!」
わたしは涙ながら村人達に訴えかけた。
「差し出がましいとは思いますが、わたくし達もその戦いに参加さしていただいても、よろしいでしょうか?」
声の主を見ると少女だった。横にはおじいちゃん、そして後ろに鎧を着けた騎士っぽい人が何人かいる。
思い出した!確か昨日チンピラに絡まれていた貴族の少女と執事だ。
「わたくし達はよそ者ですので、傍観者に徹しようと思っておりました。しかし!貴方様の話しを聞き考えが変わりました。わたくし達も微力ながら協力さしていただきたい。そこの子供が連れて行かれる時に、なにもしなかった恥知らずな我々に罪滅ぼしのチャンスをくださいませ!敬礼!」
ガシャン
少女の言葉に後ろの騎士が、屈み片膝を立てて拳を地面に叩きつける。
凄い!まるで映画を見てるみたい。
「うん!あなた達みたいな強そうな人が村を守ってくれてると、わたしも安心して自由に動けるから助かるよ!よろしくね」
この少女の言う事は信じて良いと思う。特に理由はないけど、わたしはそう感じる。
ただ、隣の執事さんは少し顔色が悪いけど大丈夫なのかな。
「ほ……本当にこの村を守ってくださるのですか?」
貴族の少女と話しをしていたら、村人の1人が聞いてきた。
「うん!必ずあなた達と村は守ってみせます。わたしの手が回らない範囲は、今聞いていた通りそこの人達も戦ってくれるし、ダリルさんと警備隊も戦ってくれると言ってくれています」
もう1人やろうとはしない。
わたしはみんなを信じてるから。
「それは俺達も参加していいのか?」
先程とは違う村人が聞いてくる。
「魔物との戦いに参加するってこと?」
「ああ、そうだ」
「参加してくれるのは凄くありがたいけど、魔物との戦いは危ないけどいいの?」
今は、ミミの事もあってこの人達の事を好きにはなれないけど、死なれるのは嫌かな。
「よそ者が村の為に戦ってる時に、大人しく守らてるだけなんて俺達のプライドが許さねぇ!皆もそうだろ!」
「当たり前だ!ここは俺達の村だ!この村を守る為に俺達も戦うぜ!」
「危ないのは理解してるつもりだ!でも自分の手で妻と子供を守ってやりたいんだ」
「あなた達の気持ちはわかったよ。一緒に村を守ろう」
なんだか村人達の表情が悪い物が落ちた様な生き生きとした顔をしている。
「村長さん勝手に色々と決めちゃってごめんね」
「…………」
「村長さん?」
村長さんの反応がない。
まるで屍のようだ。
「村長!嬢ちゃんが呼んで……ん?」
「ダルガどうしたの?」
ダルガが村長さん顔の前で手を振っている。
「村長……立ったまま気絶してるぞ」
「えっ!嘘……なんで」
「お父さん!ねぇ、お父さん!」
ネアさんが肩を持って激しく揺さぶってる。
村長さんの頭が取れそうなぐらい頭がグワングワンなってるから、やめてあげて!
「なんでって、村長が気絶してるのは嬢ちゃんのせいだろ!」
「へっ?なんでわたしのせいなのよ」
わたしなにもしてないのにダルガが酷い事を言う。
しかも、なぜかミミを含めてみんなジト目てわたしを見てくる。
Why?
「チッ!とりあえず村長を家に運ぶぞ!パリッシュ手伝えーーおい!パリッシュ聞いてるのか!」
パリッシュさんの方を見ると恍惚な表情のまま固まっていた。
「クソッ!どいつもこいつも使えねぇな!ネアにモレル手伝ってくれ」
3人は村長さんを運んで家に入って行く。
状況が状況なので、後日話し合いをする事になり、村人達と貴族の少女達には帰ってもらった。
パリッシュさんはミミと話した結果このまま放置しようと意見が一致したので2人で家に戻る。
村長さんが目を覚ますまで特にやる事がないので、ミミと一緒に昼寝をすることにした。
「まいお姉ちゃん、今日も守ってくれてありがとう。おやすみなさい」
「うん。ミミもありがとうね。良い夢が見れますように、おやすみなさい」
まい「最近わたしのハマってるアイスは【爽】!1日に1個は食べ過ぎかな」




