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「どうかな?」
「それがあんたの人間の姿なのね。予想通り平凡な顔」
「やっぱり元の姿に戻る!」
「嘘嘘、冗談!なかなか男前だって!」
「・・・本当?」
「うんうん、私好みだよ」
「そっか、へへへ。ならいいや」
「じゃあ、早速私の家に案内するね。こっちだよ」
「わわ、待ってよ」
「早くしないと、置いてくよー」
「ちょっと待って。僕、村の中に入るのは初めてなんだよ、緊張する」
「そういえば、そうだね」
「いつも村の外で会ってたから」
「いつも魔王軍の情報を横流ししてくれて、ありがとうね。随分と助かったよ」
「ううん。少しでも君の助けになったんなら、僕は嬉しいよ。・・・やっぱり魔族をやめるのはまだ早いかも」
「早い?」
「うん。勇者が現れたとはいえ、魔王様に勝てるかどうか分からないし」
「その前にあんたが勇者に殺られてしまうでしょ。ザコなんだから、1番始めの方で」
「酷いな」
「酷くないよ。あんたが私を残して死ぬ方が酷いと思うけど」
「そうだね」
「そうだよ」
「分かった。村へ行くよ」