序章:八人目なの・・・
「ねぇねぇ神楽君」
鼓動が速くなる
「えっとなにかな?」
さらに速くなる
「えっとね〜、私を殺してほしいの」
・・・・・・・・・は?気が抜けた。
思わず返答に困って硬直する。だって普通そうだろう、つい二〜三時間前に、
「話があるから、放課後、校庭にきてね」
と、ウインクされながら言われたら、告白じゃないか?って期待するだろ!?友達一同そろって
「ぜったい告白だって!」
てゆうし、実際俺もそうじゃないかときたいしながら校庭にきたのに、二言目が
「殺して」
なんて予想してなかったつの!そりゃ固まるって、絶対。てゆうか絶対て言えるのは、
「殺して」
なんてのは冗談だって事だがな。・・・と思ったのも束の間、
「嫌かな・・・?私を、栄華樹里阿を殺すの・・・。」
と泣きそうな顔で聞いてきた。
「いや、冗談ならほかに当たってくれ。付き合ってる暇ねぇし。」
はっきり言って、少し頭にきてた。
そりゃ勝手に期待してただけだけどさ、んな冗談言うなら教室でもいいじゃねえか。
「そっか、そうだよね。人殺したりなんかできないね。普通の人間なんだし。」
唐突に、樹里阿は言葉を発した。
俺はその言葉を無視し、校庭から離れようとする。
だが、
「神楽君で八人目だよ。・・・殺すの。」
・・・え?なに?ころす?え?そう戸惑っているうちに、樹里阿が俺の目の前に立ちはだかって
「さよなら。」
と呟いた、途端に俺の体から、何かがなくなった。
・・・うでだ・・・いつの間にやら、樹里阿の左腕の中に俺の腕があった。
なんで!?どうして!?おレのうデガそコにアルンだ!?・・・かなりおかしくなったようだな。
思ったのではなく実感した。
非現実的なことが起こったことと、かなりの激痛でイカレたんだろう。
そんな感じでいろいろ考えてたら、体の四分の一がすでになくなっていた・・・。
両腕に右足、腹には風穴空いてるし、口がなくなっていて喋れない。
あ、いま首から上がもぎ取られた・・・。それから一秒後ぐらいに
「ごめんね、神楽君。私病気なの。人を殺すのが・・・楽しいの・・・。これはイケナイことだよね。だから殺して欲しかったの・・・。」
と聞こえた。
・・・俺が最後に見たのは、俺の体を、悲しげな顔をして、でも楽しそうに、勢いよく喰っている、樹里阿の姿だった・・・。