↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄まで死んでいます。  作者: 豆狸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/15

第十一話 王子様は夢を見る。

 父上はもう一度溜息をついた。


「釣り合う年ごろの息子がいたと喜んだのは無駄だったな。シャーリー嬢を愛する神涙獣殿が邪獣と化してこの国を滅ぼさないことを祈るしかない。……まあ、彼女がそれを許すはずもないが。そんなことを望む娘なら、もっと早くそなたの愚行を訴えていただろう」

「……」

「シャーリー嬢が神涙獣殿の愛し子だろうとそうでなかろうと、王命による婚約は絶対だ。そなたは王太子でありながらこの私、国王の命令を無下に扱ったのだ。その罪がわかっておろうな?」

「……はい」


 ペルブランディからうつされた性病の治療後、僕と側近候補達は魔の森の警備隊に入隊させられた。学園は休学だ。卒業はさせてもらえるという。卒業パーティへの参加も許されている。

 僕も側近候補達も廃嫡されたわけではない。ここで活躍して汚名を返上しろということだ。

 僕が死んだら王家傍系の公爵家から養子を取って太子に立てると父上に言われている。公爵家は母である王妃の実家だった。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「殿下だ!」

「エルトン王太子殿下とご側近の方々だぞー!」


 僕達が現れると、警備隊の一般兵達が歓声を上げた。

 学園の卒業式まで一ヶ月ほどになったある日、魔の森で大規模な魔獣の大暴走(スタンピード)が発生した。魔獣の数は多く、力も強い。どうやら元凶の魔獣がとんでもない強さのようだ。

 シャーリーの神涙獣が邪獣になったのではないだろうが、最強と言われる魔獣ドラゴンならそれはそれで恐ろしい。邪獣なら神が滅ぼしてくれることもある。


「プリンキピウムの帝国軍は?」

「すでに森の奥へ進んでいます」


 国境沿いにある魔の森には、南の帝国も警備隊を派遣している。


「わかった。彼らを追おう」

「ご武運を!」


 一般兵達が慕ってくれるのは、僕が王太子だからではない。

 これまでも何度か起こった小規模な大暴走(スタンピード)で活躍し、彼らの命を救ってきたからだ。

 僕には魔獣の放つ魔導は効かない。物理攻撃を受けて怪我をしても、高められた魔力によってすぐに回復する。毎回出張ってくる帝国の皇帝と競うようにして、僕は何度も元凶の首を挙げて来た。


 神涙獣の加護が……いや、シャーリーが今も僕を守ってくれているのだ。

 どうしてだろう。婚約解消は彼女のほうからだったが、そうされても仕方がないくらい酷いことを僕はしてきた。側近候補達の暴言を嗜めることさえしなかった。

 彼女の優しさなのだろうか。それとも彼女は今もまだ、僕を愛してくれているのか。婚約解消は父親である伯爵の一存だったのかもしれない。


「ドラゴンだ! 今回の元凶はドラゴンだぞー!」


 前方から帝国軍の叫び声が聞こえる。

 叫びに続いて雄叫びも響いてきた。帝国軍は皇帝を慕い、彼のために本来の百倍以上の力を出す。僕はまだ、兵の力を引き出すほどの存在ではない。

 愛用の槍を握り締め、僕は馬の足を速めた。


 この手でドラゴンを倒せたら、卒業パーティでシャーリーに謝ろう。

 そして、もし彼女が──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。