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落ちた先には

水滴が地面に落ちる音が辺りに響いている。


教会の地下の空間にユフィーレは落ちたのだった。


「いたたた、ここは…」


まず辺りを見渡すが暗くてよく見えない。


「足元が崩れて、それで…」


ユフィーレは上を見上げると点のような光が見える。

相当な高さ落ちたらしい事がよくわかる、改めて視線を下に戻すと地面が何となく発光しており、そのおかげでユフィーレの周りに何が落ちているのがわかった、それを手に取ってみるとなぜ助かったのかがわかった。


「これは、木の根かな?」


もう一度上をよく見ると、蜘蛛の巣のように木の根が空洞に張り巡られていた。


「はぁ、どうしよう」


ユフィーレはこれからどうするのか考えようとしてあることに気がついた。


「あっ!」


ユフィーレは慌てたように腰のポーチの中身を確認していく。


「無事だったのは一本だけ…」


落ちた衝撃でルミナスから買った液体の瓶が殆ど割れてしまった。


「早くここから出ないと」


ユフィーレは立ち上がり、上に行くことはまず不可能なので辺りを散策する、少し調べてわかった事はこの空間には一つの横穴しかなかった。


「行くしかないか…」


ユフィーレはその横穴を進んでいく。


どれくらい歩いたのだろう、ユフィーレはひたすらに歩いた、途中湧き水などがあり適度に休みながら進む事ができた、しかし今が昼なのか夜なのかわからない。


「今日はこれぐらいにしとこう」


ユフィーレは腰のポーチから液体を取り出すと一気に飲んだ。


「うう、まずい」


飲み終わったのちに地面に寝っ転がる。


「流石に魔物はいないよね…」


深くは眠らず、浅く眠りながら体力の回復に努めた。


特に何事もなく、休む事ができた。


「さて」


ユフィーレは出口を求め歩き出した。


「なんだか明るくなってきた」


洞窟を進むにつれてだんだん明るくなってきていた。


「出口かな!」


だがユフィーレの期待とは裏腹にそこは出口ではなかった。


少し開けた空間に出た、上から光が入ってきておりある一点、人工物らしき物を指していた、その光が原因だった。


ユフィーレが落ちてきた所と似たような感じであるが唯一違うのは、そこに人工物がある事だった。


「あれは…」


ユフィーレは近づいて確認してみた。


「掠れててよく見えないけど…お墓?」


[ーーーーーのーーー英雄ーーに眠る]


「もしかしてこれって英雄のお墓!」


英雄のお墓は本当に地下にあった。


「でも、どうしよう、ここで行き止まりか…」


道はここで行き止まりになっており先へは進めなかった。


「とりあえずここで休もう…」


墓石の前で横になる。


「明かりが暖かくて気持ちいい…」


ユフィーレは直ぐに眠りに落ちてしまった。


ぐっすり眠る事が出来たが、起きた時、体の調子が最悪だった。


「薬の効果が切れたんだ…」


ユフィーレはゆっくりと立ち上がり辺りを散策しようと壁に向かおうとするが倒れ込んでしまう。


「ちょっとダメかも…」


足に力が入らず立つ事が出来なくなった。


実はユフィーレは病を患っていた、それは不治の病。


その名は[魔力生成欠落症]と言う、体の中で魔力を作る事が出来ず、筋力が徐々に衰えていきその後死に至る、原因や治療法などよくわかっていない。


大体は幼い頃に発症しそのまま死に至るケースが殆どである、産まれたばかりの子供は薬を飲む事が出来ないためだ、ユフィーレのようにある程度成長するまで生きている例は他にはいない。


ユフィーレが飲んでいたのは魔力を直接体内に取り込むための薬でルミナスが独自に開発したものだった。


ユフィーレはその薬で魔力を補い、筋力を無理やり強化して日常生活が送れるようにしていた。


ユフィーレはその場から動けずにいた。


どれくらいじっとしていたのだろうか、するといきなりユフィーレの頬をそよ風が撫でた。


「あれ?」


ユフィーレの意識が浮上する。

その風は壁の方から吹いているらしい。


「もしかして、隠し通路?」


ユフィーレは力を振り絞り立ち上がる。

そして風が吹いている壁まで歩き、壁に手をつこうとした瞬間違和感に気づく。


「幻影!?」


そこには壁が無く通路が続いていた。


その先には場所に似合わない一枚の木製のドアがあった。


ユフィーレは不思議に思ったがその扉を開け中に入る。


すると中から甘い花の香りと眩しいくらいの光がユフィーレを包む。


ユフィーレは驚愕した。


上を見上げると洞窟の中にいるはずなのに太陽があった。


地面には色とりどりの花が咲き乱れ、川が流れておりそこには小さな世界があった。


よく辺りを見渡すと一つの教会が建っている事に気づく。


ユフィーレは、遂にお迎えが来たと勘違いしてしまうほどだった。


「ここは…いったい…」


ユフィーレの意識は限界を迎え生い茂ってる草の上に倒れ込んでしまう。


「おや?、お客さんとは珍しい」


ユフィーレは意識を失うその瞬間誰かの声を聞いた気がした。







「うむ、これは困った、しかし見捨てるわけにも行かんか…」


一人の男がユフィーレを軽々と担ぎ上げ教会の方へ歩いて行った。






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