第六十六話 謎の光、ですわ
私は光の方向をじっと見つめる。
最上階のエレベーターの前あたりから光ってるみたい。
念には念を入れて小林君がエレベーターを燃やした? でも光はあるけれど煙が全然出てないし。
――というか、エレベーターの前ってぴあのさんがいるじゃない!
「ぴあのさん!? 大丈夫なの?」
私は思わず小林君のほうのごたごたを忘れて、ぴあのさんに声をかけた。
「大丈夫! なんでか急にあの石が光り始めて――!」
あの石? って、ドーナツ型した不思議な石のことよね? ぴあのさんが生まれた時から持ってたっていう。
「伊妻も南もどうした? 石が光った……? 私には何も見えないが」
先生がぴあのさんのほうを見て目を凝らす。
嘘っ。こんなに光ってるのに見えてないの!?
馬淵君たちには見えているのかしら。この距離からじゃ三人の表情は見えないから、よくわからないけれど、でも、手が止まったってことは小林君には見えているみたい。
「よくわかりませんが、チャンスです!」
ケロちゃんが小林君に向かっていくのが見えた。でも、それより小林君が我に返るほうが一瞬早い。
「フレ――」
小林君が炎魔法の呪文を唱えかける。唱え終わるまでに、ケロちゃんの拳は一瞬届かなさそう。このままだと、ケロちゃんが黒焦げに!
でも、その次の瞬間、小林君がものすごい勢いで吹き飛んだ。
えっ、今何があったの?
――いえ、全く心当たりがないわけじゃないわ。これと同じようなことを、私は前世でよく知っている。
獣将ケルベロスは魔法が使えない。それを補うために闘気を手から「飛ばす」技を身につけていた。
こちらの世界で言うと、『カメハメ波』が近いかしら。
でも、それはあくまで獣将ケルベロスの技であって、いくら生まれ変わりでもケロちゃんにできるわけがないわよね?
でも今のはそれ以外で説明できないような……。
私が思考停止している間に、吹き飛ばされた小林君から、馬淵君が杖を取りあげた。
「ケロ、取り押さえるぞ!」
「えっ、はいっ!」
自分で驚いていたのか、固まっていたケロちゃんも、馬淵君に声をかけられて我に返り、二人して小林君を取り押さえる。
さすがに圧倒的な力を見せつけられて消沈したのか、小林君も特に抵抗しない。
「さて、小林。なんだって高尾にあんな幼稚な嫌がらせしたんだよ」
馬淵君が小林君に凄む。でも、幼稚な嫌がらせって、きっと違うと思う。
私やケロちゃんにあれだけ本気で向かってきたんだし、バイクのトリックだって協力者を頼まないと無理だもの。
早めに私たちが止めに動いたからいいけれど、きっとあのまま行ったら『呪い』はもっとエスカレートしていたはずだわ。
それこそ、タカヒロ君を『呪い殺す』まで。
でも、小林君はなんでタカヒロ君をそこまで憎んでいるの……?
いろいろな伏線の回収を予定より早めています←




