表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世魔王の悪役令嬢は主人公になれない!?  作者: 亀梨名光
ゴーストバスターは前世魔王!?
70/76

第六十四話 魔法VS魔法で大ピンチ! ですわ

 タカヒロ君がインターホンを押すと、インターホン越しの応答より前にドアが開いた。


 ドアの隙間から覗く小林君の顔。


 よし、チャンス! 私はポケットから杖を取り出して構える。


「クエ――」

「クエイク!」


 私が呪文を唱える前に、別の呪文が聞こえて、足元が震える。


「きゃ!?」


 バランスを崩して後ろの柵に手をつくと、その拍子に杖を取りおとしてしまう。


「しまった!」

「エアロ!」


 突風に突き飛ばされ、私は背後の柵に叩きつけられた。魔法の杖は飛ばされて、柵の反対側に落ちていく。


「な、なんで……!?」


 私が考えていた作戦と、まったく同じ。頭のいい小林君なら思いついて当然でしょうけど、なんで私より先手を取れるのよ!


「エレベーターの防犯カメラだよ」


 小林君が不気味に笑う。


 確かにオーナーの家なら防犯カメラの映像を盗み見るなんて簡単。


 魔法にばっかり警戒していたけれど、魔法と現代技術の合わせ技なんで、そんなのアリ!?


「揃いも揃って俺の復讐の邪魔をして……! そっちがその気ならこっちだって目にモノを見せてやる!」

「復讐って、どういうこと――」


 問いただそうとした私の体がふわりと浮き上がる。


 風魔法がまっすぐの向かい風じゃなくて、下から吹き上げるように変わる。


 ちょっと、スカートがめくれちゃうじゃない!


 なんて思っている場合じゃなくて、風の勢いはどんどん強まって、ついに私の体が浮きあがった。


 ええっ!? 待って、私の後ろって……!


 気付いた時にはもう遅い。


 私の体は柵を乗り越え、マンションの外に投げ出された。


 うちほど高くはないといえど、ここはマンションの最上階。


 自分が青ざめるのがわかる。




 ――冗談じゃなくて、私は、死ぬ。




 一度転生したことはあるとはいえ、次も転生できる保証なんてないし、何よりこんなわけのわからない状況で死ぬのなんてイヤ!


 でも、魔法の杖もないこの状況で私にできることなんてないじゃない……!


 私は思わず目をぎゅっとつぶる。




「伊妻っ」


 恐怖に震える心に、誰かの声が聞こえた気がした。


 私がよく知っている、それでも今ここにいるはずのない人の声。


 走馬燈というものかしら? 魔王ルシファーとして死んだときはそんなもの見なかったけれど。




 どさっ、と、私は地面に落ちた。


「……?」


 その『地面』が、思っていたよりずっと柔らかかったものだから、私は恐る恐る目を開けた。


「大丈夫か?」

「――枇々木先生!?」


 私は地面に落ちる直前、枇々木先生にしっかりと受け止められていたの!

久しぶりのヒーロー登場です!

※ただしヒーローは草食系三十路教師。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ