第六十三話 マンションに突撃、ですわ
小林君の家はすぐにわかった。
タカヒロ君が塾に「間違えて問題集を取り違えてしまったので交換したい」って内容で電話したら、すぐに教えてくれたわ。
なんだか田舎の防犯意識の薄さを垣間見てちょっと不安になったけど、そんなこと言ってる場合じゃないわよね。
幸いにも弁当屋のすぐ近くだったので、私は馬淵君とケロちゃんと移動しながら作戦会議。
タカヒロ君は当事者だから、決着がついたら話し合いするとして……ぴあのさんは特に何かできるわけでもないので、万一大事になった時に大人を呼ぶ係。
本当を言うと危ないから巻き込みたくないのだけれど、足手まといだからって追い返しても聞かないでしょうしね。
それにしても、なかなかのマンションじゃない。私の家も含めて、北側には何件か建っているけど、南側でこんな大きなマンションは珍しいんじゃないかしら。
しかもどうやら住んでいるのは最上階。うちみたいにワンフロアぶち抜きで小林家ってわけじゃないみたいだけど……でも十分お金持ちよね。
「小林君ちって……どこかの社長さんとか?」
エレベーターに乗りこみながら、私は首をかしげる。
「いや、地主だよ。このマンションのオーナー」
答えたのは馬淵君だった。
「何で知ってるのよ」
「サッカー部にここに住んでるやつがいるんだよ。昔そいつから聞いた」
ああ、サッカー部なら人数多いから一人ぐらいいるかもしれないわね。なるほど。
さて、無駄話をしていないで作戦会議しないとね。
「今回は向こうも魔法を持ってるんだから、先手必勝で行くわよ!」
そうね、作戦の内容は。
「まずはタカヒロ君がインターホンでうまいこと言って、ドアを開けてもらう。そこで土魔法で相手のバランスを崩して、風魔法で宝珠を奪う。後はケロちゃんと馬淵君がよろしくね!」
こんな感じでどうかしら?
「はいはいっ! 私は何をすればいいの?」
ぴあのさんが訊いてきた。
「お前は緊急連絡係だから、エレベーターの近くで待機してろよ。一応警察署の番号にいつでもかけられるようにしとけよな」
「はーい……」
馬淵君の指示に、ぴあのさんは少し不満げながらも頷いた。
恋人が最前線なのに、自分が何もできないとなるともどかしいんでしょうね。気持ちはわかるけれど……。
ピンポーン、と、無機質な音が響いて、エレベーターが最上階に止まる。
片側が胸の高さぐらいまでの柵になっていて、そのまま外に繋がっているタイプの廊下(正式名称、何ていうのかしら?)を進んでいって、一番奥が小林君の家。
「じゃあ、インターホン押すよ」
タカヒロ君が言った。
いよいよ小林君との決戦、スタートよ!
コバルト短編賞を無事脱稿したので帰ってまいりました!
今後とも六花ちゃんをよろしくお願いします!




