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前世魔王の悪役令嬢は主人公になれない!?  作者: 亀梨名光
ゴーストバスターは前世魔王!?
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第四十一話 ファミレスデート? ですわ

 駅前すぐのファミリーレストラン。あまり詳しくないけれど、東京でも見かけたことがあるから、きっと大手のチェーン店。


 今年はどちらかといえば空梅雨で、今日も雨は降っていなかったのだけれど、それでも空はどんよりと曇っている。いつ雨が降り出すかわからなかったから、屋根のあるところに入れてほっとした。


 考えてみればファミレスって初めて入るわ。『家族向けのレストラン』ってことだから、単に『小さい子供が騒いでも怒らないレストラン』ってだけかと思ったけれど、周りを見てると、どうやらかなりシステムの違うお店みたい。


「タカヒロ君」

「どうしたの、伊妻さん?」


 下手に意地を張って失敗するよりは、素直に教えてもらったほうがいいわよね。


「恥ずかしながら、私こういうお店は初めてで……よくわからないから、いろいろ教えてくださらない?」


 私はタカヒロ君に言った。


「そっか、伊妻さんってファミレス初めてなんだ。かわいいね!」

「か、かわいっ!?」


 どうしましょ。デート発言と言い、タカヒロ君の真意が読めないわ。口説いてるにしてはあっさりしてるから、たぶんからかってるんだとは思うけれど。


「いらっしゃいませ、何名様ですか?」


 ウェイトレスさんが私たちのところへきて、人数を尋ねる。


 朱色のブラウスと深緑のひざ丈スカートの上から真っ白なエプロン。かわいらしい制服ね。ウェイトレスさんっていうとモノクロのイメージだったけれど、ご飯を食べるお店ですもの。こっちのほうが食欲がわいて私は好きよ。


「二人です」

「二名様ですね、かしこまりました。ただ今の時間、全席禁煙席となっております。お席へご案内いたしますね」


 逆に時間帯によっては全席禁煙じゃないこともあるのね。ファミリー向けのお店なのに……意外だわ。


 私はタカヒロ君に続いて、案内された席に向かった。窓際の二人掛けの席。


 ウェイトレスさんが椅子を引いてくれなかったのはちょっとびっくりしたけれど、タカヒロ君が自分で椅子を引いて座っているから、私も真似して腰かけた。ナプキンはおいていないみたいだったので、ポケットからハンカチを出して膝の上に広げる。


「メニューはこちらになります。お決まりになったらお手元のボタンでお呼びください」


 ウェイトレスさんはそう言ってメニューを差し出すと、すぐにほかのお客さんの接客に行ってしまう。


「すごいわ。メニューが写真いっぱいできれい。それになんだかこのボタンもSF映画みたい!」

「まさかファミレスでこんなに喜んでもらえるなんて」


 私を見てニコニコ顔のタカヒロ君。世間知らずと思われてるみたいで、なんだかちょっとバツが悪いわ。


「何を頼もうか?」


 タカヒロ君がメニューを開く。思ったよりメニューは豊富で、洋食から和食までそろっている。お値段は学校の購買より少し高いくらいかしら。サービス料も込みでこのお値段ならかなりリーズナブルだわ。


 でも、これだけメニューが多いと目移りしちゃうわね。とてもじゃないけれど決められないわ。


「タカヒロ君と同じものでいいわ」

「そっか。わかった」


 タカヒロ君はテーブルの上のボタンを押して、ウェイトレスさんを呼び出す。


「すみません、クリームパスタのスープサラダセットとドリンクバーを二つずつお願いします」

「かしこまりました。ドリンクバーはあちらになります」

「ドリンクバー?」


 聞きなれない言葉だけれど、どんなメニューなのかしら。


「ドリンクバーっていうのは、ビュッフェ形式でドリンクをとって来れるメニューで……って、説明するより使ってみたほうが早いね。こっちだよ」


 タカヒロ君が席を立って、さっきウェイトレスさんに案内された方に向かったから、私もそのあとに続く。


 その先にあった大きな機械は、喫茶店のカウンター越しに見たコーヒーマシンみたい。でも、ボタンの横に描かれているロゴは、コーヒーだけじゃなくて、ジュースだったり炭酸飲料だったり。私はなんとなく使い方を理解した。


「ビュッフェ形式って言っていたけど、これ、好きなだけ飲んでいいの?」

「残さなければね。あと、ホットの紅茶が飲みたければ、その隣にあるティーバッグも自由に使っていいよ」


 タカヒロ君が説明してくれた。でも今日はちょっと蒸し暑いから、メロンソーダにしようかしら。


「タカヒロ君はどうするの?」

「僕はね……」


 タカヒロ君はいたずらっぽく笑って、グラスに半分ほどオレンジジュースを注いで、そこにガムシロップを入れた。


 オレンジジュースにガムシロップって、タカヒロ君って甘党? と、思っていたら、タカヒロ君は別のグラスに入れたアイスティを、オレンジジュースの上にそーっと注いでいく。


 そうすると、赤と黄色の二層に分かれた、カクテルみたいなきれいなドリンクができあがった。


「わあ、すごいわね、タカヒロ君!」

「どう? 比重の違いで二層に分かれるんだ」


 比重……仕組みだけは知っていたけど、実際にこういう風に見せてもらうのは初めてだわ。


「よかったら、伊妻さんのメロンソーダと交換しようか」

「いいの?」


 やったわ、おいしそうだなーって思ってたのよ。


「うん、その代わり、僕の質問に答えてくれる?」


 そういえば訊きたいことがあるって言ってたわよね。何なのかしら。まさか告白じゃないでしょうけれど……。




「六花さんって、異世界アルメギドのこと、知ってるよね?」




 ――あれ。もしかして、私の正体、ばれちゃった!?

タカヒロ君は見た目草食っぽいけど、全キャラ中実は一番肉食系だと思います。

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