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お姉さまってやっぱり悪女ですよね?

「ふわぁっ」


 五月七日。ゴールデンウィーク明けの学校で私は大あくびをしました。

 ゴールデンウィーク後半の連休は母方の親戚が住む大阪に行っていて、夜遅くに車で帰ってきたから眠くてしょうがないのです。


 あーあ、大阪でははしゃぎすぎてしまいました。主に同人ショップですけどね。


 ホームルームが始まるまではまだ時間があるし、ちょっと寝てましょうか。


 なんて思っていると、教室の後ろ側のドアが開いて、凛とした声が聞こえました。


「おはよう」

「お姉さまっ!」


 もう眠気なんて吹き飛んでしまって、私はお姉さまに駆け寄ります。


「お久しぶりですっ。お元気でしたか?」


 大阪の同人ショップも楽しかったけれど、やっぱり二次元のBLは他人同士のお話。やっぱり私×お姉さまに勝るカップリングはありませんっ!


「ケロちゃんは元気ね。私は連休中にいろいろあって、ちょっと疲れてるわ」


 お姉さまが浮かない顔をしたので、私は不安になって首をかしでます。

「――そうね、ケロちゃんには全部話しておいたほうがいいわよね」




 お姉さまはお菓子コンクールで起こった一連の事件について話し始めました。


 幼馴染の守君がまさか馬淵君に毒を盛るなんて信じられなくて、どこか遠い世界の話に感じて、ついぼんやりとしてしまいました。大事なことなのはわかってるんですけどね。


「――ケロちゃん?」

「ああ、すみません。それで最終的に、守君と馬淵君と織牙さんは和解したんですよね。それで、キスはしたんですか?」

「しないわよ!? なんで!?」


 遠い世界の話であってくれればいいと思ったから、ついBL扱いではぐらかしてしまいました。


 BLなら男同士の友情が生まれた後は恋愛に発展は必須。ちなみに私としては織牙さん×守君が熱いと思います! ヤンデレ受けおいしいです!


 ――なんて、現実逃避してる場合じゃないですよね。


「すみません、お姉さま……。私がどこかで守君の相談に乗っていれば。私ってば自分がからかわれないようにするのに精一杯で」

「ケロちゃんのせいじゃなくてよ」


 お姉さまが言います。


「私はあの後すぐ帰っちゃったから、馬淵君やぴあのさんからの伝聞なのだけれど……守君が毒を盛るなんてしようと思ったのは、連休前に棗先生が話していた『違法ドラッグ』に関わっているらしいのよ」

「『違法ドラッグ』ですか!? 守君が!?」


 あまりにイメージに合わなくて、私は目を見開いた。


「ケロちゃん、落ち着いて。ケロちゃんのユスリ事件の時の加害者たちの証言から、タカヒロ君のお父さんとか学校の先生方とかの大人がそう思っただけで、実際は魔法のお香みたいなものらしいわ」

「魔法のお香、ですか?」


 あの夢の中ならそんなものもありました。いえ、現実だってお姉さまは魔法を使うし、ドラゴンがペットだってことも知っていますけど。でも私の周りの魔法って夢の中と特別なお姉さまだけの存在で。やっぱり守君とは結びつきません。


「タカヒロ君の前世知識で調べてもらったら、依存性はないけれど、一度吸うと心の中の悪意だとか攻撃性だとかを表に引き出されてしまうらしいわ。悪意を抱くそもそもの原因を解決しちゃえば大丈夫だし、一応国木田君に関しては解毒したけれど」

「なんだか恐ろしいですね」


 そんなものを守君に嗅がせるなんて……いったい誰が。


「国木田君にキノコを渡したのとお香を渡したのは同じ人らしいけど、それ以上のことは」


 キノコとお香ってことで、一瞬あの夢の中に出てきた一人の女性を思い出しましたが、夢と現実、二次元と三次元は区別しないといけませんね。夢の中の彼女が現実に、なんてありえません。


「だからね、こんなことになるなんて誰も思っていなかったんだから、気にすることないわ」


 お姉さまは私の頭を撫でてくださいました。と、何か思い出したようで。


「――そうだ。こっちもケロちゃんは応援してくれたんだから、ちゃんと報告しないとね」


 と、言いました。何の話でしょう?


「私ね、馬淵君にフラれちゃった」


 はい!? 馬淵君に……フラれた!? お姉さまの好きな人って、枇々木先生じゃなかったんですか!?


 あれだけ思わせぶりに視線を送っておいて、ほかの男が好きだったなんて。


「お姉さまって、悪女ですよね」

「ケロちゃんまでそれ言う!?」


 ともあれ、これでお姉さまはフリーですね! 私も誠心誠意アタックさせてもらいます!



ケロちゃんにも誤解されてたオチです。知らぬは本人ばかりなり。

ちまちま伏線などを張りつつ、次回で間章ラストの予定です!

みなさんお待ちかねのあの人です。

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