第二十五話
あ、気になって読んじゃった? 速いね、私が話している間に。
そう、その二人もおんなじだよ。
CASE2の新隈修也は身体の微調整を行う小脳の部分が過剰に発達して、あの能力が発現した。
彼の体験からはまるで時間を止める能力を手に入れたように思われるけど、実際はそうじゃない。自分の身体をマイクロメートルとか、あるいはもっと細かい単位で位置を指定できる運動能力が優れているだけで。細かく動かすにはわずかな時間しか流れないから、本人にとってはまるで時間が止まっているみたいだったと思うよ。
彼の負けたくないっていう気持ちに呼応した能力だね
CASE3の楠瀬由衣は単純だよ。まあ、その中でも若いころの私が説明している通り、扁桃体と呼ばれる部分が発達して、感情を感じる部分と、それに関係なく動く部分に分かれた。
楠瀬由衣は幼少期から自身の感情が薄いという自覚をしていたけど、あの文章を読んだ感じ、そんな人間だとは思えない。単に、恐怖や喜びの感情を表に出さないような人にあこがれていたというだけだろうね。
だから、そうやって進化した。
感情を失うのが進化なのかって思うかもしれないけど、進化というのは数えきれない身体変化の中でたまたま生存環境に適していたものを言うだけだからね。楠瀬由衣にとって、感情機能を失うことが望みだったとしたら、それを脳が与えた、というけだよ。
そして同じなのは、二人の最後もだよ。
CASE1の北本も、新隈も、楠瀬も、最後は自分の脳にやられた。
というか、人類はそれで全員死滅したんだ。それは知ってる? ならいいけど。
まあつまり、脳の進化に身体が追いついて行かなかったから、人間全員にそういうことが起きた。今こうして生存しているのは、ご存知の通り私だけ。
さて、ここで話を戻そう。
あるきっかけから700万年後の人類は、脳と体の発達の差によって、均一化され、多くの死を遂げた。これは、さっきの空っぽの頭(エンプティ―ヘッズ)と関係してくる気がしないか?
ああ、ごめん。均一化っていうのは、私の造語ね。
脳と身体が均一になるからそう呼んでる。もちろんかっこいいからでもあるけど。
さて、それまで問題なく人間に備わっていた脳に、急に異変が生じたその理由。その700万年で何が起きたのか、どうして人類は絶滅したのか。
では、結論から言おう。人間の脳というのは、




