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第二章 14

       14


 主が、ネイリンとロッテを無言で押しのけると、丁寧な手つきで鍵を開けた。ケースの中から、恭しく鍵を取りだす。

 そして、黙ったまま階段に向かった。一堂もそのあとを追った。ゆっくりとした足取りだった。じれったかったので、ネイリンはせめて、という思いで頭を動かした。

 ロッテの指摘で、だれもあのケースを開けていないことがわかった。ならば、トーナスはどこに行ったのか。先ほどのロッテの口ぶりからして、黙っていなくなったトーナスの行動は、異例のものらしい。

 いったい、彼はどこに行ったのだろう――。

 最前からの疑念が、またぞろ頭をもたげてくる。トーナスは逃げたのではないか。それなら、異例の行動らしい、彼の不自然な消失にも納得がいく。もし逃げたのならその理由は簡単だ。

 ――ジーナスを殺したから。

 やはり、そういうことなのだろうか。

 そういうことなら――。

 どうするもこうするもない。というか、今すぐに、どうこうできる話ではない。順番にやっていかないと。今すべきは、あの部屋を開けること。そして、トーナスがいないことを確認すること。だが、論理的に考えて、彼はあの部屋にはいない。だから……。

 深刻なことをいったい脇に置いておいて、まずは好奇心を満足させよう。どの道、あの部屋を開ける展開なのだ。

 そんなことを考えて、お気楽な気分でいたのだが――。

 実際に部屋を開けたら、トーナスが中にいたのである。

 そして彼は――死んでいた。


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