第二章 2
2
ネイリンはラパルクを起こして、一緒に階上へ上がった。あてがわれた部屋に入る前に、一人でプライの部屋に入る。水飲みの水がなくなっていた。おでこに手を当てると、少し油っぽく湿ったひたいは、ずいぶん冷たかった。もう治ったかもしれない。期待を胸に、ネイリンは声をかけた。
「プライ。気分はどう? プライ」
しかし、返事はなかった。眉をしかめ、首だけを反対側に向けた。
――まだ治ってないのかな。
朝だから、眠いだけかもしれない。だが、眠り続けているものに、朝も何もないだろう。
ネイリンは立ち上がり、部屋からでた。よくよく考えると、起きたとしても特にこれといった用事はない。どうせなら、朝食を持ってきたときに、起きるまで声をかけよう。
ネイリンはプライの部屋をでて、自室に入った。身体が少し湿っぽく髪の毛もぺたんこになっていた。朝食はいつからだろう。シャワーを浴びる時間はあるだろうか。
――浴びてこよ。
何時から食事だ、といいわたされているわけでもないし、仮に遅刻したからといって怒られるようなこともないだろう。この家の人も、きれいなネイリンでいた方がうれしいはずだ。ルイーザの顔を思い出す。
――負けてらんないし。
着替えを持って、浴室に向かった。