第一章 13
13
寝ているプライが気がかりではあったが、ずっと一緒にいなくてはいけないほどではないと思ったネイリンは、部屋を出て大広間に向かった。
――ラパルクも少し気遣ってやらないとね。
へたすりゃ、知恵熱をだしかねない。
大広間に着くと、ジーナスはかなり喜んだ。ふだん、よっぽどだれにも相手にされてないのかな、そう考えて、少しかわいそうになった。
最初は、ラパルク一人にジーナスの相手をさせるのはかわいそうかと思いはじめたビリヤードだったが、やってみると面白かった。
最初の1ゲームでルールを習い、2ゲーム目はラパルクと組んで、ジーナスとガチンコでやった。が、完敗。3ゲーム目も完敗。毎回、明らかに初心者のネイリンが足を引っ張っての負けだったが、ラパルクがわるいといいはり、4ゲーム目は一人でジーナスに挑戦したが、またも完敗。この時点で、ネイリンの中で、なにかが切れた。生来、だれにも負けないほどの負けず嫌いである。勝つまでは絶対やめない、そう宣言し、ビリヤードをつづけた。
ジーナスとラパルク二人でやっていたときには、さほど盛り上がってはいなかったようだ。それは、ネイリンが混ざりはじめたころのラパルクの表情で分かった。だが、ネイリンが頭に血を上らせたことを二人が面白がり、深い時間帯も手伝って、三人で妙なテンションになって、ビリヤードをやった。
楽しいながらも、プライのことが頭にあったネイリンは、途中、何度か様子を見に場を抜けたが、結局また大広間に戻って、ビリヤードをつづけた。
酩酊しはじめたジーナス、彼に薦められ、初めての酒に手を伸ばしたラパルク、これまでの疲れから妙なテンションになっていったネイリン。
三人で、大広間に陣取って朝まで過ごした。
ネイリンは、二、三度うとうととし、夢うつつのまま、寝たり起きたりを繰り返した。
まどろんだ時間は心地よく、同時に、記憶がはっきりとしない。
それが――怖い。
後に問題となるこの時間は、うっすら寒いものを伴う記憶となった。