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今、何を思う  作者: JUNIAM501
4/5

3.0

 

外事とマル暴、二課、公安も動いているだろう。

交通の後をつけていたのも、二課だっのか?


PCのフロント中央カメラ録画記録をAIが解析し、龍山の現場に入った時の山野の画像を出力したが、既にスマートウォッチをしていた。この情報は捜査本部には上がってこないが、電子捜査官の先輩からこっそり伺った。


我々は常にペアと一緒に捜査をする。

互いを助けたり、変な動きをしていないか相互監視するためでもある。


しかしスマートウォッチが普及してから、一部そうではなくなった。


警察から支給されたスマートウォッチを装着していた場合、捜査中にペアと離れても良くなったのだ。


もし捜査員が心肺停止になったら、その現場のGPSデータと心肺が停止しているデータが、自動で警察と消防に飛び、緊急車両が急行するようなシステムが組まれているからだ。

時計の外側カメラと内側のベルトカメラで監視も可能だ。


一緒に福岡から来たその他2人も福岡県警察が支給したスマートウォッチをしていた。



山野もしくは、山野の部下、本部の捜査官は1人になった時、殺害された女性と接触することができたということになる。


警視庁の日永管理官が指揮する捜査本部は、その規模を縮小していくことになった。


捜査の本流が、特務捜査に切りわかったのたがら仕方がない。


手柄がない捜査、つまり記録に残されない、もう記者クラブでは話せない捜査になってしまう。残念だが我々には何も現状を変えられない。


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道庭りおの専攻はデータサイエンス。




データから何かを抽出することが得意なはずだ。




「あのひと、捕まったの?」




道庭りおが山野の話を始めたと刑事課の他の捜査員から聞いた。




この話を本社ビルにあげると、道庭りお、近藤勇共に特務捜査本部に吸収され、消されるかもしれない。




八王子署は、本社ビルへ報告しなかった。




意図的に。






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八王子署の捜査本部縮小と共に、道庭りおと近藤勇は、行動確認になり本社ビルが監視する。




重要参考人を一時帰宅させ、その動向を同行をチェックし続けることは、捜査用語で行動確認という。




現場の刑事たちの間では、さらに略して「こうかく」と呼ばれることが多い。




警視庁捜査一課が単独で、こうかくを行うので、八王子署やその他の署の捜査員は2人に近づけなくなった。




行動確認は、重要参考人が逃走したり、証拠を隠滅したりしないよう、自宅周辺や外出先で密かに監視する行為だ。


目的はその容疑を裏付ける証拠を見つけるため、または逮捕状が出るまでの「つなぎ」として行われる。


任意捜査は、強制的な逮捕ではなく、あくまで本人の同意の上で捜査が進んでいる状態で、帰宅を許されているのはこの枠組みのおかげだ。


道庭りおは、専門学校に通い始める。


近藤勇は、バイト先を探し始める。


八王子署では、道庭りおと近藤勇から、引っ掻き傷の真相を聞き出すことはできなかった。



俺たちで挙げたかった



本星を。


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休みが取れたので家族で海に来てみた。


海岸線に平行に吹いている風が水面を吹き下ろし

その水面の波が、5センチ下の海底の砂に伝わり

砂の紋ができてまた大蛇の鱗のようになっていた。


回転翼機に乗って上空から見下ろして見えた透き通った川の川底のような

うねった模様が、その海底に描かれていた。


沖から打ち寄せる波とその風向きは、また90度ずれていた。


小ぶりのマンボーのような、大きめのふぐのような魚が干からびた状態で砂浜に左側を上にして横たわっていた。鳥に突かれたような穴が体に一つ開いていて、目もなくその周辺は窪んでいた。砂浜全体で何匹も横たわっていた。


砂浜にはひじきのような海藻がたくさん。そして割れた大きな浮、赤、紺色、オレンジ、黄色、灰色、そんなプラスチックが大量に

ただそこにある状態。



カラスが海岸線で何かを漁っている。


波は深緑と薄い緑のグラデーション。サーファーはいない。波はすぐ割れているようだ。海にいると疲れると言われるが、程良い日光と暖かさ。風は冷たいが、なんだか森林浴をしているような感じもする。久々に自然を満喫できている。海に来てよかった。


波打ち際には大きなしぶきが上がる。

波が岩に当たり、白いしぶきを上げて、鯨の塩吹きのようだ。 


釣り人が1人。

足首まで海水につかりルアーを振っている。そして防風林の上空10メートルほどを猛禽類が滑空して8の字を描きながら獲物を探している。何か小動物でもいるのだろうか。彼らは目が良いので、小動物を上空から見つけることができる。恐竜だったとは思えない。恐竜が進化し鳥になったと、ある宇宙飛行士の公演で聞いたことがある。


彼らは究極の進化を遂げた。体は軽く翼は長い。


人間がもし鳥のように羽ばたくのであれば、片方の翼だけでも長さ5メートルほど必要かもしれないし、その翼を支えるには強靭な背骨がいると何かの本で読んだ。


波打ち際の潮が引いた場所には、カエルの卵のような泡がたくさんできていて、プチプチと割れながらその数を減らしていた。なんだか奇妙な光景だ。


その近くには無数に割れた貝殻、そして形状を留めた貝殻、海ぶどうのような海藻、たくさんの海藻とネギのような植物も横たわっている。ほとんどが深緑と茶色。 


流木だ。高さ5メートル程の大木が根こそぎそのまま流されて砂浜の1番奥にたどり着き横たわっている。


こんな大きな流木を見たのは初めてだ。


子供たちはあんなところにいる。長男は両足首を両手で持って背中を平らにし自身の背中を土台にして、次男を乗せ次男は防波堤へ上がり少し走ったあと、防波堤の向こうへ降りた。


海が青緑に変わって日差しがなくなってきた。

寒い。さぁ帰ろう。


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賀神しのぶの美容サロンでは、

副社長の 是取凛花 が取締役会で社長に専任された。


是取凛花もクッキングサークルに何度か顔を出したことがあったので、是取凛花は道庭りおを知っていた。


美容サロンの子会社はフィリピンに自社工場を持っていて、美容クリームを製造している。


マニラから車で1、2時間行ったところにあるバタンガス州には大型港があるため、物流に有利な重工業や化学工業、電子部品工場が集まっている。


この一角に美顔器の部品と美容クリームを製造する工場を持っていた。



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警備部長から表沙汰にできない専従任務の特命が私に下った。資料に他人のパスポートと免許証が添えられていた。所属は本社ビル外事4課だろう。


八王子署からは、研修で韓国ソウル特別市警察庁に3か月の出向と告げられた。日本語は通じるので案ずるなと署長は笑顔だ。


自分のパスポートで韓国へ出国し、

他人のパスポートで日本に帰国することになる。


他人のパスポートには韓国に入国したスタンプが既に押されていた。日付は1週間後だ。


自分のパスポートで3日後に出国。


他人のパスポートで1週間後に出国(した記録あり)。


その後、他人のパスポートで日本へ帰国。


自身のパスポートで帰国する手はずは、まだわからない。


家をあける間、自宅は警備部と公安が張るのであろう。実際はどこに所属の誰が任務にあたるかは知る由もない。


この一連の流れは、おそらく山野周辺を洗えということだろう。


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予定通り韓国入りし、他人のIDでホテルにチェックインした。


ホテル近くのネットカフェへ行き、個室に入った。


ゲームファンがネット上で意見を交換をするサイト Discode にログインし、

他人のパスポートに添えられていた資料の指示書通り、道庭みちばりおと繋がった。


彼女のハンドルネームは Oashh


私の名前は江上えがみ

Discodeでの俺様のハンドルネームは ega02


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道庭りおのopen chatでは、 "以下" の内容が書き込まれ

ピン留めされていた。


"x→∞の時、距離は最大?どういうこと?"



Markdown(LaTeX)形式の数式に変換すると以下になる。


f(x) = f(a) + f'(a)(x-a) + \frac{f''(a)}{2!}(x-a)^2 + \dots


これは確かテーラー展開。

テーラー展開は、ある一点の微分係数(瞬間の値)を積み重ねることで

関数の先(未来の値)を予測する手法だったか。


また、以下のような記述もある。



Markdown(LaTeX)形式の数式に変換すると以下になる。


f^{(n)}(x) = \textit{Constant} \text{(}\textit{suavis}\text{)}


Constantは定数。

高次関数の微分係数は動的な流れを解き明かす際に用いられる。


山野と関係があるかは定かではないが

注意して見ていくことにしよう。


video-output-626D4664-EAFA-4C81-8DA9-E72C771CFB85-1.MOV

道庭リオがポストしている動画を見てあることを思い出した。


去年の夏、7月だったか、

福岡県太宰府天満宮、夏の天神まつりにサカナクションが来ていた。

新宝島や怪獣を歌って盛り上がったことを、山野から当時聞いていた。


通常、そのような賑やかなところには行かないのだが

山野は楽しんでいたようだ。



私も福岡にいたら

一緒に行っていたかもしれない。



サカナクションの2025年の夏フェスは

その夏まつりだけだと、

ボーカルの山口は言っていたらしい。


山野は今どうしているのか

全く情報が入らなくなってしまった。


俺は


今与えられた任務をこなし

彼に近づく。


それだけだ。


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Oashh: “6だよ!と7だよ!が走ってるんだって!”

Unknown: ‘それは10じゃない!?’

Oashh: ”かもねー あんのんさんもはいる?”



そのようなオープンチャットがなされている。


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三者のスマートウォッチのうち、フィリピンで消えた

隊員のデータからのみ、約3000時間から減算されていく

カウンターデータが見つかった。


残り2人のスマートウォッチからは約7000時間から

減算されていくデータが出てきたという。

特務捜査本部は、科捜研からそのような情報を得ていた。




捜査員「早く、山野に吐かせましょう」

捜査員「そうだな、本部の職員は こうかく らしいから」

捜査員「一般人の2人はどんな状況なんですか?」

捜査員「対象男は、ネットカフェでバイトを始めたらしい。

短期を繰り返すやつな。1カ所で固定はしない。

場所をどんどん変えていく感じだ。

対象女は、課題で企業の問題解決を探るかなんかで、

一般企業に詰めるらしい。」




「何かが動きそうな気がしますね。そう思いませんか?」




その言葉は、誰の耳にも入ることはなかった。





階乗とは、ある正の整数から 1に到達するまで

順番に整数を掛け合わせていく 計算のことだ。

記号は「!」(エクスクラメーションマーク)を使う。



{6と7が、走っている。


6と7が、駆けている?


6と7を、掛けると42}




{まて


6!と7!それぞれを、掛け合わせると


(6x5x4x3x2x1)x(7x6x5x4x3x2x1)


=3 ,628, 800




この数字を秒だとして、


日数に換算するときっかり42日間。ちょうど6週間だ。




10!も同じ答え、3 ,628, 800になる。




フィリピンで消えた職員の時計のカウンターは

3700時間から時間がどんどん減っている。




最初の4桁を時間に換算すると、3628時間。

それは151日と4時間になる。


後ろの3桁800を8分と換算すると、

151日と4時間8分。


これは5ヶ月弱 くらいの期間になる。


俺は何の計算をしているんだ。}




訳がわからなくなっていた。




しかし

スマートウォッチのカウンター残り時間と

数学ゲームの数が

単位は別として、数字自体は近似値だ。


偶然なのか?


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江上は江上として帰国し、日本橋に向かった。


サイボーズ本社ビル近くには、山口や長崎、滋賀の物産館が集中している。

日本橋高島屋も近くにある。


日本でもネットカフェに詰めて、道庭りおと繋がり

恐らく近藤勇ともつながった。


できたばかりのネットカフェ入り口のカーペットの匂いと

新車のドアを開けたときの匂いは一緒だ。


店舗ドアを開けた瞬間、おそらくその灰色のカーペットの匂いは

新車の匂いと同じだった。ただそれだけ。 


近藤勇のハンドルネームはそのまま、konisa5252だった。


konisa5252: みっちーり、練習!

Oashh: 家はだめ。そっちもね。最初もだめだめ

ega02: 参加の条件教えて~


江上は果敢にチャットに進入した。

強引だが一般的にはよくある。

悪意のあるユーザーはブロックされるだけだ。


Oashh: 笑鬼さんは、何系~??

ega02: 暇人系~

konisa5252: いっかいオンライン面談!

Oashh: うむうむ リンク送るねー


道庭りおからフォルダの共有リンクが送られてきた。


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本社ビルは慌ただしくなっていた。

フィリピンで山野の部下が消息を絶ったことを受け、邦人誘拐、テロに巻き込まれた可能性があるため外事四課が動きだしている。


経済犯罪、日本企業の技術流出、密輸などの監視するのは外事二課なので、彼らも元賀神しのぶの子会社のフィリピン法人周辺を既に洗っている。


科学捜査は手詰まりだ。3つのスマートウォッチからは、カメラのデータが改竄され消されていた。オンプレミス、つまりカメラ内部のデータからも、本社ビルのクラウドデータからもそっくりそのままなくなっていた。その足跡は今のところない。


しかしここで、本社ビルの特務捜査本部が、近藤勇を拘束した。

殺人幇助ほうじょ罪と死体遺棄罪、つまり併合罪で逮捕状が裁判所から出たのだ。


生前の被害者を高級外国車両に乗せ、犯行が行われた現場へ運び、さらに死体遺棄現場まで乗せた証拠をNシステム(自動車ナンバー自動読取装置)が確定させた。


被害者のスマホは道庭りおが住んでいるマンションの部屋に置いたままだったが、近藤勇のスマホのGPS位置情報が、現場まで一致して動いていた。


指紋を残さない程の近藤勇がなぜ、スマホを持ったまま現場に向かったのか。まるで自分が連れ去ったことを警察に知らせたかったようだ。


カーナビの記録を解析した結果、マンションからから殺害現場まで、車が直線的に向かっていたことが確認できたため、殺害を目的とした移動であった可能性が高まった。


車に一緒に乗っていた映像が、殺害推定時刻の直前だったので、近藤勇は最後に被害者と一緒にいた人物として、殺人罪の有力な重要参考人となる。


解析された映像に残る賀神しのぶの表情は一貫して無表情だったことも証拠として裁判所に提出されていた。


このような背景から、逮捕状が出たのだ。




           逮捕状


事件番号: 令和8第135号

罪名: 殺人幇助、死体遺棄


被疑者:

氏名: 近藤 勇

住居: 東京都杉並区◯◯

生年月日: 平成〇年〇月〇日


被疑事実:

被疑者は、正犯(氏名不詳)が被害者・賀神しのぶ(当時53歳)を殺害しようと企てていることを知りながら、その実行を容易にしようと考え、


1.令和7年〇月〇日午後〇時〇分頃から同日午後〇時〇分頃までの間、自己が運転する普通乗用自動車(車名:メルセデス・ベンツ、登録番号:八王子300〇 〇〇-〇〇)の助手席に被害者を同乗させ、東京都八王子市子安町の住宅から、約54キロメートル離れた埼玉県東松山市大字岩殿字龍山所在の龍山城跡弁天橋付近まで送り届け、もって正犯の殺人行為を容易ならしめてこれを幇助し、


2.同日午後〇時〇分頃、前記場所において、正犯が被害者を殺害した際、正犯と共謀の上、被害者の遺体を発覚を免れる目的で前記車両の後部座席等に積み込み、同所から約70キロメートル離れた東京都西多摩郡奥多摩町日原小川谷所在の山林まで順次移送した上、同所に同遺体を遺棄して隠匿したものである。


逮捕を必要とする理由:

1.被疑事実を疑うに足りる相当な理由がある(防犯カメラ映像、Nシステム等の走行記録、及び関係者との通信履歴等)。

2.本件の重大性及び組織的背景に鑑み、被疑者が罪を免れるために逃亡し、または証拠を隠滅するおそれがある。


有効期間: 令和8年2月25日まで

(この期間を経過したときは、本状により逮捕に着手することはできず、これを返還しなければならない。)

発付年月日: 令和8年2月19日

裁判所: 東京地方裁判所 立川支部

裁判官: [◯◯ ◯◯] 印


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konisa5252のアカウントはその後沈黙した。




江上は近藤勇に逮捕状が出たことを知る術がなかった。




江上は日本橋のネットカフェの席を立ち、店内の廊下を歩く。




自身の姿が店内のガラスに映り込んだのを見た。




携帯電話を見ている自分の顔に携帯電話の光が反射し、四角い光が顔に映り込む。




あなたの顔、四角くなっていませんか。




そうガラスに映る自分が話しかけてくるように感じた。




大昔人間は太陽の光だけで生活し、夜は活動していなかった。




人工的な光は生活には必要なかった。あってもろうそくの光で充分だった。電球の発明あたりから人工的な光が人の夜の生活を激変させた。




|


!




オンライン面接はなく、道庭りおのアカウントからオンラインカジノへの招待が届いた。どうやら江上は道庭りおのプロジェクトに格納されてしまったらしい。




オンラインカジノでカジノをするのではなく、裏方として利用者のアカウントの管理を行う作業を江上に依頼してきたのである。日当20万円の闇バイト、アカウントの登録や抹消、復元を繰り返す作業だ。




江上は、抹消されたアカウント欄にフィリピンで消えた山野の部下の名前を見つけた。




27歳のその警察官は


オンラインカジノを利用したことがある。




江上は淡々と作業を続けた。




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ある年配の男性が八王子みなみ野・兵衛エリアの物流倉庫を訪れ、男と交渉している。




「帰ってくるんだな?これで」




年配の男性がそう言うと、男は頷き、5000万円の現金が入ったバッグを持って車で立ち去った。




立ち尽くす年配の男性をサイレンサー付きの銃で、別の男が後ろから撃ち、年配の男性は倒れた。恐らく即死だ。




スマートウォッチをつけ単独で捜査をしていた女性警察官が、その現場を自身の38口径の銃で押さえようとしたが、屈強の男性に逆に組み伏せられ拘束された。




特務捜査本部にGPSデータが送られてきた。

女性捜査員のスマートウォッチが最後に残した座標だ。



広域指定の重要事件に認定。




ERT(緊急時初動対応部隊)が高速道路を高尾山ICで降り、現場に急行した。


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La realtà dei numeri immaginari.


Eppure


fin da prima che iniziasse


era già fantastico.


È incredibile.


Se avessi una figlia adesso


vorrei lodarla


il più possibile.




仰向けで上空を見上げると、木々の隙間から猛禽類が縄張りを争って少しだけ体当たりしては距離を置き、滑空していく。


接触する一瞬だけは、ばたき音のような、猛禽類の爪と羽根が接触するような音がするだけ。あとは無音だ。 


草木の匂いがする。太陽が左上から眩しい。小鳥の鳴き声と少しだけカラスの鳴き声がした。


猛禽類は飛び去っていなくなった。先ほどまで2、3羽が、上空を漂っていた。


林の向こうに海が見えた。そして波の音。海が画用紙の中央に楕円配置されているとすると、その周りは林。そして画用紙の上半分は雲一つない水色の空、上空に行けば行くほど白みはなくなり青くなる。


林の1番上の部分と、私の足の裏に陽が当たる。私は右半身を下にして横になっている。私の背面から日があたり、裸足になった足の裏が暖かい。トンビが鳴く。


昆虫がブーンと羽音をたてながら、右から左に目前を飛んでいく。太陽の位置が代わり、日差しが強いので、1メートルほどレジャーシートを移動した。


仰向けになった私の目前、上空右上の方向に鳶が1羽。


比較的に近くで鳴き、それに応えるように別のもう一羽が遠くで鳴く。


肌寒くなってきたので、日向に移動する。シートの下から私の足の裏を針のように刺す小枝。チクッとするが仕方ない。


柔らかく穏やかなあの優しさをもう一度とも思うが、もう壊れてしまいそうだ。飴の匂いがわからなくなってしまった。


枯葉の端が丸まって反り、枯葉自体が皿状になっている。その皿に水を蓄えているその部分だけがきらきら輝いている。


周りの土は乾いているが、そこだけ水が溜まっている状態である。初めて見た光景だ。


空を見上げると木々の隙間から真っ青な空がしっかり見えた。しばらく時間が経って、また上を見上げると水色の空に変わっていた。薄い雲がかかったのであろう。木の葉は鮮やかさを少し失ったが、それでも心地よかった。風と直上から差す陽の光、午前11時50分。昨日までの雨が嘘のようだ。風は冷たいが心地良い陽の光で相殺され、左手側だけが日陰でちょっとだけひんやりした。右手側は日光が当たり、暖かい。不思議な感覚である。頭を180度回転させれば次は左手側が暖かくなるのか試してみた。


レジャーシートの下からまた私を何かが刺す。足の裏が痛く、次は手のひらが痛く、チクっとした。


ウグイスが鳴きながら飛んでいる。別の野鳥も鳴いている。違う鳴き方だ。小刻みに鳴いている。光は目の前から差し、仰向けの私はやはり右半身が冷たくなってきたが、左側が暖かい。地面が傾斜しているので頭が少し下がっていて足が高い位置にある。これはこれで心地良い。


木々から漏れるヒノヒカリが放射線上に広がり眩しい。本をかざして日よけにし読書を続ける。また違う野鳥がどこかで鳴いている。先程の小刻みな鳴き方とは違う。けたたましい泣き方。少なくとも4種類ほどの鳴き方がある。4種類の野鳥が、この林の中にいるのか?


5種類だ。また違う鳴き方をする鳥。


姿を見せないが鳴き声だけが聞こえる。彼らは究極の進化を遂げた。早朝からよく鳴く彼らに何か学ぶべき事は必ずあるはずだ。


黒い本のカバーに、小さな蜂がやってきて、ホバリングしていた。蜂はすぐに飛び去った。


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親戚の小学生がバレエのコンテストに出ているシーンに変わった。いつものこと。


複数のバレリーナによる合同演舞の前に、

彼女はセンターでソロ。手足を伸縮させている。


真っ白な左手は人差し指の先まで舞台右手側に伸び、右腕はしなやかに動作し、左右の足も軽やかに舞台を跳ね、始まる前から素晴らしかった。


0.1秒たりとも動じず、堂々としていた。

いつも通りの落ち着きだ。


30人はいただろか、複数人で一斉に踊るバレエにおいても、言うまでもなく素晴らしかった。




虚数の現実。


始まる前から


すでに素晴らしかった。


信じられない。


今もし私に娘がいたら


最大限褒めてあげたい。




そう思うと、突然涙が吹き出した。


舞台を見ながら、涙が滲むと視力が上がって更にピントが合う。


すると演者の細かな瞬きまで見ることができた。


コンテストの後は、馴染みの店でさばみりんを注文した。味気ない。時間だけが過ぎて店内の客が入れかわる。


帰宅時電車のブラインド越しに差し込んでくる夕日が黄金色だったが、やはり疲れが凄まじい。


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田んぼの真ん中、野鳥の群れが7羽。

8羽目は、はぐれたまま帰ってこない。

いつか帰ってくるのだろう。


畦道にはその場に似つかわしくない蜘蛛が、ただそこにいた。


1羽の小鳥が上空高くまで舞い上がり、

小刻みに羽ばたいて、なんだか警戒レベルを上げたように鳴き続けている。


ふと脇を見ると、桜か何か桃色の花が咲いていた。周囲の緑に映える。


芝生には少しだけ緑が混ざるようになってきた。春なのか、いやまだ早い。

最近少し暖かくなったせいだろう。


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