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今、何を思う  作者: JUNIAM501
3/4

2.0

賀神しのぶの高級外国車両が押収された。




その車両のタイヤと現場②の奥多摩に残されたタイヤ痕が一致。




しかしハンドルやシフトレバーから指紋が出ない。プロかセミプロだ。またか。賀神しのぶのマンションと同じだ。




車両の後部座席の血痕、現場①の龍山城跡 弁天橋付近に残された血液のDNA鑑定がともに賀神しのぶのものと一致。




あとは、引いてきたこの男が殺害した証拠だが、殺害された女の左手人差し指の爪に残された皮膚のDNAが

引いてきた男のものと一致しない。




時代錯誤な冤罪はありえない。




男の解放はまだだとしても、心の解放は急務だ。八王子署で古参の退官間近な警部補に取調べ室に入ってもらった。




警部補が優しく声かけしているのを横目に、取調べ室のドアが閉まるのを確認した。




賀神しのぶと引いてきた男が、一緒に高級外国車両に乗ってマンションを出たのは、防犯カメラで確認できている。




しかし、いつ、誰が賀神しのぶを。皆がそう思った。




奥の方で指揮する本社ビル捜査一課の管理官である日永からの専従命令で、道庭りおと話した生活安全課の女性職員から、捜査本部に話が上がってきた。




「道庭りおと、賀神しのぶ、そして道庭りおの高校の同級生である参考人男性が、揉めていたとの証言はいっさい得られませんでした。」




本社ビルからの鑑識結果を、科学捜査研究所のAIが続けた。




「SSBC(捜査支援分析センター)では、その他関係者の特定は、なされておりません。」




捜査本部がどよめく、前列が檄を飛ばし、鎮まりかえる、そんなことはなかった。皆静かに聞いている。




異例だ。


防犯カメラをAIがまくっても女性を殺害したであろう人物の特定に至る証拠が上がってこない。




生活安全課からの応援派遣は、身体検査やトイレの付き添いなど原則として、女性への被害事案の対応に長けた女性職員が行うように推奨されているためだ。




取調補助である生活安全課が取調べを主導で進め、取調補助として本社ビルの捜査一課の女性職員が入ることになった。




これもまた異例だが管理官の指示なので揺るがない。




男の方は生活安全課少年係が、専従命令で取調補助として入ることになった。さっきの警部補のことだ。経験が活きる。しかし取調べは本社ビルがやる。割らせる気だろう。


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福岡の山野からLINEが来た。




{そっちは、片付いたのか。畳んだんだな看板。}




{今度は社員旅行で東京にくる?}




もっと温泉地とか、観光地とかに行けばいいんじゃないかと思ったが、先輩や後輩と5人程で来るらしい。






八王子署に帳場が立って1カ月。




順に落とされる。




管理官から非番の調整が入った。


捜査本部があまりに長期化する場合、捜査員の疲弊を防ぐため、管理官の判断で数名ずつ交代で休ませる。




週に1日か半日だけ。次の捜査に備えるための休息という扱いだ。




家族との時間ではなく、なぜ山野と過ごすんだ俺は。




しかし、本社ビルのペアと過ごさなくていいだけでも、まだましだ。


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数時間だけ空く山野と、東京駅で昼間に会うことになった。




「よう、そっちは?」




{まだ、それだけだ。}




「そうか」




山野はいつもの陽気な感じではなかった。同僚が自殺したのだ。遠回しに時々聞く話だが、山野は明らかに落ちていた。




うどん屋で1000円しない親子丼セットを食べ、昔話をして1時間もしないうちに山野とは離れた。彼は親子丼と温そばのセットをゆっくり食べていた。




振り返って彼を見たが、元気がないようには見えなかった。




逆光で見る朝日の足元に付いた露と、太陽を背にして見たであろう芝生、あの時と情景が重なったような気がした。




柄にもなく、スマートウォッチを左手首にしていた。山野の趣味も変わったのかと思った。


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八王子署に戻る途中に、若い隊員が4人、署の近くの交差点の歩道にいるのを見た。移動中だったと 思われる。通行人に道を聞かれ、1人が教えていた。頼もしい限りだ。




最近の若い隊員は黒いリュックにキーホルダーをつけている。趣味を全面に出し自由度が高い。




そうでもしないとガス抜きにはならないのか、多様性が進んでいるのか、昔ほどガチガチではない良い流れになっているのではないかと思う。




年齢制限も上がった。幅広い中途採用。心身ともに凄まじい力が必要だ。いやむしろ馴染む、溶け込む素養のような柔軟な立ち振る舞いが有効かもしれない。




かたや刑事課は上下黒の出立で、靴だけ白。そんな隊員がお昼休みをきっちり12時から13時までとって、小柄な係長を中央に置いて、両側で若手2人、200cmほどの身長の取り巻きが囲みこむ。係長も180cmほどあるのに、小柄に見えるのだ。空自の防府西基地にいる若い隊員も、200cmを超える男がゴロゴロいるという。頼もしいが彼らが戦地に行かなくてはならないかもしれないことを思うと、心が痛む。避けれるものなら、そのような事態は避けて欲しい。そう願うばかりである。




そもそもこの3人はあっち側に寄せた人たちなのか。




それともあっち側なのか。一般の人には区別がつかないだろう。話してみると意外と普通なのは、ほんとうに話してみて気付かされる。こっち側だから。




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道庭りおのマンションの名義は賀神しのぶだった。もはや他人ではない。




賀神しのぶが所有するマンションに道庭りおが住んでいて、被害に遭ったのだ。




その加害者は少年係が特例で見ている同級生の男性ではなかった? つまり賀神しのぶを殺害していない可能性が高い。そう思っていた。






やはり年の功。少年係が半分落とした。本社ビルは見守っていただけ。




同級生の男が、道庭りおの両腕に怪我を負わせたと自白した。






賀神しのぶを殺害したのは、どこの、誰だ?




道庭りおの先輩、後輩、同級生、専門学校生、大学生、短大生、多くの学生や社会人に任意で話を聞いたが、容疑者は出てこない。




手詰まりだ。


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今回、捜査本部管理官の日永の動きが良い。




今までそんなことはなかった。




いつもは彼が来る度に、なんだかなぁと言う気分になっていたが、今回はそう思わなかった。現場は比較的に管理官の指示に従って動けていたが、管理官は捜査が進まないことに苛立ちを隠せないのか普段より口数は少なかった。




事実を元に、案件を見直す。




我々は、賀神しのぶを殺害した犯人と、道庭りおに怪我を負わせた人物が同一人物だと誤認しそうになっていたのだ。




もう1人の方、プロかセミプロ。


さぁ、挙げるぞ。


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今、もし外事と公安が同時に動いているとしたら。


想像しても、我々にもその実態や活動は見えない。

隠蔽すべく隠蔽だ。

県警の末端まで漏れてみろ。大変なことになる。


警察組織における「警備課 外事がいじ」は、一言で言えば「対スパイ・対テロの最前線」を担うエリート部署だ。


一般に「外事警察」と呼ばれ、その実態は非常に秘匿性が高く国家の安全を脅かす外国の勢力や個人を監視・摘発することを目的としている。


主な役割を整理すると、まずは、カウンターインテリジェンス(対外諜報対策)。

日本国内で行われる外国政府・情報機関によるスパイ活動(工作活動)を未然に防ぎ、摘発するのだ。

技術流出の防止は、日本の軍事転用可能な技術や先端技術が、他国へ不正に持ち出されないよう監視する。

政治工作の阻止は、外国勢力が日本の政治や世論に不当な影響を与えようとする動きを抑える。


次に、国際テロ対策だ。

日本を標的とする、あるいは日本を拠点にしようとする国際テロ組織の動きを警戒する為に存在する。

テロリストの入国阻止や潜伏先の特定、テロ資金の調達ルートの遮断が主な任務だ。


最後が不法入国・戦略物資の密輸対策。

特定の国に関連する不法入国、あるいは大量破壊兵器の材料となるような物資の密輸を監視する。

語学のスペシャリストは、英語はもちろん、ロシア語、中国語、朝鮮語、アラビア語など、担当する国に合わせて高度な語学力を持つ。

秘匿捜査のプロは、尾行や張り込み、情報の協力者エージェントとの接触など、目立たない形での捜査に長けている。

つまり、海外旅行に一般人として行くのである。


福岡の山野は英語とタガログ語、イタリア語に長けていた。


今もそのスキルは健在だろう。


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事実、男は道庭りおに怪我を負わせた。


男の名は、

▫️コンドウ イサム 近藤 勇 現時点で無職 フリーター 


この案件で怪我を負わせた動機がいる。


少年係の警部補は、刑事課畑も長かった。

少年係、刑事課、少年係の出戻りだ。


古参の警部補が完落ちさせて、別の容疑者を引いて、看板を畳むことを祈る。長い帳場だぁ、きつ。


科捜研の女性観察官が、道庭りおの両腕の傷跡はひっかき傷のようなものだが、どうも揉み合っていて、傷ついたと言うよりも両腕を上げた状態に対して、誰かが爪を立てて引っ掻いたような傷だったと言う。つまり引っかかれるとわかっていて、手を上げた状態で、爪を立てられて引っかかれたような傷跡だったということだ。


これは道庭りおと近藤勇に、詳しく、少し鋭く話を聞く必要がある。


本社ビルがぐいぐいでてくるぞ、これから。つけ麺は間もなくか。


道庭りおが、傷を負わせるために、近藤勇の正面に立って両腕をあげなければならなかった理由は、なんなんだ。


「撹乱と時間稼ぎ。そう思いませんか?」


またあのおしゃべりが出てきた。頻出英単語か。


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靖国神社に行った時をふと思い出した。


日曜深夜、山手線の車掌のアナウンスがプロすぎた。


落ち着いた口調で、 お待ち合わせください と締めくくった。


恐らく働き方改革で、定年後再雇用された元ベテラン車掌がこの日の夜を閉めたのだろう。


また赤い点滅が現れ、頭がぼーとしたあと、電車の車内は暗くなり


空虚な世界に変わった。


もうこの流れにも慣れてきた。


ふと右横を見ると、進行方向に向かって前を向いた左側の座席二つのうち窓際に女性が座っている。


私は進行方向に向かって右側の座席二つのうち、同じく窓際。しかし私の座席は後方を向いている。


もしこの車両が次元の歪みで幅50センチになってしまった場合、女性と私の両足はぶつかり、顔を合わせることになる。


女性は窓の外を覗き込んだ。


女性と私がそれぞれが背もたれに、背中から腰あたりをつけた時点で、窓越しに目が合ってしまった。


2度と目を合わせぬよう、目線は伏せる。

他の乗客とも目を合わさず、ひたすら携帯を触った。


車窓は、寒空。


明るい灰色の雲が車両の前方側に広がり、車両の後方は、分厚く黒い雲が立ち込め

居座っている。



ひも理論は最近界隈を賑わせている。


世の中には粒子や電波があるが、アインシュタインの相対性理論や他の法則で

単独では説明がつかないものを

1つの理論として

これで説明できるという学者がいる。


理科を離れすぎて難解に感じるが、つまり粒子にしても、線やひもにしても、やはり2つで1つのセットなのだ。


この世界が生まれる前から、宇宙が生まれる前からなのかもしれない。



駅に停まった電車内から、真横を見ると雲はうっすら陽がある方からない方へ流れ

陽の光がある方の雲は白黄色な、薄い黄色と灰色を混ぜた色をしていた。


また頑張れる気がする。


ふと見上げると薄い綺麗な青空だった。

連なる星々。



電車は動き出し


赤い消火栓の丸い看板が


通り過ぎた。



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Copyright © colin501, All rights reserved.


この世は


間違いの中に


正解が散りばめられているのだろうか。


正解を求めて


間違いに気付くのだろうか。






赤い点滅は


今は、出てこない



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指が触れただけで、あっと思うことはないが


ある時は、違った。



直感的に。



しかしそんな感覚はもう必要ない。




もっとこっちの世界にいたい。




それだけだ。




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タイカクを装着後その場でジャンプし、腰回りが腰から下にめり込むことを確認する。




相も変わらず重い。




その後PCを前方からのチェック。




いつものルーティン。




前照灯、ハザード、パトランプのチェックサインを出す助手席のペア。




ん? 元の環境に戻ったのか?




しかし、なぜ夜中にパトロール前のチェックをやってるんだ?




私は摩訶不思議な世界を超えて、時間まで超えてしまったのか?




今日は2050年2月◯日?




俺がいたのは2026年だったはずだろ?




発したわけではないが、思わず言葉が荒くなる。




2026年の世界と何も変わらないと思いたかった。




突然腰辺りが熱くなると同時に、地上何メールかの高さまで、体が中空に急上昇し、静止した。




マスクに付属しているゴーグルに何か電子的な文字が表示されている。



本当に未来に来ている。




背中のジェットパックの出力は徐々に弱まりながり、自動でゆっくり地上まで降り、パトロール前の安全確認が済んだようだ。




シグ・ザウエル?


ここはアメリカか?




P320 と表示されているところまで目線を動かし、カーソルを合わせ、左手の人差し指の第二関節の内側を1回押す。そして直後に2回早く押し込んだ。




コマンドが確定し、残弾数が表示された。




車は飛んでないのか?




少しワクワクしている。




待てよ、俺の年齢は退官まじかなのではないのか?






PC助手席のドアと助手席のシートの左側は棒で擦れるので、黒いテープで補強するのが常。特に200系はそうだ。




2050年に200系?






突然2026年の環境が目前にある。




戻った。捜査本部はあるのか。ある。よかった。




近藤勇が乗っていた、国産車両に残された毛髪と本社ビルの内部管理データの内容が一致したことは、我々には一切開示されていなかった。後に知った。




本社ビルに特務捜査本部ができた。




私は特務捜査本部から外された。




まずい、近いところに本星がいるかもしれない。






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山野の部下が飛んだ。




フィリピンに出国したまま消えたのだ。




この間、東京に来ていた1人か? 




社員旅行の方? いや龍山の時か? 




福岡県警本部からきたあちらの捜査本部ペアが1人、山野の後輩が1人、合計3人で現場に入っていた。その後輩が消えたのだ。




あの茂みに入って何をした




山野。






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福岡県警本部に山野が呼ばれ、警視庁刑事部捜査一課(強行犯担当)の捜査員と八王子署刑事第一課の捜査員が話を聞く。




「お前の後輩は殺しの証拠を消したのか?なぁ山野、お前もかんでんのか?こらぁ」




「なんのこといってんだ、この警視庁の犬がこらぁ、あぁ?」




山野の牙狼がでたのであろう。四課にもいたからしょうがない。自然に出てしまう。




福岡の元同期から、そのような感じで取り調べがされているとの連絡が来た。




前代未聞だ、何もかも。




山野を八王子署に引くことはなく、そのまま、警視庁と八王子署の捜査員は福岡に残ることになった。




山野は白なのか。




もう上は掴んでいるのか。




どこかが、何かを揉み消そうとしているのか。


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