036 ちょっと、人数少なすぎません?
亮平視点
「やっぱ、仕事量多すぎない?」
春の体育大会の前日、亮平は準備に追われながら、愚痴をついていた。
体育大会の練習は、サッカー、棒倒し、バスケが紅優勢、ドッヂボール、リレー、障害物競争は白優勢だったので、ポイントは順位で決まりそうだ。
亮平が愚痴をこぼしている原因は、前日の準備量の多さである。委員長会委員と体育委員で準備をするのだが、もともと委員長会委員も体育委員も各クラス二人なので人数が少ない。
おまけに体育委員は、体育の授業前にいつも準備をしているので、前日の仕事量は少なくなっている。必然的に、委員長会委員の仕事が増えると言うことだ。
ここ東成中は、各学年四クラスあるので二人掛ける12クラスで24人。まだ人数が24人も居れば一人当たりの仕事量は少なくなる、はずだった。欠席やさぼりやすっぽかしが居なければ。
体育大会の前日は部活は休みと決まっているので、委員長会委員なのに帰ってしまう人が毎年数人いる。そこまではまだいいのだが、あろうことか二年の中で夏風邪が流行ってしまい、二年が委員長会委員だけで5人欠席という始末。一年にさぼりが4人出て、実質仕事をするのは9人だ。
(なんで今年に限って一年が・・・・・・)
仕事内容と量は変わらないので、一人あたりの仕事量が増える。さらに、一年は二、三年より仕事の量が少なくなるように設定してあるため、さらに仕事量が増える。
仕事内容もハードだ。テントを18張り立てないといけなく、全て少し古いタイプなので、脚を固定しないといけないタイプだ。
それ以外にも、トイレ掃除、グラウンド整備、放送器具のチェックETC.。
「ほら、テントあと16張りだぞ!頑張れよ!」
どの先生かは分からないが、そんなことを言うなら手伝ってほしい、とは言えない。なぜなら、教師は教師で、線引きやパイプ椅子の用意等をしているからだ。
男子だけでテント張りをしているので、余計に時間がかかる。
「あー、あー。コンコン」
放送から流れてくるテスト放送の声は澪だ。
「ありがとうございました」
目を声のした方にやると、一年が帰るところだった。
(いやいや、ただでさえ人数が少ないんだから、もうちょっと手伝わせてくれ!)
亮平の心の叫びは誰にも聞かれることなく、時間は過ぎていった。
三時間後。
「君たち、よく頑張ったな。明日の体育大会はきっと楽しいものになるぞ!」
(どこが!明日は筋肉痛でちっとも楽しめないと思います!)
本当は口に出したかった言葉だが、心に押しとどめる。すでにあたりは暗くなっており、太陽も沈みかけている。
(七月にも体育大会あるんだよなあ。はぁ、次回はこんなことにならなきゃいいけど)
「せっかくだから一緒に帰ろうよ、亮平君」
(まあ、他に誰もいないし、別にいいか。未帆がいたらちょっと険悪な雰囲気になりそうだけど)
「そうだなー。一緒に帰ろうか」
(それに、一人で帰るよりは楽しいしな)
亮平は澪と一緒に帰った。しかし途中、一つの視線が二人を見ていたことには、澪も亮平も気付かなかった。




