第44精霊
加奈に自らの決断の話、そして彼女の想いを受け取った友春は翌日、
家の近くにある公園に涼子を呼び出していた。
「お待たせっす!」
「ああ、悪いな。こんな時に」
「全然かまわないっすよ!」
涼子は友春に呼び出されたことが嬉しいのか、はたまた加奈と同じように
胸に悲しみを抱いているのを悟られまいと必死に笑みを浮かべていつもの自分を演じているのか。
涼子は笑みを浮かべながら友春の隣に座り込んだ。
「彩加の件はありがとな」
「何もしてないっすよ。加奈さんがいいところを持っていっちゃいましたし」
その発言を最後に、二人の間には沈黙が流れた。
精霊の奴隷となり生き延びるか、もしくはそのまま滅ぼされるかの決断の時に
外に出て呑気に女の子とデートなどしているのはおそらく地球上でこの二人だけだろう。
「……友ちんは……死ぬ気なんすか?」
ストレートな質問に友春は苦笑いを浮かべた。
「昨日まではそう思ってたよ……でもさ、俺まだやり残してることがあるんだよね。
彩加が嫁に出るまでは絶対に死ねないし、加奈さんともう一回デート
しなきゃいけないし……涼子ともまた食事を一緒にしたいしさ」
「食事っすか?」
「ああ、ほら。前に彩加と一緒にファミレスに行っただろ? 今度は俺と
お前だけで二人で学校のこととかで楽しく喋りたいなって」
友春がそう言うと涼子は顔を少し赤くしながら彼の手に自分の手を重ねた。
「わ、私も……と、友春と…………しょ、食事をしたい」
「いつもの喋り方はどうしたんだよ」
「だ、だって語尾に“っす”とか付いてるのってなんか女の子らしくないっす……あ」
涼子は注意していたにもかかわらず語尾に“っす”をつけてしまったことに気づいた。
「ハハハハハ! 別にいいんだよ。語尾がなんであろうと涼子は女の子らしいよ」
「ほ、本当っすか? 数列ばかり見てるような女の子っすよ?」
「そんだけ頭がいいってことだろ……涼子」
友春は彼女の名前を呟きながら立ち上がり、彼女の手を片腕で握り締めた。
「必ず……必ず、生きてユウを倒す。その後にまた、俺と食事をしてくれるか?
学校でも俺に話しかけてくれるか?」
「………当たり前っすよ」
涼子は笑みを浮かべながら友春の手を握り返した。
おはようございます! 四時間ぶりですね!




